同窓会
第三回さくらサイエンスクラブ タイ同窓会で絆が確実に復活
“Bring Us Together: Reconnecting and Inspiring”
2020年11月に開催されたオンライン同窓会に続き、2023年2月18日Avani Sukhumvit Bangkok Hotelにて第三回さくらサイエンスクラブ タイ同窓会が開催され、97名の参加者が会場に集まりました。 タイ各地に在住する幹事団のメンバーは頻繁にオンライン会合を通じて準備に勤しみ、その努力が同窓会当日、見事に結実しました。JST およびさくらサイエンス クラブ事務局からタイ同窓会幹事団に心からの謝意を捧げたいと思います。以下はタイ同窓会幹事長Dr. Orawan Sriboonruangによるイベントの詳報です。
< 開会 >
同窓会はMs. Kansiripak Muangnoycharoenの司会によって開会し、関係者および来賓の挨拶がありました。
はじめにタイ同窓会幹事長Dr. Orawan Sriboonruangからさくらサイエンスプログラム(SSP)が残した温かい思い出や絆を復活・維持させるのには同窓生の参加が不可欠であるとの呼びかけがありました。
そして、日本ASEAN友好協力50周年に当たる2023年、「Bring Us Together: Reconnecting and Inspiring」というテーマで開催できたタイ同窓会に足を運んでくださった来賓の方々を温かく歓迎しました。
また、幹事長としてDr. Sriboonruang はJSTが共催している本同窓会が「多くの分野で日泰両国の研究者、教育者、学生がいっそう友情や協力関係を深められるプラットフォームになるであろう」と述べました。
挨拶後、Dr. Sriboonruangは同窓生が幹事団に親近感を持ってもらえるよう、幹事一人一人が壇上で紹介されました。この同窓会は今後幹事と同窓生が一丸となり、さまざま活動に取り組んでいくひとつのきっかけとなりました。また、幹事長としてDr. SriboonruangはJSTおよびJISTEC(科学技術国際交流センター)からの手厚い支援に対しても感謝の言葉を述べました。
JSTさくらサイエンスプログラム推進本部 青木一彦氏からは、プログラム開設以来JSTが様々な形式でタイから3500名以上の学生や研究者を日本に招へいしてきたこと、ならびに、科学技術分野でイノベーションを実現できる若い人材をJSTが積極的に支援していくこと、を伝えました。最後に「タイの同窓生が日本との絆を維持できればJSTとしてもたいへん喜ばしい」と青木氏は述べました。
その後は打田剛 在タイ日本国大使館一等書記官をお迎えし、ご挨拶をいただきました。打田氏は、「SSPのようなプログラムは研究分野でのモチベーションを高めることができる」と指摘しました。また、「交流プログラムは参加学生の学習意欲や知的好奇心を実践的に刺激するごく自然な手法であり、両国間の友情と絆を深める意味もある」と述べました。
最後は、タイ王国教育省OBEC-Office of Basic Education Commission副事務総長 Dr. Thira Bhawangkannathaのからご挨拶をいただきました。JST がタイの学生に多くの経験や機会を与えているとの話がありました。 JST に加え、OBEC はJICA や JASSO など、タイの教育制度を支援してきた日本の政府系組織と協力する機会にも恵まれてきており、今回のタイ同窓会開催にあたっては、JST、タイの幹事団、タイ同窓生メンバーの多大な協力があったことに謝意を表明しました。
開会の部終了後、参加者は司会者の誘導を受け、全員来賓とともに記念写真に納まりました。
< 基調講演 >
このセッションではDr. Sriboonruangが司会となり、チュラロンコーン大学からの基調講演者を紹介しました。一人目の登壇者は同大Department of Physics Faculty of ScienceのNorraphat Srimanobhas助教授で2018年以来、欧州合同原子核研究所(CERN)を拠点とするCMS (Compact Muon Solenoid─小型ミューオンソレノイド)共同研究の管理委員として選出された経緯を語りました。CMSを用いた研究は「人類はどこから来たのか?」といった生命の根幹にかかわる謎を解き明かすことを目的としており、原子よりも小さな世界を探索し、必然的に高エネルギー物理学の領域へ踏み込んでいく分野である、と解説しました。
この研究を進めるには多方面からの協力が不可欠で、まさに共創していくことで研究、科学技術イノベーション、教育・研修等がさらに発展していくことをNorraphat助教授は強調しました。
