メンバーズ・メッセージ

FY 2024
  • Robert Szilagyi
    所属 :
    ブリティッシュコロンビア大学オカナガン・キャンパス(Associate Professor, T1P Research Chair)
    出身国・地域 :
    カナダ
    名前 :
    Robert Szilagyi

2024年1月の「さくらサイエンス」プログラムの一環として、横浜市立大学 立川仁典教授とペプチド結合形成に関連する核量子効果の計算シミュレーションに取り組むことができて、大変喜ばしく思っています。一般に、水溶液中での縮合反応は、エネルギー的にもエントロピー的にも困難な反応ですが、生体系や環境化学では必須の反応です。私たちは特に、地質学的深部(約38億年前)の生命創発の黎明期において、原始酵素の自然発生に重要な反応であったアミノ酸縮合反応に興味を持っています。私たちはすでに従来の量子計算を行い、プロトン移動経路のネットワークを特定しました。(DOI: 10.1039/d3ob00410d)それは複雑な高速道路システムのように、異なる化学環境下で異なる経路を移動します。塩イオン、ヒドロニウムイオンと水酸化物イオンの存在(pH効果)、温度、圧力、といったファクターで計算モデルを拡張する前、SSPの支援によって、私たちは採用している計算化学の精度を高めることができました。立川先生と研究グループのメンバーは、こういった興味深い反応の研究において新境地を開くと期待されるプロトン波動関数について私たちを導いてくださっています。さらに私は今回SSPに共に参加したタイの研究者たちとも学術的なパートナーシップを結ぶことができたので2024 年秋、私の母校であるブリティッシュコロンビア大学オカナガン・キャンパス (ブリティッシュコロンビア州ケロウナ) に彼らを招待できることを楽しみにしています。