2023年度 活動レポート 第22号:福井大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第022号 (Aコース)

ベトナムの大学生と若手講師・研究者のための原子力人材育成交流プログラム

福井大学からの報告

 福井大学は2014年度より本プログラム を通じてベトナムの学生や若手教員を招へいしてきました。2019年度以前はベトナムの2大学から10名を招へいしてきましたが、2020–2021年度に開催したオンライン交流会 を通じて、より多くの機関と交流する機運が高まったため、2022年度 より参加機関数を増やし、2023年度は5つの大学・研究機関から9名を招へいしました。この9名に、福井大学敦賀キャンパスを中心とした原子力教育と福井県嶺南地域における原子力関連施設の現場に触れてもらうことで、将来日本への留学を検討するきっかけとしてもらえればという願いを込めて本プログラムを実施しています。以下、それぞれの日程で行った実施内容と招へい者の様子を報告します。

【8月27日】

 招へい者は関西国際空港で入国して敦賀に到着し、福井大学教員と合流しました。この日は駅前やホテル近辺の施設を散策し、敦賀駅周辺の様子に触れてもらいました。

【8月28日】

 午前に敦賀キャンパスで開講式を行いました。ここでは福井大学の紹介や本プログラムの経緯について説明を行い、また「原子力工学入門~原子炉の安全性~」に関する特別講義を行いました。招へい学生から講義内容に関して質問があり、原子力の安全性に対する考え方について議論が行われ、原子力に対する関心の高さが伺えました。

 午後は、日本人学生とベトナム人招へい者の混成チームによるグループディスカッションを行い、お互いの国の現在のエネルギー事情と将来の姿について各グループの考えをまとめて、プレゼンテーションをしてもらいました。この企画は2021年度のオンライン交流会でベトナム側より提案されたアイディアを2022年度より実現したもので、日本人学生とベトナム人学生・研究者との間で活発な議論が展開されました。その後、福井大学の教員とグループディスカッションに参加していない学生も交えて、総勢数十名の参加者による意見交換会を行いました。特に福井大学生とベトナム招へい者の間での意見交換会は大いに盛り上がりました。

活動レポート写真1
ベトナム人と日本人の混成グループディスカッションの様子

【8月29日】

 午前は敦賀キャンパスで放射線計測実験を行いました。招へい者たちが、自分が納得するまでよく議論を行なっている姿が特に印象的でした。午後は午前に引き続き敦賀キャンパスで熱流動実験を行いました。熱心に水の沸騰する挙動を観察している様子が見られました。

活動レポート写真2
放射線計測実験中の様子

【8月30日】

 午前は、関西電力美浜原子力発電所を見学し、原子力発電の仕組みや安全対策の取り組みについて説明を受けました。午後は福井県原子力環境監視センターを見学し、県内のモニタリングポストから放射線や気象データを収集して監視する環境放射線監視テレメータシステム、及びモニタリングポストに設置されている観測機器について説明を受けました。

【8月31日】

 午前、福井市にある福井大学文京キャンパスの見学を行いました。ここでは大学にある高層の建物から福井市内を一望し、その後図書館の言語開発センター(LDC)や国際交流ラウンジ「セーレングローバルハブ」、留学生用宿舎にある交流スペースとなっている和室を見学しました。続いて、国際課職員による日本留学ガイダンスと福井大学在籍のベトナム人留学生から日本の生活について紹介をしてもらいました。最後に閉講式を行い、修了証を授与しました。

活動レポート写真3
福井大学文京キャンパス見学中の一コマ

【9月1日】

 関西国際空港よりベトナムへと帰国しました。

 こうした継続した交流により、ますます福井大学とベトナム関係機関との関係性が深まってきている実感があります。本プログラムを通じて一人でも多くの招へい者に日本や福井大学に興味を持ってもらい、将来の交流の芽と福井大学への留学の可能性を育てて行きたいと願っています。

活動レポート写真4
修了書授与後の集合写真