最後には「たとえ大きなプレッシャーがあったとしてもやりがいのある仕事ができることは幸せにつながります」というメッセージを同窓生に送ってくださいました。
二人目の講演者はChulalongkorn University Faculty of Veterinary Science(CUVET)学部長のSanipa Suradhat教授でした。
Suradhat 学部長はCUVETの病理学(寄生虫学)学科、生理学科、畜産・産科学科、生殖学科では徳島大学、山口大学、東京大学、東北大学等、日本を含む東アジア地域との共同研究が行われていることを紹介しました。
2014年から2019年にかけてはSSPを通じて獣医学分野の国際交流プログラムが開催され、CUVETからは大学教員7名が麻布大学に招待されました。これは感染症に特化したネットワーキングを目指すプログラムで、20か国以上から参加者が招へいされました。
Suradhat学部長によれば、これまでCUVET と日本の協力関係は、学生・教職員の育成、共同研究、組織の能力強化に重点を置いてきましたが、将来的には One Health というコンセプトの下でCUVET と日本が協力を拡充させていく必要がある、との見解を示しました。 One Healthとは、動物・人間・環境の健康やウェルビーイングに対する総合的なアプローチで、 人類・動物がともに健康を維持し、さらに複雑な保健分野の問題にも対処していくことが可能になるとのことでした。
< シェアリング・セッション >
このセッションでは、Dr. Nopphon Weeranoppanantが司会を務めました。 交流プログラムに参加した同窓生3 名がタイ同窓生Ms. Jintanant Tohtubiang (SSP 2022年参加)、Dr. Toungporn Uttarotai (SSP 2018年参加)、Panmanas Sirisomboon教授 (SSP 2016年参加)が壇上で5分のプレゼンテーションを行い、その後SSPで得た経験や今後の抱負につき、語っていただきました。プレゼンテーションの後は和やかな意見交換が続きました。
panel discussion slides https://youtu.be/0GJByA9OAMk
< 日本留学の手引き >
このセッションでは日本学生支援機構(JASSO)タイ事務所のMs. Nampeung Samadehが日本留学についてタイ語でプレゼンテーションを行いました。特に奨学金や留学のための必須条件などについての説明があり、多くの同窓生が興味を示していました。
< 閉会 >
会の終盤ではJSTさくらサイエンスプログラム推進本部 企画運営室 藤田賢氏から同窓生の積極的な参加と有益な交流に対し感謝を述べました。
本同窓会が目指すテーマ「Bring Us Together: Reconnecting and Inspiring」に基づいて、同窓会がSSC メンバー間の友好を促進し、これまで以上に密接な絆を育んでいけるであろう、と藤田氏は強調しました。そして、 将来的にはSSCのネットワークがさらに強化され、同窓生が学生・研究者・ビジネスパーソンとして再来日することを期待しました。
イベントに時間を割いてくれたゲスト スピーカー、基調講演者、パネリスト、幹事団、およびこの会の計画と開催に関わったすべての人に謝意を表明し、藤田氏は閉会の挨拶を締めくくりました。
最後はさくらサイエンスクラブ タイ同窓会幹事長Dr. Orawan Sriboonruangが閉会の辞を述べ、タイ教育省、在タイ日本国大使館、科学技術振興機構(JST)、科学技術国際交流センター(JISTEC)に深い感謝の意を表しました。
第 3 回同窓会を成功させるために尽力してくれた全関係者に謝辞を述べると同時にDr. Sriboonruangは日本ASEAN友好協力50周年である2023年に同窓生が集まれたことはたいへん感慨深いと述べ、第 4 回同窓会で同窓生が再び絆を深められることを切に願いました。
< ネットワーキング・セッション >
同窓会後半ではラッキー・ホイール・ゲームをはじめ、SSPにまつわるクイズ大会もあり、ゲームの勝者が日本からの景品を贈呈されるなど、会場全体が大いに賑わいました。ゲーム終了後は会場の雰囲気もやわらぎ、同窓生はにこやかに語らいつつビュッフェを楽しみました。ネットワーキング・セッションの企画を担当したDr. Somporn Peansukmanee とDr. Siwat Lawanwadeekulからは交流に参加してくれた同窓生に対しお礼のことばがありました。