同窓会
ホーチミンでの第五回ベトナム同窓会─あらゆる層での日越連携を約束
JSTおよびさくらサイエンスクラブ事務局は、大きな節目となる第五回ベトナム同窓会を成功へ導いたベトナムの幹事会、サポーターおよび参加者の皆様に心からの祝辞をお送りいたします。会場となったSaigon Prince Hotelには87名が集まりました。2019年のベトナム同窓会(SSCV-Sakura Science Club Vietnam)発足以来、初めてホーチミン市での開催となり、またNEXUS Y-tecプログラムの参加者を正式に迎えた初のイベントとなりました。司会はMr. Duong Minh QuangとMs. Mai Ngan Giangが務めました。本イベントでは、参加者一人ひとりの将来に影響を与えた貴重な経験や、現在に至る歩みが共有されました。また、来賓による講演を通じて、今後さらに強化される日越協力関係の展望も示されました。
SSCV副会長のDr. Minh Hang Duongは開会挨拶で、研究者、教育機関および若手人材をつなぐSSCVの役割を強調するとともに、参加者への歓迎の意とJSTおよび運営チームへの感謝を述べました。


ベトナム同窓会 副幹事長
JSTさくらサイエンスプログラム推進本部 伊藤宗太郎 副本部長は歓迎挨拶の中でSSPが2014年以降44,000人以上の若者を日本に招へいしており、そのうち3,400人以上がベトナムからの参加者であることを紹介しました。また、同窓生が強固なネットワークを維持していることを称賛し、今後も日本とのつながりを大切にするよう呼びかけました。
伊藤宗太郎 副本部長
来賓としてお迎えした在ホーチミン日本国総領事館の小野益央総領事からは、現在進行中の二国間協力についてご紹介いただきました。SSPやNEXUS Y-tecといった交流をはじめ、衛星データを活用した防災・気候変動予測、日越大学における半導体チップ技術学部の設立、日越研究機関で専門性の高い共同研究が進行しているとのことでした。小野総領事は同窓生が将来ベトナムの科学界を担うリーダーに成長することへの期待を示しました。
小野益央 総領事
日本ベトナム議員友好連盟会長の小渕優子 衆議院議員からは励ましのビデオメッセージを賜りました。
続いて日越大学(VJU)学長Dr. Nguyen Hoang Oanhは、日越学術交流の起源を歴史的な背景に触れつつ紹介し、現在の日越間協力が国家レベル、大学レベル、産業界レベルで急速に拡大していることを語りました。特にVJU Presidents’ Forum、ジョイント・ディグリーおよびダブル・ディグリー・プログラム、カリキュラムの共同開発、半導体、AI、農業、環境持続性、公衆衛生などの分野における研究連携といった試みを紹介しました。また、日本企業の高等教育への関与拡大により、産学連携がより深化していることにも言及しました。今後は知識や教育プログラムを海外から導入する段階から、国際パートナーと共に知識を創造する段階へ移行していくとの見解を示しました。
Dr. Nguyen Hoang Oanh
集合写真撮影の後、ベトナム国家大学ホーチミン市校工科大学(HCMUT)国際連携部門 副部長であるAssoc. Prof. Dr. Tran Minh Quangは、同大学がコンピュータサイエンス、AI、自動化、材料科学、工学分野で強みを持つ総合大学へ発展した経緯を説明しました。長岡技術科学大学、東京科学大学、東京大学など日本の大学や企業との長年にわたる連携についても言及し、日本企業が教育・研究・人材育成において果たす役割の重要性を強調しました。
国際連携部門 副部長
Assoc. Prof. Dr. Tran Minh Quang
同窓生によるシェアリング・セッションでは、ホーチミン市技術工科大学*(HCMUTE)講師のDr. Nguyen Thien Phucが、2015年のSSP参加が自身の人生の転機となったことを紹介しました。化学工学専攻の学生として東京工業大学(当時)に三週間滞在し、ナノセルロース研究や走査型電子顕微鏡など先端機器を用いた実験を経験しました。日本の研究環境や科学分野の文化、勤勉な姿勢に感銘を受け、その後日本での研究を志すようになったと述べました。 *旧ホーチミン市技術師範大学
