同窓会
タイ同窓会によるSakura Homecomingオンライン・ウェビナーは終始和やかな雰囲気で
2020年11月27日、タイのさくらサイエンスクラブ同窓会(SSCAT)が主催するホームカミングウェビナーは、19の国/地域から約200人の参加者を迎えることができました。JST e-ASIAスペシャルコーディネーター 小林義英氏およびSSCAT メインコーディネーターAlbert Potjes氏の挨拶から始まった会は、タイ同窓生のチームワークによって、終始親しみやすいリラックスした雰囲気の中で進められました。
ボランティアとして集まった同窓生らは、9月にこのウェビナーの準備を開始しました。事務局からは必要最低限なサポートを提供するにとどまり、彼らは再び会える日を楽しみに今回のイベントを企画しました。会のコンセプト─reunion, re-connect , recommend─もタイ同窓会が独自に決定しました。主催チームはウェビナー全体のバランスやタイムキーピングに配慮したうえでChutharat Chai-ngam先生(Princess Chulabhorn Science High School Pathumthani化学教諭)司会のもと、慎重に何度もリハーサルを行いました。タイ同窓生から要望が多かったため、日本を代表する若手研究者 村木風海氏が基調講演者として選ばれ、村木氏も参加を快諾してくださいました。
若い科学者が集まる炭素回収技術研究機構(CRRA)の紹介に続き、世界的な関心を集めたCO2除去装置「ひやっしー」、そして吸収した二酸化炭素を気体の形で取り出す装置「とるっしー」に関する村木氏の解説に聞き入っていた参加者からは「Amazing」「So interesting!」といったコメントが次々とウェビナーのチャットボックスに入って来ました。取り出した二酸化炭素はメタン(CH4)に変換できるそうです。現在、村木氏はCO2からガソリンを生産する方法を発見し、首都圏郊外の工場で生産が進行中です。
学童期、村木少年はスティーヴン・ホーキング博士の本に触発され、いつか自ら火星に到着したいと決意を固めました。火星に住むためには、火星を覆っている二酸化炭素の層を取り除く必要があります。この夢が研究の根本的な動機となったそうです。現在、我々は燃料の関係で火星へ到達することはできても地球に戻ってくることができません。ロケットの中で燃料を作るという村木氏の着想が実現すれば、近い将来人類は火星と地球を往復できるようになるかもしれません。この目標を達成するために、村木氏は現在、地球と火星を行き来できる新しい乗り物を作るプロジェクトに着手しています。
基調講演の後は三名の同窓生がSSPに参加したことで学業にどのような影響があったかについてプレゼンテーションを行いました。Mahidol University物理学専攻のUdomsopagitPhurinatさんは、地球物理学または生物物理学を大学院で学ぶ計画について言及し、Siwat Lawanwadeekulさんからは、大分大学・大学院工学研究科で取り組んでいる環境工学の研究について説明がありました。Siwatさんが休みの日に撮影した日本各地の写真もたいへん興味深い内容でした。大幅な時差にもかかわらず米国から参加してくれたThitaphon Palm Pirabanさんは、ジョージア州のSavannah College of Art and Designでフェローシップ奨学金を受けVisual Effectsを専攻している様子を熱心に語ってくれました。 また、JSTの協力機関として、JASSO(日本学生支援機構)タイ事務所のNampeung Samadeh氏からは、日本の大学院へ進学する手引き、そしてフェロー研究員として来日する手続きに関する説明がありました。
さくらサイエンスクラブ事務局はこのたび、オンライン同窓会の実現に時間を割いてくれたボランティア同窓生、基調講演を引き受けてくださった村木氏、そして関係者各位に深く感謝いたします。このようなイベントが成功したことにより、新型コロナウィルスの時代にも旧交をあたため、知的好奇心を満たすことができるという確信が持てました。特に、2017年からタイSSC同窓会のFacebookの管理を引き受けてくださったメインコーディネーターAlbert Potjesさんには関係者一同御礼申し上げます(2017年当時、バンコクで開催された日本留学フェアの場を借りて、初のタイ同窓会が開催されています)。 新しいメンバーも加わり、タイ同窓会の活動がさらに躍進することを関係者一同願ってやみません。