同窓会

末永き友好関係とパートナーシップの拡大─第三回マレーシア同窓会を現地開催

2023年7月22日、クアラルンプール近郊シャーアラム市内Acappella Suite Hotelにて、「Celebrating Friendship and Expanding Partnerships(友好関係とパートナーシップの拡大)」というテーマのもと、第三回マレーシア同窓会(MASSA-Malaysia Alumni of Sakura Science Association)が現地開催されました。 マレーシア同窓会と科学技術振興機構(JST)の共催で実施された現地同窓会会場には約80名の参加者が集結しました。意欲的なマレーシア同窓生が久しぶりに対面で集い、日本で得られる多様な機会や日本への道のりについて共有し、交流しました。 シェアリングセッションでDr. Che Azurahanim Che Abdullah (以後Dr. CACA)が発表したとおり、SSPおよびSSCの同窓会活動を通じて育まれた絆が、新たな相乗効果を生み出しています。

イベント会場では、マレーシア同窓会幹事のMr. Muhamad Haziq Shahrom Ravin Daramが、日本の文化や歴史を取り上げた楽しいクイズを織り交ぜながら、聴衆を飽きさせない和やかな司会進行役として活躍しました。クイズには日本の国歌 (君が代) や富士山の高さ (3776 メートル) など難易度の高い質問も含まれました。

マレーシア同窓会幹事長Ms. Nur Shakila Binti Muzammirは開会の挨拶で、2019年10月、クアラルンプールで初めて行われたマレーシア同窓会の背景について語りました。 当時はさくらサイエンスクラブ・マレーシア支部として知られていましたが、2020年に名称がMASSAに変更され、マレーシア政府団体協会登録局に公認されました。 またMs. Shakilaは2022年がマレーシア・日本の二国間関係を強化した東方政策(ルックイースト・ポリシー)創設40周年目に当たることにも言及し、「今後も日本の友人たちとの絆やパートナーシップを継続できるようマレーシア同窓会が務めを果たしていく」と述べました。

Ms. Nur Shakila Binti Muzammir

日本・マレーシア友好議員連盟会長の古屋圭司氏からはビデオメッセージを通じて、イベント参加者に温かい呼びかけがありました。 マレーシア上院議員団と意見交換を行った同氏は、政治、経済、文化、芸術、科学、技術などの多様な分野で日本とマレーシアの関係が強化されているという見解を示しました。友好議員連盟の会長として、両国間の協力・交流促進に尽力していくことを誓い、マレーシア同窓会には「交流をさらに強化していってほしい」との期待を表明しました。

古屋圭司氏によるビデオメッセージ

髙橋克彦駐マレーシア日本大使は、マレーシアと日本の両国間には数十年にわたる教育交流や緊密なビジネス界での交流を通じて育まれてきた長い歴史に触れ、さくらサイエンスプログラムが創設された2014年以来、2,000人以上のマレーシアの若者が日本に招待されたとについて言及しました。また、大使は先頃クアラルンプールで行われた日本とマレーシアの高等教育担当大臣間の会談にも言及し、双方がさくらサイエンスプログラムを含む人的交流をさらに促進していくことで合意したというエピソードをご紹介くださいました。

髙橋克彦大使によるビデオメッセージ

日本学生支援機構(JASSOマレーシア事務所)Mr. Raymond Tanからは中等教育を修了したマレーシア人学生を対象に、英語・日本語の能力に応じた日本留学の説明、修士課程・博士課程の入学資格についての説明がありました。また日本の大学へ留学を希望する志願者のための統一試験であるEJU日本留学試験(EJU)や語学力要件についても詳しい解説がありました。

Mr. Raymond Tan

シェアリングセッション第一部
Dr. Lai Hung Wei─マレーシア同窓会幹事 兼 日本同窓会チーフ・アドバイザー
(日本同窓会旧幹事長)

Dr. Lai Hung Weiは、「無限の発見に満ちた国 日本─言語・文化・キャリアを駆け抜けた7年の旅路」と題したプレゼンテーションで、7年間にわたる日本での勉学・研究仕事の経験を共有しました。 Dr. Laiは 2016 年に東京工業大学に入学。同大でがん治療のための光線医療に取り組みました。 全力を尽くすことはもとより「早めに計画を立て、常に準備をしておくことも重要。チャンスを掴むかどうかは皆さん次第」と強調しました。

Dr. Laiは、日本の研究教育の構造的で独立性の高い側面を取り上げましたが、大学にはキャリアガイダンスや就職支援など、卒業まで学生を全面サポートする体制があることに言及しました。 また、Dr. Laiはさくらサイエンスクラブの公式ウェブサイト上、日本在住の同窓生によるSakura Mentor Column、ならびに奨学金のチャンスや申請のヒントなど、来日準備に関するアドバイスコラムMy Way to Japanが掲載されていることも紹介しました。

