メンバーズ・メッセージ
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- Nguyen Viet
- 所属 :
大阪大学大学院 理学研究科(物理学専攻) - 出身国・地域 :
ベトナム - 名前 :
Nguyen Viet
2015年、私は大阪大学が受け入れ機関となった日本・アジア青少年サイエンス交流事業 さくらサイエンスプラン(SSP)に参加する機会がありました。実地研修のほか、ベトナム人の先輩に出会い、大阪大学での留学生生活について知ることができました。 一年後、学士課程を卒業した私は、大阪大学大学院 理学研究科(物理学専攻)に出願しました。入試に合格し、交流プログラムを主催してくださった教授が研究室に受け入れてくれたのは幸運でした。また、私は大学推薦の奨学金を獲得することができました。私にとって日本の修士課程で学ぶということは、留学を経験すること、そして、研究者としてのキャリアパスを選択すべきかどうかを判断することでした。修士課程の二年間は、実験物理学の知識・経験だけでなく、他の貴重な学びの機会も提供してくれました。
一つ目は、困難や失敗に直面することです。私自身、エネルギーに満ちあふれた状態で研究室に来る日が多かったのですが、何も成し遂げられなかった徒労を抱え帰宅する日も少なくなかったです。これは研究生活の一部だと何度も感じました。良い結果が得られたどうかで毎日を判断し続けると、失敗の日々は数え切れないものになります。「これから刈り取る収穫の量でなく、これから植え付ける種の数によってその日の出来栄えを判断しよう」という引用に大いに救われていました。その日一日、最善を尽くしたのならば、その結果に失望することはありません。一度気分が落ち込み始めると、私は数日間、なかなかそこから這い上がることができませんでした。研究に限らず、メンタル面の健康は日々の生活でも大切です。 「毎日が新たな始まりであるべき」です。
二つ目は物事に取り掛かるときについてです。過去の失敗例と同じく「またうまくいかないのではないか」、あるいは「後からもっと良い案を思いつくのではないか」、と心配して新しいアイディアを試すことをためらってしまいました。しかし、そのためらいを長引かせると、いくら時間があっても足りなくなるので、負担が増します。ためらわずにアイディアを実行するのに有用な方法は、アイディアを達成可能な小さなパーツに分割して、達成した量を追跡できるようにすることです。私は最終的に当初の期待値に到達することはできませんでした。しかしおそらく期待値の七、八割を達成できれば主たる目的を遂行するのに十分でした。時には、小さな一歩を踏み出すだけで、大きな飛躍を遂げることができます。
最終的に私は大阪大学の大学院に進学するという決断ができて良かったです。この二年間で自分が前向きになり、博士号に向けた興味深いトピックも見つけることができました。博士課程はいっそう難しくなりますが、研究者や教師になるという私の目標を達成するのにきっと役立つでしょう。そして新たな目標ができたことで私はいつもなりたいと思っている「より良い人間像」に近づけるでしょう。