その後、博士課程進学のため再び東京工業大学(当時)に留学し、堆肥化プロセス、微生物群集および廃棄物利用に関する研究を実施しました。そこで培った専門技術、批判的思考力、国際的視野、そしてアジア各国との人的ネットワークが現在も大きな財産になっていると語りました。SSP参加者から博士号取得者、さらにカーボンドット材料研究者へと歩んだ経験を振り返り、「百聞は一見に如かず」であると強調しました。
続いて、ベトナム国家大学ホーチミン市校情報技術大学(UIT)のMs. Le Thi Thanh Trucが、2025年夏に奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)におけるNEXUS Y-tec(Young Talents Exchange and Capacity Development)プログラムについて紹介しました。Prof. Sakriani Sakti指導の下、Human-AI Interaction(HAI)研究室で自然言語処理の研究に取り組み、コンピュータアーキテクチャ分野におけるコード生成精度を大幅に向上させるモデルを開発しました。
研究活動に加え、アジア各国からのインターンとの交流、研究発表会への参加、EXPO2025大阪・関西万博訪問など、NAISTでの学術的・文化的経験についても紹介しました。今後は修士課程への進学と、日本でのキャリア形成を目指したいと語りました。
ベトナム国家大学ホーチミン市校情報技術大学(UIT)
Ms. Le Thi Thanh Truc
Ms. Nguyen Truc Quynhがモデレーターを務めたパネルディスカッションでは、3名の同窓生がSSPの長期的なインパクトについて語りました。公衆衛生分野の博士課程学生であるMs. Tam Nguyenは、2015年のSSP体験が研究者を志すきっかけとなり、努力を続け自分を信じることの大切さを学んだと述べました。ホーチミン市パスツール研究所の研究者であるDr. Minh Hang Duongは、時間厳守、敬意、細部への配慮といった日本の文化が現在の仕事にも生かされていると紹介しました。ホーチミン市師範大学講師のMs. Vuong Hoは2024年、豊田工業高等専門学校のKOSEN Global Campへ引率者として参加した経験から、持続可能な都市開発や地域連携をテーマとした学生が中心となった教育方法を学んだと語りました。
パネリストらは今後のSSPへの期待についても述べました。Ms. Tam Nguyenは若手研究者への刺激と人的交流促進におけるSSPの役割を強調し、Dr. Minh Hang Duongは医療・健康分野からのさらなる参加拡大を提案しました。Ms. Vuong Hoは同窓生向けのフォローアップ活動充実を求めました。議論を通じて、SSPが各々の学術的・職業的成長を継続的に支えていることが示されました。
閉会挨拶では、ベトナム同窓会(SSCV)幹事長のMr. Dinh Huy Ducが来賓、講演者、JST関係者および全ての同窓生に感謝の意を表しました。また、自身の九州大学での経験を振り返り、科学技術の発展と日越友好関係の強化に向けたベトナム同窓会の取り組みを改めて表明しました。そして、両国を結ぶ「生きた架け橋」として社会に貢献するイノベーションを創出しながら、活躍し続けてほしいと同窓生へ呼びかけました。
ベトナム同窓会 幹事長
同窓生によるパネルディスカッションの前にはJASSOベトナム事務所Ms. Vu Minh Hanhによる日本留学に関する解説ビデオが上映されました。日本各地の物価など、具体的なデータも紹介され、多くの参加者が熱心に見入っていました。JSTによるNEXUS共同研究、若手人材交流プログラムの概要説明も実施されました。また、会の途中では前方スクリーンに投影されたヒントから最も早くクイズに正答した同窓生が壇上に呼ばれて表彰される場面もありました。閉会後のネットワーキングセッションでは久しぶりに再会し、ゆったりと心行くまで語り合う同窓会の姿が多く見られました。