最後Dr. Laiは日本滞在中に直面したさまざまな挑戦についての質問を受けました。「個人的に一人でいることでより自立し、内向的ではなくなった」と過去を振り返り、「自分の研究・日本滞在費用は文部科学省国費外国人留学生制度(MEXT Scholarship)によって賄われたが、留学生は月28時間まで働くことが許可されている」と付け加えました。また、ワークライフバランスの重要性については「自分はよく働き、よく遊ぶタイプとして知られていた」と述べ、「学生が自分の取り組みに対してビジョンと情熱を保っている限り、満足のいくバランスを達成することができる」と回答しました。

Dr. Lai Hung Wei

シェアリングセッション第二部
Dr. Che Azurahanim Che Abdullah-マレーシア同窓会幹事

マレーシア・プトラ大学(UPM-Universiti Putra Malaysia)生物物理学研究室のChe Azurahanim Che Abdullah教授(以後Dr. CACA)は、「癌関連ナノテクノロジー強化に向けた共同研究をさくらサイエンスが推進」という題目で、ピュアサイエンスと応用科学の難題解決には国際研究パートナーシップが必須であること、そして「良好なパートナーシップが、研究リソース、研究能力、さらには論文等出版物の普及やアクセス増につながる」と述べました。長期的な協力関係を維持するためには双方にとっての利点やインセンティブを事前に十分策定しておくことが大事である、とも付け加えました。

実例としてDr. CACAは、Dr. Lai Hung Weiが在籍していた高知大学(2022年当時)との研究パートナーシップ構築の経緯を語りました。パンデミックの時期、あるZoomウェビナーでDr. Laiが講演を行った後、Dr. CACAは自分が関わる分野でDr. Laiとパートナーシップを築ける可能性に気づきました。 その後二人の研究者は数カ月にわたって協力し、最終的にはさくらサイエンスプログラム(SSP)を通じて高知大学で一週間にわたる訪日研修を実現しました。

SSPを通じた研修でマレーシアの学生はロボット手術や光線療法を実地見学するとともに、日本人学生と交流、さらには日本文化も体験しました。 Dr. CACAは、癌ナノテクノロジーに対する日本の多大な貢献を目の当たりにすることで、次世代のマレーシア人研究者が多大なインスピレーションを得られたことを熱心に報告しました。

Dr. Che Azurahanim Che Abdullah

シェアリングセッション第三部
Mr. Muhamad Haziq Shahrom Ravin Daram-マレーシア同窓会幹事

最後に、この日のイベントの司会を務めたMr. Haziqが、マレーシアでのキャリアにとって日本語を学ぶことのメリットについて話し、マレーシア全土の主要5都市で年に2回実施されている日本語能力試験JLPTについて紹介しました。

マレーシアでは日本語を学ぶと、就職やアルバイトの選択肢が増える、給与が上がる等、一定のメリットがあります。 マレーシアで日本語力のある人は、シフト制で働く英語話者に比べ定時で働くことが多いそうです。 「規律と勤勉を要するが、この機会をきっかけにあらたな言語スキルを獲得し、将来の夢を叶えよう」と聴衆を促しました。 彼はまた、「七転び八起き」という慣用句を紹介し、「困難に見舞われてもきっと乗り越えられる」と参加者に力強く呼びかけました。

Mr. Muhamad Haziq Bin Shahrom Ravin Daram

共有セッションの後はDr. CACAがビデオコンテストの入賞者を発表しました。マレーシア同窓会(MASSA)の公式Facebook ページで最も多くの「いいね!」を獲得した 6編のビデオが表彰されました。
https://www.facebook.com/MalaysiaAlumniofSakuraScienceAssociation/

入賞者
1) Maryam Nazirah Nazril
2) Nur Azryna Zainal Abidin
3) Dharshini Perumal
4) Intan Fatimah Sasila
5) Ashreen Norman
6) Mohamad Aznan

ビデオコンテストを担当してくださった Dr. CACAに事務局より深く感謝いたします。

ビデオコンテストとクイズ大会に入賞した同窓生

その後、同窓生・関係者全員はホテルのレストランに移動し、熱心に交流を深めました。 さまざまなテーブルから活気ある会話と笑い声が沸き起こっていました。JSTさくらサイエンスプログラム推進本部の伊藤宗太郎副本部長は、このような記念すべきイベントを主催した同窓生に激励のメッセージを送りました。最後にイベントの運営面で幹事団とJSTを支えてくださったDr. Lau Woie Jyeが閉会の挨拶で、友情を再確認するために集まったすべての来賓・関係者、幹事、同窓生に感謝の意を表しました。 忙しい中、同窓会の準備をしていただいた幹事団の皆様に、JST・事務局から心より感謝申し上げます。 また、昨年より継続して同窓生に留学関連のレクチャーを行っていただいているJASSO マレーシア事務所の Raymond Tan 氏にも深く御礼申し上げます。

伊藤副本部長
Dr. Lau Woei Jye

Dr. Lau Woei Jyeが編集した同窓会イベントのビデオは、ここからご覧いただけます。