2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第56号 (Aコース)
ベトナム、モンゴルの学生が山口県の産業・技術力を学ぶ
~長期的な人材交流とネットワーク強化を目指して~
山口県からの報告
2025年1月13日から1月19日までの7日間、ベトナムの3機関(フエ工業短期大学、商工短期大学、カオタン技術短期大学)およびモンゴルの2機関(モンゴル工業技術大学付属高専、モンゴル科学技術大学付属高専)から、高専生4名、大学生2名、引率教員2名、計8名を山口県に招へいし、科学技術体験プログラムを実施しました。
本プログラムは、さくらサイエンスプログラムを活用して山口県内企業の職場・技術体験等や県産業技術センターの科学技術に触れる機会を提供し、山口県の産業・技術力に対する理解を深めてもらうことを意図して企画されました。モンゴル、ベトナムとの長期的な人材交流とネットワークの強化を図ることで、県内企業への就職等を支援することが目的です。
【1月14日】
午前中に山口県庁を表敬訪問し、各メディアの取材の中で、招へい学生による本交流の意気込みを語っていただきました。
午後はベトナムの機関の協力支援幹事校である宇部工業高等専門学校を表敬訪問し、授業や実習の様子を見学。特に、同校の学生による外国人向けの日本語オンライン教室サークルを訪問した際には、「サークルに入ってみたい」「日本語を教えてほしい」という声が上がり、日本語の習得に積極的な姿勢が見受けられました。連絡先を交換するなど終始フレンドリーな雰囲気を醸し出していました。

【1月15日】
鋼鈑工業株式会社を訪問し、会社説明のあと工場見学を行いました。会社説明時には「御社ではどのようなスキルや日本語能力を身に付けたらよいか」「インターンシップは実施しているか」など招へい学生からの積極的な質問が飛び交いました。
午後は株式会社トクヤマを訪問。技術体験としてバルブの開閉作業に伴う「指差し・呼称安全確認」体験を行い、日本式安全確認作業を学習しました。また、「外国人材の活用」について、同社社員と招へい学生によるディスカッションを行いました。「期限付きで働き、いずれは母国に帰りたい」とする意見がある一方で、「可能な限り長く一緒に働いてほしい」とする企業側の意見もあり、意見のギャップを埋める方策を協議する中で、自身のキャリア観を見つめなおす機会となりました。

【1月16日】
産業遺産でもある国内に唯一・最古のセメント焼成窯を保有する太平洋マテリアル株式会社を訪問し、同社の長い歴史に裏付けされた技術力と現場力を視察しました。大規模な施設に圧巻の表情を浮かべる招へい学生たちでした。
午後は、山口県産業技術センターにて、モンゴルとベトナムの2手に分かれ技術体験を行いました。モンゴル組は3Dスキャナを用いた物体形状のデータ化を体験し、ベトナム組は温度や湿度計測器を使用し、プログラミングを用いて計測データをクラウドに保存する体験を行いました。「非常に実践的で楽しかった」「このセンターでもインターンシップの受入はやっていないのか」と声があがるほど、実践的なプログラムにみなさん満足していました。

【1月17日】
新光産業株式会社を訪問し溶接作業のデモンストレーションを視察しました。「顧客のオーダーをどのようにして設計に反映させるのか」「働く環境がすばらしい。使用されているソフトも学校で勉強したことのあるもので馴染みやすい」と同社へ多くの関心が寄せられていました。
午後は、株式会社神戸製鋼所長府製造所を訪問。「就職したらどのくらいの期間スキルを身に付けるのに時間がかかるか」「必要な資格や身に付けておくべきスキルはあるか」など帰国後の自身の学習を見据えた質問をしていました。

【1月18日】
海峡と歴史の街、山口県下関市を視察。内陸国であるモンゴルにとって、海や水は非常に神聖なものです。海の水を手ですくって額につけたり、思わずオンライン通話で母国のご家族に海を見せたりする招へい学生もいました。また、関門海峡を繋ぐ、歩行者用海底トンネル「関門トンネル人道」を渡り、山口県と福岡県の県境を歩いて渡る体験も行いました。
本交流により、学校や国籍を超えたダイナミックで刺激のある学びの場となりました。
