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2024年度 活動レポート 第57号:東北医科薬科大学

2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第57号 (Aコース)

モンゴル-日本 薬学交流 私立薬科大の薬学研究と大学病院薬剤部の実際

東北医科薬科大学からの報告

2025年1月、モンゴル薬科学大学から大学生・大学院生・若手職員12名を招き「薬学交流」をテーマとしたさくらサイエンスプログラム科学技術体験コースを実施しました。

タイトルを「モンゴル-日本 薬学交流 私立薬科大の薬学研究と大学病院薬剤部の実際」と銘打ち、本学薬学部で学部生や大学院生が普段受けている先進的な教育プログラムや、大学病院薬剤部での薬剤師業務、病院と薬学部・医学部の連携、そして実験室で行われているユニークな科学研究を紹介し、様々な項目に挑戦・体験してもらいました。

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1日目は本学の高柳理事長と大野学長による歓迎のあいさつにより始まりました。大学施設案内の後に、臨床薬剤学教室鈴木講師と金野助教によりフィジカルアセスメントを中心とした薬学部教育の取組みが紹介されました。実際に本学学生が実習している人形を使用した聴診・血圧測定・筋注などの項目を体験しました。

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薬学部教育でのフィジカルアセスメント実習を体験

2日目は場所を大学病院薬剤部と医学部に移し、岡田薬剤部長・渡邊助教の説明のもと、薬剤部や各病棟での薬剤師業務について見学しました。昼食時には宮城県の特産品で彩られたお弁当を楽しみながら、現役薬剤師や本学学生・大学院生も参加して和気あいあいとした雰囲気で情報交換会が行われました。特にお互いの国の薬剤師をはじめ医療職の現状について議論が深まりました。午後には宮城大学との多職種連携教育IPEの取組みなどを見学しました。

活動レポート写真3
大学附属病院薬剤部の見学

科学技術交流としての当プログラムの柱の一つが、モンゴル国薬用植物の成分薬効解析研究の紹介です。3日目午前中は、生薬学教室佐々木教授により日本の漢方薬・生薬・地域特産品の研究について講義を受けました。午後は、実際に共同研究の課題植物を題材に、薬効成分を単離精製する方法や実験手技について、村田准教授よる指導がありました。

活動レポート写真4
モンゴル国薬用植物から得た化合物の化学構造解析に挑戦!

4日目は植物成分の化学構造決定手順について、実際にデータを読み解きながら理解を深めました。本学に在籍するモンゴル国出身の研究員や留学生の協力もあり、充実した意見交換が進みました。

プログラム終盤は仙台から東京へと移動。5日目は東京大学農学研究科大黒教授による講義を受講しました。講義内容はモンゴル国でも深刻化している砂漠化や薬用植物を含む環境保全の課題です。招へい者の皆さんは真剣に聴講していました。また東京大学・京都大学・農研機構をはじめ、本学も参画している草地回復を目的とした地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS事業)の活動についても紹介がありました。
 その後訪問した小石川植物園では、モンゴル国に自生し、日本でも重要な薬用植物などを観察しました。1月にも関わらず咲いていた寒桜の花に、「さくら」サイエンスプログラムで桜を見ることができた!と一同喜んで、思い出とともに写真に収めていました。

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1月の寒空のもと小石川植物園で咲いていた寒桜の花を前に

7日間があっという間だったと、モンゴル薬科学大学のみなさんは振り返ります。体験を中心にハードな行程となりましたが、聞くと「非常に楽しく充実していた。」「今後もこの経験を母国での学習や仕事に活かしたい。」「交流をより緊密に、かつ継続的に続けたい。」「是非また日本に来て勉強したい。」との感想が聞かれました。日本側担当者にとっても、学内外のみなさまの温かい協力のもと数多くの経験を積みました。修了証授与式で吉村薬学部長より「本プログラムに参加された皆さんが、本学とモンゴル薬科学大学そして、日本とモンゴルの架け橋となっていただけると大変嬉しく思います。」と述べました通り、今後もこの良好な関係を軸に、交流と共同研究を発展させたいと思います。