同窓会
台湾同窓会が日本での研究や留学を積極的に後押し
2024年11月9日、国立台湾師範大学 進修推廣學院の講堂にて第三回台湾同窓会が開催されました。40人の同窓生が集まり、旧交を温めあいました。最初に今回会場の使用をご快諾いただいた同大学同学院の宋 蕙伶 (Sung Hui-Ling)副院長が参加者を温かく歓迎しました。「今回のイベントは、第3回さくらサイエンス同窓会であり、日本と台湾の交流を深める貴重な機会である─参加者全員が今回のイベントを最大限に楽しんで、将来日本へ再び訪れる機会を掴むことを期待する」と述べられ、同窓会が開会しました。
台湾同窓会(TSSCA)幹事長 国立台湾大学化学系 彭 之皓 (Peng Chi-How)教授からは同窓会の背景説明がありました。同窓会が日本との交流を促進することを目的としていること、そして参加者に対して、留学や研究に関する情報や支援が必要な場合は、さくらサイエンスクラブに気軽に相談するよう参加者に呼びかけました。最後に、彭 之皓 教授は今回のイベントが台湾と日本の関係を深め、参加者の成長に繋がるようにとの期待を表明しました。
科学技術振興機構(JST)さくらサイエンス推進本部 伊藤宗太郎 副本部長はこれまでさくらサイエンスプログラム(SSP)が日本と台湾の交流に大きく寄与していることを紹介しました。日本と台湾の間では、観光を含む経済や文化の面で非常に良い交流活動が行われており、JSTが10年前から実施しているSSPを通じてこれまでに台湾から2000人以上の学生が参加していること、そして、特に最近、科学技術の学術分野において、双方の交流が活発になってきていること、を指摘しました。「日本と台湾の人的交流は特別なものであり、特に、若者同士の交流は日本と台湾のいっそう強固な協力関係を築くための礎となると思っている。JSTは、今後も日台間の交流を促進するための活動を積極的に行っていく」と伊藤氏は今後の展望を語りました。
日本台湾交流協会台北事務所広報文化部 早川 友久室長からは同協会が、次世代を担う人材の育成と教育を目的として、台湾における様々な日本学習リソースプログラムを活用し、3年間にわたり台湾の学生に日本留学のための奨学金を提供していると紹介しました。同協会が設立される前の1972年にはすでに国費による教師向け奨学金があり、これまでに 3,100 人以上奨学金が授与されているとのことでした。
台湾教育部国民及学前教育署高級中等教育組 易 秀枝 (I Hsiu-Chih) 專門委員は科学教育の重要性を唱え、特にSSPが2014年から毎年、若い学生たちを日本に招き、科学技術を体験し、文化交流を行う機会を提供いただいたことについて言及しました。「SSPは、実は単なる一つのプロジェクトではなくて、国際的な学術交流だと思っている。このような国境を越えた交流の機会を非常に重視しており、より多くの学生に利益をもたらすために今後も協力を続けたいと考えている」との前向きな見解を示しました。
国立台湾師範大学 跨域科技產業創新研究学院(College of Industry Academia Innovation) 院長兼所長 高 文忠(Kao Wen-Chung)氏は挨拶の中で「国際的な学術活動の交流において最も印象に残ったことは、さまざまな環境の留学生と友達になるということである。一度日本の土を踏むと、この国をとても好きになると思う。日本の人々から学ぶべきことは多い。同時に、台湾は現在いくつかの分野で大きな成功を収めており、私たちは非常に誇りをもっている。例えばAIや半導体でも、日本との協力が必要な部分がある。将来的には、台湾と日本の科学交流はかなり緊密になるに違いない。日本に行って日本文化についてもっと学び、友達を作る機会を持つことをお勧めすする」と熱く語ってくださいました。
オンラインで登壇した日本学生支援機構(JASSO) 留学生事業部 留学情報課 宮井 朋宏氏は2023年5月1日のデータを用いて日本に世界170以上の国・地域から28万人の留学生がきていること、その中でも台湾からの学生数は6,988人で、留学生総数の中で6位を占めていることを紹介しました。「留学生は、日本の大学の短期留学制度を利用して、企業体験などを含めて海外へ短期留学に行くこともあり、日本の大学で学ぶことで、高度な知識や技術を習得できる。さらに国際的な人脈を築くことができる。日本に留学する場合、学費に加えて、留学生の平均生活費は約20,000台湾ドルくらい。留学生は、行政の許可があればアルバイトが可能なので、日本に住む留学生の約 75% がアルバイトをしている。」と実情を具体的に説明いただきました。日本留学の手続きは、大学選び、出願書類の準備、日本語能力試験の受験など、いくつかのステップがあり、JASSOの公式ウェブサイトには、詳しい情報が掲載されているので確認してほしいと宮井氏は参加者に呼びかけました。
早稲田大学台北国際交流センター 津村 聡氏および楊 雅茜 (Yang Ya Chien)氏からは同大学がなぜ留学生にとって魅力的であるかの紹介がありました。「世界的に高い評価を受けている大学であると同時に、特に就職に強いことが特徴であり、国際的な環境で学びたい学生にとって魅力的な留学制度がある。英語で行われるプログラムや、日本語と英語で学べる併用プログラムなど、様々なプログラムが用意されている。また、留学生向けのサポートセンター、日本語教育センターなど、学生の留学生活をバックアップする様々な支援機関もある。早稲田大学独自の奨学金だけでなく、外部機関の奨学金も多数あり、経済的な負担を軽減できる制度もある。」両氏からは入試要項や出願方法、必要な書類など、実践的な情報提供がありました。
日本台湾交流協会台北事務所広報文化部 門田 健太朗氏、および謝 岱潔(Hsieh Tai-Chieh)氏からは特に同協会の奨学金制度についての説明がありました。日本での研究を志す台湾人学生を対象としたもので、長期・短期の2つのプログラムがあること、長期プログラムは、日本の大学院に進学し、研究を行うための奨学金である一方、短期プログラムは、日本の大学や研究機関で短期の研究を行うための奨学金であるとのことでした。また協会では日本留学に関し日本での生活、研究、大学選びなど、様々な情報提供を行うと同時に日本に関するワークショップやセミナーなどを通じて学生同士の交流も促進しているそうです。
台北医学大学保健栄養学系 陳 俊榮(Chen Jiun-Rong)教授には閉会のご挨拶をいただきました。「さくらサイエンスプログラムに参加し、特に印象に残っているのは、日本の研究者の熱意と真摯な姿勢である。彼らの研究に対する情熱は、私にとって大きな刺激となり、研究活動に大きな影響を与えている。台湾と日本は、歴史的にも文化的なつながりが深く、科学技術分野においても互いに協力し合うべきパートナー。さくらサイエンスプログラムのような交流活動は、日台の若者たちの交流を促進し、将来的な協力関係を築く上で非常に重要だ。そして、この場にいる皆様とも協力し、より一層緊密なネットワークを築いていきたいと考えている。そして、今後の日台間の交流がますます発展することを確信している。」と明るい展望で挨拶を締めくくりました。
最後の交流セッションでは、参加者から大学入試、奨学金、生活環境などに関する質問が次々と飛び出し、白熱した議論が繰り広げられました。各自が情報を共有し合い、具体的な疑問を解消する場となったことで、会話は尽きることなく、予定された終了時間を大幅に超えるほど熱気に包まれていました。この交流会は、日本留学を目指す参加者にとって非常に有意義な時間となり、今後の道筋を考える良いきっかけとなりました。