2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第49号 (Aコース)
伝統的建造物の実地調査による建物の長期利用を目指した保全のための協働ワークショップ
秋田県立大学からの報告
JSTさくらサイエンスプログラムより助成をいただき、マレーシアのマラ工科大学(UiTM)から学生を招いてワークショップを中心とした国際的取り組みを行いました。日程は2024年12月8日から14日までの7日間でした。クアラルンプールという世界的な大都市を擁するマレーシアですが、住宅建材として木材も多く使用されています。マラ工科大学でも木材に関する研究は盛んです。今回の建築材料学に関する実習は、共に建築用木材とその耐久性という共通した問題点を持つ秋田県とマレーシアの学生が協働するものでした。

本プログラムには、マラ工科大学からは学部生7名と引率教員1名が参加しました。参加者全員と秋田県立大学の学生は、日本で会う前に計2回のオンラインミーティングに参加しました。本オンラインミーティングは、いわゆるCOILの手法を応用し、日本人とマレーシア人が時間をかけて共同作業をするというものでした。この取り組みを通して、両国の学生は来日前からすでにお互い打ち解けることができ、またプログラムの内容について学習することができました。

【12月9日】
来日後秋田県での第一日目。午前中はキャンパスツアー、研究室訪問、日本文化に関する講義などの活動を行いました。午後からはいよいよ本学教員による建築材料学や建築構造学に関するワークショップです。担当教員が用意した木材サンプルに直接触れるなど、日本の建築材料について多くを学びました。

【12月10日】
前日得た知識を活かし、17世紀に建てられて秋田県内に現存する古民家で計測実習を行いました。大学から大掛かりな装置を輸送し、日本人学生も補助して大学の講義さながらの本格的な実習となりました。12月の秋田、しかも古民家の中ということもあり、厳しい寒さの中での作業となりましたが、いろりを囲んで計算や集計等を行い、思わぬ形で日本の伝統的暖房設備に触れることができました。

【12月11日】
大学に戻り、前日に古民家で得たデータを分析しました。本プログラムの重要なテーマの一つ、「マレーシアと日本の住宅建材等に関する類似点と相違点」を明らかにするため、マレーシア人学生によるプレゼンテーション発表会も行われました。

【12月12日】
秋田県立大学の研究施設の一つ、「木材高度加工研究所」を訪問しました。午前中は所内見学をし、午後は実際に木材を様々な形状に加工するなどの作業に参加しました。日本の伝統的な手法と同時に「木材を曲げる」などの最先端の技術を体験し、本プログラムの一貫したテーマである「日本の建築材」に別の角度から触れることができました。
【12月13日】
最終日の五日目。日本の伝統的な建築材や建築技術が多く用いられ、いまだに住居として活用されている家屋を見学しました。見学場所として選ばれたのは秋田県の有名な武家屋敷地区、角館です。マレーシア人学生たちは散策を楽しむ傍ら、長期保存されている武家屋敷の特に外壁や屋根の状態などを観察しました。
全プログラム終了後、本学教員が羽田空港まで一行をお送りし、本プログラムは終了しました。一行の日本滞在は終了しましたが、マラ工科大学と本学との連携は今後も続く予定です。2025年には本学とマラ工科大学との間で大学間協定が締結され、本プログラムの担当教員とマラ工科大学教員との間でも今後共同研究や研究目的での学生派遣などが計画されています。
最後になりましたが、このような貴重な機会をお与えくださったJSTさくらサイエンスプログラムの関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。