同窓会
Sakura Science and Beyond─日本における勉学・研究・就職の機会を探る好機に
<オンラインイベントの概要>
さくらサイエンスクラブ(SSC)日本同窓会と科学技術振興機構(JST)は2021年3月6日、オンラインイベント
基調講演の中で、毛利博士は「挑戦には創造性が必要」と語り、聴衆に「一歩踏み出し、境界や制限のない世界を見よう」と呼びかけました。そしてまた問題解決とサイエンス・コミュニケーションに対するグローバルなアプローチを促進することを目指す「つながり」プロジェクトを紹介しました。
集合写真と短い休憩の後、一人目の招待講演者チラユ・コタリ氏は現在、東京大学工学系研究科社会基盤学専攻の修士課程にて学んでおり、さくらサイエンスプラン交流プログラム後に日本を再訪するまでの過程について話してくれました。日本で学ぶことの利点や懸念について触れ、故郷の人々から成るグループとつながることによって助けられることが多い、と語りました。
Dr. Pham Nam Hai(東京工業大学 工学院 准教授)には、スピントロニクスに関する研究内容をご解説いただき、研究者になるための道をどのように切り拓いたか、そしてどのように多くのパートナー企業とコラボレーションを実現したかについて語っていただきました。Dr. Pham Nam Haiはベンチマーキングを通じ産業界にアピールすることが重要であり「未来の問題」を解決しようとする学術的アプローチとは対照的に、「今ある問題」を解決することが重要である、と指摘しました。
Dr. Tarin Clanuwat(情報・システム研究機構 人文学オープンデータ共同利用センター特任助教)は、日本の古典的くずし文字を解読するためのAI構築に関わる研究につき語ってくださいました。Dr. Tarin Clanuwatはくずし文字の画像から現代語(ひらがな・漢字)を書き出すことのできるアプリ等、多くのソフトを開発しました。さらに、本居宣長の「うひ山ぶみ」─学問を新しい山に登ることに例えた書物─の思想を引用し「学問を一生懸命続けることが大切である」と参加者の励みになるメッセージを送ってくださいました。
Ausitn Zeng氏(MEXT Scholars Association創立者・会長)は、日本で働くことについて、「日本にはあなたのための場所がある」、「外国人として何をもたらすことができるかを知ることが重要」との談話からグローバルな高度人材であることをどのように活かしたら良いかについて語っていただきました。さくらサイエンスクラブ主催のイベントで就職に関する専門家を迎えるのは初めてのことです。日本留学を経た意欲の高い既卒生は、人口減少や海外での事業拡大により不足している日本企業内のポジションを埋められること、そして日本企業が国籍を問わず高度人材の採用基準を多角化していること、などの有益な指摘がありました。
さくらサイエンスクラブ事務局とJSTは、このオンラインイベントに参加・登壇・協力してしてくださったすべて皆様に深く御礼申し上げます。また、冒頭に上映された1分動画を制作する時間を取ってくださった海外SSC同窓会代表者の方々にも深く感謝します。参加できなかった方はぜひ、さくらサイエンスクラブYouTubeチャンネルでイベントの録画をご覧ください。*
*YouTube版は一部編集済みであることをご了承ください。
社会的距離に配慮
<アンケート結果の概要>
さくらサイエンスクラブが主催する他のイベントと同様に、回答者の皆様から今後のイベントで考慮すべきポイント含む貴重なフィードバックをいただきました。
回答者60人のうち54人が、ウェビナーを「非常に良かった」と評価しました。「講演者はとてもフレンドリーで温かく、非常に有益な情報が得られモチベーションの高まる話が聞けました」、「本当に思い出に残る有益な体験でした」といったコメントが寄せられました。しかし、このイベントでは進行が綿密に管理されていたことから自発的な交流の時間があまり取れませんでした。もう一歩踏み込んだコミュニケーションのために時間が割り当られればよかったのではないか、という心残りがあります。ある回答者は、「SSCは参加者ともっとコミュニケーションをとるべきだ」と提案しました。
回答者60人のうち35人が大学生でしたが、16人が「現在日本で学ぶ留学生が直面している経験についてもっと知りたい」という要望を挙げ、13人が「特定の分野に関連するセッション、またはサブグループ(スマートシティ、バイオ・健康科学、天体力学などに焦点を当てたグループ等)でのセッション」を希望しました。したがって、将来的には、大規模イベントよりも少人数に絞った限定的なセッションを行うことに意義があるのではないかという意見もありました。小規模なオンライン・セッションを行えば参加者はより近しい距離間で交流することができる上、共同研究のきっかけが持ち上がるかもしれません。
イベントの成功は参加者の数だけから判断できるものではなく、新しいことを学ぶのに十分な時間を取ることができたのならばかなり成功に近いといえるでしょう。事務局一同、今回提起された問題点を真摯に検討し、今後のイベントプログラムを考える際に活かしたいと思います。参加いただいた皆様には深くお礼申し上げると同時にまたオンライン上再会できる日を心待ちにしております。