同窓会

さくらサイエンスクラブ 第三回インド同窓会をオンラインで実施

ニューデリーで開催された第1回(2018年10月)および第2回(2020年2月)同窓会に続き、第3回目の会が2021年5月29日にオンラインで開催され、世界各地から105人が参加しました。 インド同窓会(ISCA)とJST間調整の結果、ほぼスムーズに実施されました。 さくらサイエンスクラブ(SSC)のイベントは「同窓会」として開催されていますが誰もが参加できるZoom Webinar形式で行っており、一般視聴者の方々も興味を持てるような講演者を招くように心がけています。

2021年 Pravasi Bharatiya Samman Award (PBSA)受賞者による発表

 第3回同窓会では、2名のPravasi Bharatiya Samman Award (PBSA)受賞者、芝浦工業大学Muralidhar Miryala教授および慶応大学Rajib Shaw教授を迎えました。同賞はインド首相が海外で大きな功績を修めた同国人に対して授与する賞です。

 芝浦工業大学のMuralidhar Miryala教授は、エネルギーを損失なく効果的に輸送できる「高温超伝導」に関するご自身の研究を紹介しました。 この技術は、医療、輸送、発電、送電など、多くの産業で応用されています。また、 さくらサイエンスプログラム(SSP)と並行し、Miryala教授は、高校生インターンシップ、グローバルプロジェクトベースの研修制度から博士課程招待プログラムに至るまで、インドからの学生を引き付けるために同大でいくつかの交流プログラム育成を支援してきました。完全に英語で提供されている同大グローバルフルタイムプログラムに応募するよう、教授は視聴者に呼びかけました。

 慶應義塾大学のRajib Shaw教授は、日本で修士号と博士号を取得したご自身の経験、そして25年間日本で教鞭を取ったキャリアに基づき日本の高等教育システムには3つの魅力があると指摘しました。
1)教育の均質性:中堅大学も地域特性を生かしたユニークな研究領域を備えた質の高い教育を維持している。
2)教育の自由:4年間の学部課程と2年間の修士課程を通じて独自のロードマップを作成できる。
3)教育分野に対する尊敬:日本で教育者は尊敬されている。

 2年前、慶應義塾大学内にはIndia-Japan Labという組織が誕生しました。新興技術の多国間研究を強化を目指すとともに、学生が両国で就職の機会を探求することを奨励し、斬新なアイディアに対するスタートアップ助成金も付与しています。

 「革新的な即興を意味するヒンディー語jugaadが日本のomotenashiおよびkaizenとうまく組み合わされば、さまざまな分野でグローバルな革命を引き起こす可能性があります」とProf. Shawは結びました。

インド同窓会幹事推薦による招待講演

 現在、北陸先端科学技術大学院(JAIST)のManish Biyani特任教授は、さくらサイエンスプログラムを通じて生産的な結果を達成するには、needsとseedsのマッチングがいかに重要であるかについて語りました。 さくらサイエンス交流プログラムを通じて「知的にタフな人材を育成できれば、二国間で研究のマッチングが実現する─研究は社会に変革をもたらすべきものであり、研究者は現実世界の問題解決策を生み出すために努力すべき」と助言しました。教授は、地下水汚染を克服する必要性から、重金属を除去する携帯型試験装置と除去フィルターの開発が実現した例を解説しました。 また、試験設備を要さない新型コロナ検査の必要性に応えるため、Biyani教授の研究グループは30分以内に100人の患者サンプルを処理し、どこでも検査結果を得ることのできるロボットを作った経緯を語りました。

 九州工業大学 我妻広明准教授の研究室は、脳型知能の創発(Brain-IS)を専門としています。 さくらサイエンスとインド工科大学(IIT)カンプールとのコラボレーションに加え、日本政府より研究資金を受け、国内外の大学や民間企業と協力体制を構築しています。 Brain ISは、人間と機械の相互作用を強化し、日常的に私たちと接することのできるインテリジェントかつ社会性のあるロボットの構築を支援しようとしています。 具体例としては、自動運転システムや支援機器があり、ロボットはリアルタイムで意思決定を行う必要があります。インド出身の博士課程修了者は、高水準の給与を提示され、日本企業で高く評価されています。 九州工業大学は、文部科学省国費外国人留学生奨学金のもとで履修できるグローバルAAR(高度支援ロボット)プログラムも開講しており、世界中から広く留学生を受け入れています。

インド同窓生による発表

 「Study and Work in Japan」の部では在インド日本国大使館の宮本新吾公使東京大学インド事務所の宮内康行所長による有益なプレゼンテーションの後、二人の同窓生が留学生生活や日本での就職について語ってくれました。

 Swetha Soundrarajanさんは2018年、日本工業大学が受け入れ機関となったさくらサイエンスプランの交流プログラムに参加後、2020年に東京大学PEAKプログラム(国際環境学コース)に入学しました。新型コロナウィルスのため、Swethaさんはまだ日本に到着していませんが、大学はオンライン学習への移行を支援し、留学生をつなぐオンラインイベントも主催して留学生のために最善を尽くしているということでした、

 Swethaさんからは次のアドバイスがありました「自分の学問的関心に合ったものを見つけるため、できるだけ多く日本留学説明会に参加してください。また、出願プロセスでは、成績だけでなく課外活動や勉強と関係ないスキルも重要であることに気づきました。日本語が少しでもできることは常にプラスに評価されます。」

Ms. Swetha Soundrarajan
Ms. Bhargavi Thakur

 2019年から東日本旅客鉄道(JR東日本)で土木技師を務めるBhargavi Thakurさんは、東京大学で修士号を取得後入社し、正社員として働き始めました。仕事内容は新規構造物の設計チェックや研究開発です。「日本企業は良質な研修(OJT)を行い、転職の機会もあるので日本は留学生がキャリアをスタートさせるのに適した場所である」という所感を語ってくれました。 たとえば、日本では農業工学を専攻した人が、ソフトウェア部門で働くことも可能です。また、会社は従業員のキャリア目標に関心があり、定期的な査定を通じて実績が評価されることにThakurさんは言及しました。 従業員は、自ら学び、関心分野を探求するよう奨励されています。 日本はまた、「残業代、通勤手当、その他多くの福利厚生を提供している数少ない国」、という補足もありました。

 JSTおよびさくらサイエンスクラブ事務局は、来賓、招待講演者、インド同窓会主幹事Dr. Jeetender Chughを筆頭に Ms. Disha Malik、Ms. Mansi Sharma、Ms. Antara Puranik他インド同窓会幹事の皆様に感謝を捧げます。

 このたび、日印両国からは交流プログラムに対する温かいメッセージが寄せられました。お忙しい中、時間を割いてくださった岸 輝雄 さくらサイエンスプログラム本部長細田 博之議員 (衆議院議員・日印友好議連会長)鈴木 哲 駐インド日本国大使Sanjay Kumar Verma駐日インド大使松尾 泰樹 文部科学審議官Dr. Sanjay Mishraインド科学技術省(Kiran&INSPIREプログラム 統括者・顧問)にJSTより深く御礼申し上げます。