2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第68号 (Aコース)
環境分野における日本の科学技術を核にSDGs達成を目指すグローバル協働ワークショップ
千葉大学教育学部
教授 辻 耕治さんからの報告
2025年2月5日~11日、インドネシアの6機関(インドネシア大学、インドネシア教育大学、ガジャマダ大学、バンドン工科大学、ボゴール農科大学、ウダヤナ大学)、タイの2機関(マヒドン大学、モンクット王工科大学トンブリー校)から、大学生、大学院生、計8名を招へいした。
招へいに先立ちオンライン交流を行った。ASEANの大学からの招へい予定者、海外交流に興味を持つ千葉大学と、本プログラム関係教員が参加した。本プログラムの概要説明と参加者全員による自己紹介を行った。このオンライン交流により、招へい期間中の活動がスムーズになった。
【1日目】
まずガイダンスと自己紹介を行った。続いて千葉大学学生とともにマシュマロチャレンジを行った。これはチーム作り研修であり、パスタ、マシュマロ等を用いて塔を作り、チーム間で高さを競うものである。構造材としてのパスタの脆弱性がネックとなり、イメージどおりに作成することが難しいため、チーム内での話し合いと試行錯誤が必要となる活動である。話し合い、競い合うことで、参加者は打ち解けていった。その後、軽食を伴う歓迎会を開催し、親睦を一層深めた。
【2日目】
野村純教授と松井聰教授の引率で、千葉大学学生とともに佐倉市の国立歴史民俗博物館と武家屋敷を訪問した。充実した日本の歴史・文化に関する展示を見学・体験することで、日本への学びを深めた。

【3日目】
環境分野に関する2つの講座に参加した。午前は、泉賢太郎准教授による「地球環境の変遷」についての講座で、大地球のエネルギー収支や大気の温室効果の計算に関する演習に取り組んだ。午後は、大和政秀教授による「土中環境と植物」についての講座で、植物と共生する菌根菌の顕微鏡での観察に取り組んだ。演習や標本スライドの作製・観察を通し、環境分野に関する研究についての理解を深めた。


【4日目】
午前は先端科学ワークショップ、すなわち先端科学のトピックに焦点をあてた教材の開発について、千葉大学学生と議論・検討した。午後は、先端科学教育セミナー、すなわちASEANの教育現場におけるデジタルトランスフォーメーション活用の現状についてのセミナーに参加した。
【5日目】
午前の国際研究発表会では、研究領域ごとの会場に分かれて、招へい者と日本の高校生が各自の研究内容を発表した。英語での質疑応答は、双方にとり貴重な国際交流の機会となった。午後のSDGsワークショップでは、日本の高校生、千葉大学学生およびASEANの高校・大学教員らとともに、SDGs達成に向けたアイデアをグループごとに議論し、ポスターにまとめ、各グループのアイデアを教室全員で共有した。
【6日目】
環境分野に関する2つの講座に参加した。午前は、ヨサファット・テトォコ・スリ・スマンティヨ教授による「グローバル環境変動への取組みと展開」についての講座で、環境リモートセンシング研究センターの同教授の研究室を訪れ、最新鋭のレーダーシステムを搭載したドローンの説明やその研究活動についての講義を受けた。午後は、田邊純准教授による「森林環境と樹木」についての講座で、由来の異なる樹木の成長経過を解析することで、森林環境が炭素固定等の樹木の諸成長に及ぼす影響を考察する実験に取り組んだ。3日目の講座と合わせて、環境分野に関する研究についての理解を一層深めた。


【7日目】
ファイナルプレゼンテーションを行った。本プログラムで学んだことについてグループごとに発表した。どの発表も、本プログラムへの感謝と高評価を伝える内容であった。その後の送別会では、千葉大学学生との友情を深め、名残を惜しみながら帰国の途に就いた。
招へい者と千葉大学学生の交流は、本プログラム後もSNS等を通して継続している。すなわち、本プログラムは若い世代の国際ネットワークの創出にも寄与するものとなった。未来に活きるこの貴重な財産の創出をご支援していただいたJSTに深く感謝申し上げます。