同窓会

在日本同窓生がオンラインで機知に富むアドバイスを提供

8月19日に開催されたさくらサイエンスクラブ日本同窓会(SSC Japan)主催のオンラインイベント“Exploring Opportunities-Mapping Out the Prospective Journey in Japan-Insights from SSC Alumni”「あらたな機会の探索─日本での将来的な計画を立てるには─SSC同窓生からの洞察」には幹事の尽力によって、さまざまな国・地域から127名の参加者がオンライン上集いました。 このイベントの目的は、日本留学・就職を希望する参加者と訪日・滞在経験のある同窓生との交流や情報提供を促すことでした。 さくらサイエンスクラブがオンラインイベントを提供し始めてからアンケート回答者からは「よりインタラクティブなイベントを開催してほしい」という声があり、今回のイベントではブレイクアウトルーム(分科会)を通じて初めてこういった要望に応えることができました。 日本同窓会副会長のMs. Nusrat Omarが司会進行役を務め、イベントのプロモーションビデオを制作したMr. Le Anh VanがZoomのメインホストを担いました。 以下は分科会で共有された内容の一部です。分科会の動画は Sakura Science Club YouTubeチャンネルでご覧いただけます。

分科会1─Professional in Industry: Ha Hoang and Rizal Hidayat Fadillah
Moderator: Rahul Maroju

この分科会では、参加者からあらかじめ寄せられた質問に回答する形式でセッションが進められ、LinkedInなどの効果的な就活ツール、利用可能なインターンシップ、海外からの求人応募について話し合いました。 日本での就業経験を得るために、Mr. Rizalは日本国外の応募者に日本の経済産業省(METI)国際化促進インターンシップを勧めました。 プログラム修了後は、フルタイムの仕事がオファーされる場合もあります。 このタイプの試験的に働くプログラムにより、ミスマッチを防ぐことができます。 Mr. Rizalはまた、一部の国には日本での求人に対して特定のポータルサイトから応募しなくてはならない場合があることを指摘しました。たとえばフィリピンの人材は、日本で働きたい場合、労働雇用省(DOLE- Department of Labor and Employment)の一部門であるPOLO-OWWA(Philippines Overseas Labor Office-Overseas Workers Welfare Administration)を経由して仕事を探すことになります。

Ms. Ha Hoangは、日本国外から直接仕事を見つけるのではなく、「日本で修士号を取得し、それを足がかりに専門的な仕事を探すこともできる」とアドバイスしました。 JSTさくらサイエンスプログラム推進本部 黄アドバイザーもこれに同意し、日本では英語で行われる大学院のプログラムが数多くあることを強調しました。

外国人留学生の採用において企業は英語面接で採用を行うため、日本語の能力は必須ではありません。しかし、外国人従業員は徐々に日本語を学び、コミュニケーションをとることが求められます。 日本語の学習システムや教材が雇用主によって提供される場合もあります。 通常、日本にいる学生の就職活動は卒業前年度の2月末から3月初めに始まり、卒業する年度の6月から7月頃まで続きます。分科会の詳細はここからご覧いただけます。

分科会2─Professional in Academia: Kaushita Banerjee and Dyuti Prakash Sarkar
Moderator: Abyan Farhandhitya Suprapto

この分科会では、日本学術振興会が提供するさまざまなフェローシップや外国人研究者が博士号取得後、日本でキャリアを継続するためのヒントに至るまで、豊富な情報が共有されました。

また、二つ目の博士号を取得する際の注意点、日本で医学分野を専攻するにあたって知っておくべきこと、国費留学生のGPA足切りなどに関する具体的な質問がセッション中に取り上げられました。 分科会の詳細はここからご覧いただけます。

最後に、ご自身も大学院生であるMr. Abyanが学術の道を追求するモチベーションをどのように保つかについて質問をしました。これに対し、Dr. Dyutiは研究に関わる動機付けと学生の教育に関わる動機がある、と述べました。同氏はプレシデンシー大学 (在インド・コルカタ)在学中より研究が社会にどのように貢献しているのかを知る機会が多く、学部生の頃から博士号取得を目指していました。「解決策を見つけること自体が喜び」だそうです。

続いてDr. Kaushitaは、研究の厳しさを指摘し、「良い時も悪い時もあるが、失敗を受け入れることが大事─結果を得たときのささやかな喜びが、苦労を忘れさせてくれる」と語りました、「学術研究では、産業界とは異なり自分の考え方やアイディアを活用することができる。第三者があなたの研究内容を左右することはない」と指摘しました。博士課程時代、Dr. Kaushitaは日本と共同研究を行う機会を得て、それがきっかけとなり日本で研究を続けています。

分科会3─Student Life in Japan : Sahil Dwivedi and Ju Yoon Hnin Bo
Moderator: Johannes Nicolaus Wibisana

分科会3では文科省の国費外国人留学生制度(通称MEXT Scholarship)に関する具体的な質問が多く上がりました。MEXT留学生として日本で学士号を取得したMr. Sahilは、まず自分の国や地域の日本大使館に連絡することを提案しました。 大使館内には日本留学を扱う部署もあります。 大使館の選考では試験と面接が行われます。 面接自体は専門性の高いものではありませんが、「日本に行きたい」という動機を明確に述べる必要があります。 次年度 (4月開講) に入学が許可されるかどうかを知るのには約 7-8 ヶ月ほどかかります。 日本語能力は科学技術分野を目指す場合は必須ではありません。 国費留学生として選抜された後には、どの大学を選ぶかを考えます。その後、該当する大学で再度面接・試験が実施されます。

日本で直面する最大の課題について尋ねられると、Ms. Juは「研究には必要なくとも、日本語をある程度を知っていることはかなりのプラスだ」と説明しました。 Mr. Sahilは日本語を積極的に使うことで、日本という国およびその社会のあり方が深く理解できると述べました。

英語で学ぶコースについては、各大学に直接確認することが非常に重要であるとMr. Nicolausは強調しました。 日本語が必須かどうかを再確認し、研究テーマや分野、研究室、教授や学部の教員を調べ、事前に把握しておくことが大事だとアドバイスしました。「現在、日本では学部レベルで英語プログラムを提供する大学も増えており、修士課程・博士課程では多くのコースが英語のみで学べる」とのことでした。 分科会の詳細はここからご覧いただけます。

さくらサイエンスクラブ日本同窓会は、仕事・勉学・研究のために日本に滞在している同窓生で構成されています。 日本同窓会は現在、Mr. Johannes Nicolaus Wibisanaが幹事長を、Dr. Kaushita BanerjeeとMs. Nusrat Omarがそれぞれ副幹事長を務めています。 他国と同様に、幹事は2023年3月の公募で選出されました。2023年5月13日には幹事団が初の会合を通じ、このオンラインイベントを企画しました。 幹事団およびサポーターの皆様の貢献に感謝するとともに、イベント成功をお祝い申し上げます。