2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第67号 (Bコース)
探査で探る太陽系天体の起源と進化
大阪大学からの報告
2025年1月、中国の武漢大学から大学生、大学院生、研究者、計12名を招へいし(うち4名は自己資金による招へい)、B.共同研究活動コースのプログラムを実施した。日中の研究チームの協力を強化し、天体物理学分野における双方の長期的な協力を促進すること、そして太陽系天体の起源と進化を解明し、関連する研究論文の発表可能性を探ることを目的とした。
【1月15日】
この日は初日でオリエンテーション。近藤研究科長の挨拶のあと、各人の自己紹介を行った。
【1月16日】
<日本側の研究成果発表>
まず、桂木教授に粉流体の話、寺田教授に月に関する新しい面白い成果を講演していただいた。参加者の興味のある話題であるため、評判は良かった。そして、宇宙進化研究室(長峯研)の大学院生、藤原君に宇宙物理と惑星組成を結びつける話をしてもらった。中国側の学生にも良い刺激になったと思う。
【1月17日】
横田准教授の惑星間プラズマの話、太陽系外惑星の話まで含む盛り沢山の内容であった。午後には、YAN, JIANGUO氏による武漢大学惑星測地学グループの紹介、またQiu氏による月の古い溶岩噴出地域の分布の研究紹介が行われた。

旗には武漢大学の研究室名「測絵遥感信息工程国家重点実験室」とある。
【1月18日】
阪大の博物館でマチカネワニ化石の展示を見る。化石標本だけではなく、大学がどういう場所に存在しているかについても興味があったようだ。この日の午後と翌日は、いくつかのグループに分かれて京都や姫路を訪問し、日本文化を体験した。
【1月20日】
<立命館大学草津キャンパス宇宙地球探査センター(ESEC)訪問>
立命館大学は、阪大から転任した佐伯教授を中心とした新組織を立ち上げて、日本の惑星科学を接触的に推進する役割を果たしている。特に月着陸探査については、理学的並びに工学的側面の両面において第一線の研究を行っている。まず、准教授の長岡氏、助教の仲内氏から「立命館大学ESECの月探査へ取り組みと将来ヴィジョン」と言う内容の話があった。
午後は、月惑星探査開発に携わる研究室の紹介を受けた。小林研(テラメカニクス)、加古川研(ロボティックス)、ESEC月惑星探査実験室の順で実験室を見学した。テラメカニクス(土質力学)の研究室には、中国からの留学生が数名おり、参加者が直接コミュニケーションを取ることができたので得るところが大きかったと思う。


【1月21日】
月表層での水探査について、山中准教授によるキャビティーリング法と言う独自の手法の説明、実験室の紹介も行われた。

【1月22日】
<中国側の研究成果発表>
4名の中国人院生の発表を行った。 Shangbiao Sun (Martian gravity field solution using Tianwen-1 data)、Min Chen (Phobos shape modeling using MEX images)、Chongyang Wang (Lunar tidal parameters using 4W mode)、Wanling Yang (Auto-navigation of 311P)。フォボスの形状モデルなど、日本が進めているミッションにも使えそうな話があった。

【1月23日】
<ラボツアー>
佐々木研のラボツアー。宇宙風化ラボとダスト加速器。
午後は、神戸大平田氏、国立天文台松本氏に講演していただいた。日本では、少なからずの機関で惑星探査に関わる研究が行われていることが理解されたと思う。
この日は、大学の食堂で懇親会が開かれた。講演する松本氏、サインの要求に気軽に答える。


【1月24日】
Yan氏らと、今後の交流計画について議論を行った。
【1月25日】
帰国するメンバーを、関西国際空港まで見送った。