同窓会

「再びつながる絆」インドネシアと日本の絆を深めつつ新たな道を切り開く―成果結実を祝しさらなる協力体制の構築を目指すインドネシア同窓会

2024年12月21日、ジャカルタ市内Grand Sahid Jaya Hotel のCandi Singasari Ballroomは110名の参加者で賑わいました。2022年12月にSari Pacificで開催された前回の同窓会から、実に二年ぶりの開催となります。イベントを通して、Anisah FatonahさんとLivia Liannasariさんが見事に司会進行を務めました。冒頭の挨拶では、さくらサイエンスクラブインドネシア同窓会(SAAI)の第三代目幹事長であるMr. Abdul Baits Dehana Padma Swastikaが、参加者全員を温かく迎えるとともに、幹事一人一人が仕事・学業・家庭とのバランスをとりながらSAAIの活動に尽力してきた様子を語りました。特にこの二年間でSAAIが活動の幅を広げ、大きな進展を遂げたことを強調し、「各関係機関との協力関係は、さらに強固で確かなものになっていくでしょう」と力強い言葉で締めくくりました。

Mr. Abdul Baits Dehana Padma Swastika
SAAI 幹事長
Ms. Anisah Fatonah and Ms. Livia Liannasari
司会担当幹事

<ピンバッジ贈呈式>

続いて、日本科学技術振興機構(JST)さくらサイエンスプログラム推進本部 大槻 肇 企画運営室長が、幹事団への感謝と温かい励ましの言葉を贈り、過去二年間の多大な貢献に敬意を表して幹事一人一人に記念ピンバッジを授与しました。Baits氏が幹事長に就任して以来、SAAIは輝かしい成果を上げてきました。2023年から2024年にかけて、SAAIはBRIN(インドネシア国立研究革新庁)、ASEAN事務局、JASSOインドネシア事務所など、科学技術および教育に関わる主要関係者との繋がりを強化しました。これらの関係を通じて、SAAIはSakura Science Technology and Innovation Award (SSTIA)という科学論文コンテストを開催した他、SAAI Talks、SSC Global Meeting、SAAI SDGs Workshopといった多彩なイベントを実施し、国境を越えた意欲的な人々が交流を深める機会を創出しました。

科学技術振興機構(JST)
さくらサイエンスプログラム推進本部
大槻 肇 企画運営室長
贈呈式の様子
現インドネシア幹事団

<来賓挨拶>

来賓の正木靖 駐インドネシア日本国大使、ならびにBRIN(インドネシア国立研究革新庁)科学技術人材分野副局長のEdy Giri Rachman Putra教授は、現代における人材育成の重要性を強調し、さらなる関係強化と協力を呼びかけました。特に正木大使は、「さくらサイエンスプログラムの同窓生である皆さんが、日本で得た経験やノウハウをインドネシアの未来の発展と、日本・インドネシア関係の強化に最大限に生かしていただけると信じています」と述べました。Edy教授は、独立100周年に当たる2045年に向けた国家開発計画Indonesia Emas 2045に沿ったBRINの若手人材戦略について、高等教育からポスドク以降に至るまで明確に示しました。Edy教授は「このイベントが才能ある若者やさくらサイエンス同窓生にインスピレーションを与え、日本の仲間たちとの絆を深め、Indonesia Emas 2045実現の一助となることを願っています」と語りました。

正木靖  駐インドネシア日本国大使
Prof. Edy Giri Rachman Putra
Deputy Chairman for Human Resources at BRIN
(National Research and Innovation Agency)
来賓集合写真

〈シェアリングセッション〉

シェアリングセッションでは、Ms. Dewi Caesaria Fitrianiの進行のもと、インドネシア各地の登壇者が、さくらサイエンスプログラム(SSP)が自身の人生に与えた影響について発表しました。各登壇者が今後の学びやキャリア、研究において達成したい目標について語る中で、Dewiさんは「今後さらなる刺激的なコラボレーションの機会が生まれるでしょう」と期待を示しました。

Ms. Dewi Caesaria Fitriani
シェアリングセッション進行役幹事
ステージ上に集合した登壇者

Muh. Gunawanさん(ハサヌディン大学看護学部─南スラウェシ州マカッサル)

Mr. GunawanはSSPで横浜市立大学とその附属病院やホスピスで、終末期患者の生活の質を向上させる緩和ケアについて学びました。インドネシアに帰国後、その経験を活かして講演活動を行いました。さらに、数々のコンテストに入賞し、最優秀学生賞として大学で表彰されるなど、多くの実績を残しています。結果としてMr. Gunawanの努力は自己ブランディングの確立にも繋がり、「国々が団結することで、可能性は無限になります」と発表を締めくくりました。

