同窓会
台湾から日本へ─未来をひらく一歩
SSP 2025台湾同窓会・日本留学説明会 報告
2025年11月15日、台北市のシーザーパークホテルにおいて「第四回さくらサイエンスプログラム(SSP)台湾同窓会」が開催されました。
本イベントは、これまでにSSPに参加した台湾の同窓生と、日本留学に関心を持つ学生・若手研究者70人が一堂に会し、経験の共有と最新の留学情報の提供を行うことを目的としたものです。
開会にあたり、国立台湾師範大学教授で台湾同窓会(TSSCA)幹事長の宋 慧伶 氏が挨拶し、同窓会は「心を一つに、未来を創る」(『TSSCA 2025 Bridging Minds, Shaping the Future ~凝聚思維,共創未來~』)というテーマのもと、仲間が毎年集い、交流を深め、将来的にはチームとして日本を訪問するためのプラットフォームになりたいと抱負を語りました。
国立台湾師範大学 進修推廣學院
宋 蕙伶(Sung Hui-Ling)副院長
続いて、JST理事の森本 茂雄 氏から、2014年以降、2,100人以上の台湾の若者がSSPに参加していることが紹介されました。台湾はSSPにとって最も積極的なパートナーの一つであり、今回の同窓会が、参加者同士のネットワークをさらに強くする契機になることへの期待が述べられました。
来賓として、日本側からは古屋 圭司 衆議院議員(代読)、日本台湾交流協会台北事務所 広報文化部 部長 荒木 直哉 氏(代読)がメッセージを寄せ、台湾と日本が法の支配や人権といった価値を共有する重要なパートナーであること、そして若い世代の交流こそが両国関係を支える基盤であることを強調しました。台湾教育部の林 琬琪 副組長からは、SSPが台湾の科学技術教育の発展に果たしてきた役割への感謝と、今後の学生参加への大きな期待が語られました。
経験を語り合うネットワーキングの時間
第2部では、ビンゴゲーム形式のネットワーキングが行われました。
参加者同士がカードを手に、互いの専攻やSSP参加経験、日本への関心などを話しながらマスを埋めていく中で、会場は笑顔と会話であふれ、学年や所属を越えたつながりが自然と生まれていきました。
ゲーム終了後には、選ばれた5名の参加者が前に立ち、それぞれのバックグラウンドと参加動機を紹介しました。
人事担当者として採用に携わる社会人、修士・博士課程の学生、エンジニア、フィリピン出身の卒業生など、立場はさまざまですが、「日本で学びたい」「国際的な舞台で活躍したい」という思いは共通していることが印象的でした。
国立台湾大学博士課程の蔡 承樺 氏は、金沢大学のウィンタースクールで農薬分析や水質検査、大気研究などに取り組んだ体験を紹介しました。実験や共同研究を通じて得た学術的な刺激だけでなく、日本文化の体験や他国の仲間との交流が、自身の研究意欲をさらに高めてくれたと語りました。
同じく国立台湾大学修士課程の蔡 俊鴻 氏は、高校生の時に参加したSSPで出会った仲間との友情が、今も続いていると振り返りました。留学や研究を進めるうえで、専門知識だけでなく、人とのつながりが大きな支えになっていることが印象的に語られました。
日本留学・奨学金制度の最新情報を共有
後半の第3部「日本留学・奨学金情報セッション」では、日本台湾交流協会、早稲田大学、JSTの担当者が登壇し、日本留学の具体的なステップと支援制度について詳しい説明が行われました。
日本台湾交流協会からは、学部・修士・博士課程向けの長期奨学金や、交換留学などの短期プログラムの紹介がありました。往復航空運賃、授業料、入学金、そして月額117,000~140,000円以上の生活費が支給される制度の概要説明があり、出願には日本留学試験(EJU)の合格が必要であること、少なくとも1年前からの準備が重要であることが強調されました。さらに、2025年4月からは他の奨学金と併用可能な新制度が始まる予定であることも周知され、参加者は熱心にメモを取っていました。
早稲田大学大学院からは、専攻ごとに異なる出願プロセスや、ほぼすべてのプログラムで求められる研究計画書のポイント、豊富な奨学金制度やインターンシップ・就職支援・日本語学習支援など、留学生を支える仕組みが紹介されました。「大学名だけで選ぶのではなく、研究分野で選ぶこと」が大切だというメッセージは、進路に悩む参加者にとって大きなヒントとなりました。
JSTからは、さくらサイエンスプログラム(SSP)が40歳未満の高校卒業以上の若者を対象とした短期交流プログラムであり、科学体験(A)、共同研究(B)、技術研修(C)の3カテゴリーを通じて、日本の大学・研究機関で7日~3週間のプログラムに参加できる仕組みが改めて紹介されました。応募は個人ではなく、台湾側の学校と日本側の受入機関が共同でプロジェクトを組み、日本側が申請書を提出する形であること、渡航費や日本国内経費、保険料などをJSTがサポートしていることが説明されました。
質疑応答では、大学・専攻の選び方や奨学金を得るための戦略、日本での生活費やアルバイト、日本の教員への連絡方法など、具体的な質問が次々と寄せられました。限られた時間いっぱいまでやり取りが続き、日本留学を真剣に考える参加者にとって、大変実践的なセッションとなりました。
おわりに
2025年の台湾同窓会・日本留学説明会は、過去のSSP体験を共有する場であると同時に、日本留学を目指す次の世代の背中を押す場ともなりました。
幹事会で議論された今後の展望とあわせて、台湾SSC同窓会は、学術研究、キャリア形成、文化交流、そして友情をつなぐプラットフォームとして、これからも発展していくことが期待されます。
この出会いと学びの輪が、今後も日台をつなぐ架け橋として広がっていくことでしょう。
