同窓会

SSCネパール幹事が最初の同窓会を開催─ネパール、日本、そして世界との友好を再確認

さくらサイエンスクラブネパール同窓会(SSCN)幹事団の素晴らしいチームワークにより、4月16日のオンラインイベント”Promotion of Friendship between Nepal and Japan”が開催されました。 開会の挨拶としてSSCNの幹事長Suman Dhun Shresthaさんは、幹事募集の呼びかけに応じてくれたメンバーの様子や、同窓生グループがどのように組織され、ネパールの内外で様々な活動に着手する準備ができていることなどを語りました。司会は幹事の1人であるAneeta Thapaさんが担当しました。

基調講演1
Keshav Lall Maharjan教授

広島大学 大学院人間社会科学研究科

Keshav Lall Maharjan教授

Maharjan教授はプレゼンテーションの中で、「己を知り目的を設定すれば、進路に関わりなく人生の目標を達成することができる」という経験に基づく持論を紹介しました。医学・動物科学に興味を抱いていたにもかかわらず、学生時代のMaharjan教授は京都大学大学院で農業経済学を専攻することとなります。これは来日当初想定していた動物科学(animal science)の分野ではなく社会科学系の分野でした。学士論文と修士論文では、コメ農家等、日本特有のトピックに焦点を当てました。しかし、博士論文では日本から世界的課題へ視野を広め、「バングラデシュの灌漑・排水計画および農村開発」という題材に焦点を当てました。日本で学んだことを応用し、それらを南アジアおよび世界各地で散見される社会的・経済的課題に見事に統合しました。結びの言葉としてMaharjan教授は、「視点の転換」の重要性を強調しました─教授は私たちが囚われている社会的通念、個人的な偏見や思い込みを一切取り除くことが何より大切である、というメッセージを寄せてくださいました。

基調講演2
Rijan Bhakta Kayastha教授

カトマンズ大学 環境科学工学科

Rijan Bhakta Kayastha教授

Rijan教授は、名古屋大学で雪氷学の修士号および理学博士号を取得した日々を懐かしく振り返りました。当初はホームシックに直面していましたが、大学・友人・地元の国際友好協会の支援を受け、次第に日本とその文化をよりよく知るようになりました。ネパールに戻った後、Rijan教授はカトマンズ大学で雪氷学の修士研究プログラムを開講。これまでに留学生を含む35名の卒業生を送り出しています。名古屋での経験から、ネパールに留学してきたさまざまな国の学生を効果的に支援することができた、と感慨深く語りました。また教授は元日本学術振興会(JSPS)フェローとして、ネパールJSPS同窓会(NJAA)を設立し、2015年から2021年にかけて初代会長を務めていたこともあります。さくらサイエンスプログラムに参加後、ネパールに戻った人々に対し教授は同窓会ネットワーク(さくらサイエンスクラブ ネパール同窓会)にぜひ参加するよう呼び掛けてくださいました。

シェアリング・セッション1
Ms. Ruchi Shah(2018年参加)

大学院生 インド工科大学(IIT)ルールキー校

Ms. Ruchi Shah

インド工科大学ルールキー校修士課程で生物科学・生物工学を専攻しているRuchi Shahさんは、2018年に初めて来日し、東京大学大学院新領域創成科学研究科の河村正二研究室でインターンシップに参加することが叶いました。東京大学でのさまざまな講義の聴講、書道などの文化体験、史跡訪問など、日本での温かい歓迎について振り返りました。また、「このときの経験なしに今の自分は考えられない─日本に行ったことが本当に役立った」と、交流プログラムを称賛しました。

シェアリング・セッション2
Ms. Srisha Poudel(2019年参加)

National Child Rights Council プログラムアシスタント

Ms. Srisha Poudel

さくらサイエンスプログラムで、Srishaさんは早稲田大学、聖心女子大学、上智大学、総研大、カトマンズ・ナショナル・カレッジが共催したネパール・日本交流プロジェクト参加学生10人のうちの1人として2019年に初めて日本を訪れました。このプログラムは2段階で構成されており、春には日本側4大学の日本人学生と教授がネパールを訪れ、ネパールについて研究し、学びます。夏には、ネパールの学生が日本にやって来ます。講義への出席や研究論文作成に加え、参加学生は文化施設および災害リスク管理センターといった科学技術関連の施設も訪問します。Srishaさんは、今後もより多くのネパール人学生が日本を訪問・留学する機会を得られたら良いと述べました。

SSC事務局は、今回お忙しい中貴重なお話を賜りました菊田豊駐ネパール日本大使、駐日ネパール大使館臨時代理大使Ambika Joshi氏、そしてネパール教育科学技術省・開発支援調整課、Jaya Prasad Acharya次官に謹んで御礼申し上げます。また日本留学について分かりやすくご教示くださったJASSOマレーシア事務所のレイモンド・タン氏にも御礼申し上げます。幹事の一人、Shreni Rajbhandaryさんが閉会の辞で的確にまとめてくださったように、この会は、ネパール、日本、および世界中のすべてのSSC同窓生の関係をさらに強化するための良いスタートになることでしょう。

Photo AC: mac 1917

ヒマラヤサクラ
1967年、故 Birendra Bir Bikram Shah国王が日本に留学していた皇太子時代、熱海の人々は友好の情を表すために桜の木をネパールに贈りました。 その返礼として故国王は熱海にヒマラヤのサクラの木を贈りました。 2022年は日・ネパール留学生交流120周年に当たります。