Mr. Muh. Gunawan
Student at Faculty of Nursing, Hasanuddin University

Nadia Nursaidatina Arifah Putriさん(Kibumiコンサルタント)

Ms. Nadia Nursaidatina Arifah Putriは北九州市立大学で実施されたSSPを通じて環境問題への理解を深め、リサイクル資源調達のソリューションを提供するKIBUMIで専任コンサルタントとして活躍しています。NadiaさんはEPR(拡大生産者責任─生産者に環境負荷への責任を負わせることができる制度)に関するインドネシアの政策提言を支援し、バリ島での事前調査、各国大使館や大学との連携を通じて、より良い廃棄物管理の実現を目指しています。さらに、環境プラットフォーム「CATALYZON」や、若者向けの教育資金プラットフォーム「LAMPUNG SMALL STEPS」を共同設立し、さらには世界経済フォーラムにより組織された多様なバックグラウンドを有する33歳以下の若者コミュニティ「GLOBAL SHAPERS SEMARANG」を通じて女性のエンパワーメントにも取り組んでいます。Nadiaさんは、「達成したい目標がたくさんあるので私の挑戦の旅はまだまだ続きます」と語りました。

Ms. Nadia Nursaidatina Arifah Putri
KIBUMI 専任コンサルタント

Ratih Prasetyaさん (インドネシア気象気候地球物理庁BMKG)

Ms. Ratih Prasetyaは、JAMSTEC(海洋研究開発機構)でのSSPへの参加が、自身の大気科学研究者としてのキャリアをどのように後押ししたかを説明しました。インドネシアや日本を含む11か国が関与したフィールドプロジェクトを通じて、Ms. Ratihは講義やディスカッション、データセットを用いた実践的な演習を経験しました。このプロジェクトの目的は、地球最大の群島であるインドネシアの気候システムを観測し、より深い理解と正確な予測を行うことでした。プログラム終了後2020年にMs. Raithは研究論文を発表し、現在もリモートセンシング技術や気象観測用ゴム気球を用いた現地観測を通じて、気象循環の特性を研究し続けています。SSPでの経験が博士課程の研究提案書の作成にも大いに役立ったと述べ、今後もさらに研究を続ける意欲を示しました。また、2020年時点でSSPに参加した八人の同窓生のうち五人が、日本や海外で博士課程に在籍していることも付け加えました。

Ms. Ratih Prasetya
インドネシア気象気候地球物理庁(BMKG)

〈情報セッション〉

情報セッションでは、JASSOインドネシア事務所のMs. Pravindaが日本留学に関する実践的な情報を提供しました。文部科学省による全額支給の国費留学生制度に加え、外国人留学生学習奨励費(文部科学省が優秀な私費外国人留学生に対して提供する奨学金)についても紹介しました。さらには地方自治体や国際交流団体による奨学金の情報も紹介し、JASSOインドネシア事務所がメールで個別相談を行っていることも案内しました。

Ms. Pravindha Martika Sari
JASSO インドネシア事務所

JST(科学技術振興機構)からは髙橋直大副調査役が、新たな交流プラットフォームである若手人材交流プログラム(NEXUS Y-tec)について発表しました。Y-tecは、ASEAN諸国と日本の間での人材頭脳循環(ブレインサイクル)促進を目的として設立されたプログラムです。40歳以下が対象で、日本への招へいや日本からの派遣が可能であり、1名につき1年間で最大90日間の滞在が認められます。インドネシアにおける推奨分野はバイオものづくりですが、自然科学、人文科学、社会科学のあらゆる分野も対象となります。2025年1月以降に募集が開始される予定で、これまでに日本への渡航経験がなくても応募可能です。

科学技術振興機構(JST)
さくらサイエンスプログラム推進本部
髙橋直大副調査役

〈アクティビティセッション〉

このセッションでは幹事のMr. Alvinが司会を務めました。参加者の名前を探すアルファベットビンゴゲームが行われ、3名が勝者となりました。ビンゴゲーム終了後、挙手をした数名の参加者に感想を求めたところ、2022年に登壇者として参加したEgiさんが「幹事の皆さんのおかげで仲間に再会できました」と、幹事たちへ温かい感謝の言葉を贈りました。最後には全員がクラブのモットー「Sakura Science, We are One!」と高らかに声を合わせ、会は盛況のうちに幕を閉じました。

幹事Mr. Alvinがゲームの勝者を壇上で紹介
幹事団に深い感謝の言葉を送ったMr. Egi

Abdul Baits Dehana作成