2024年度 活動レポート 第23号:大島商船高等専門学校

2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第23号 (Aコース)

離島環境におけるSDGs達成に向けた実務学習

大島商船高等専門学校からの報告

 本プログラムは、SDGsをテーマとした課題に英語で取り組むことにより、実務学習の知見と技術を取得すると共に、英語学習の意欲向上と国際性の涵養を促すことを目的として実施しました。海上における実務訓練を通して、パートナーシップの醸成と実践的コミュニケーション能力の向上を目指しました。

 国際交流プロブラムの期間を2024年9月8日~9月14日(全7日間)に設定し、海外の学生と一緒に英語で取り組むキャンプを計画しました。参加希望者の募集は、本校の国際交流において実績のある海外教育機関(シンガポール・フィリピン・台湾)、中四国地区の高専、そして全国の商船学科のある高専などにご案内しました。その結果、海外から15名、国内から15名、合計30名の学生に参加していただくことになりました。本校で開催する国際交流イベントとしては大規模なものとなります。

 研修2日目に、海上における実務訓練の一つである、水上オートバイ救助訓練を本校のPWCレスキュー部が中心となって実施しました。水辺の救助を体験すると共に、海洋環境の大切さを学ぶことができました。また、カッター実習(小型船舶の操船訓練)では、パートナーシップの重要性について、体を使って経験してもらいました。

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水上オートバイ救助訓練の様子

 研修3日目の陸上における体験学習では、産業と技術革新の基盤について学ぶ機会をつくり、各グループのリーダー役がキャンパスの案内と英語の通訳を担当しました。また、各研究室の案内役として、研究室の学生が主体的に英語のプレゼンテーションを行い、学生間でコミュニケーションできる環境で学んでもらいました。

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研究室案内及びプレゼンの様子

 研修4日目および5日目は、練習船(大島丸)による広島までの体験航海を実施しました。国内外の学生が船内で寝食を共にし、パートナーシップで目標を達成することに挑みました。また、大島丸の電気推進について乗組員から説明を受け、クリーンエネルギーについて考える機会をつくりました。さらに、広島に到着後には平和公園を訪問し、平和と公正を学ぶ機会を、宮島に到着後には世界遺産を見学することにより異文化交流する機会を設けました。2日間の実習で、パートナーシップと実践的コミュニケーション能力が向上しました。

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練習船(大島丸)での体験航海におけるロープワーク実習の様子

 国際交流プログラムの期間中、外部の講師だけでなく、本校の教員や海外からの引率教員による様々な実践的講義を実施し、教員間の英語運用能力の向上を図りました。研修6日目は、専門分野に対する講義内容に対してグループワーク形式の参加型学習を実施しました。SDGs課題としては、7(エネルギーをみんなにそしてクリーンに)、9(産業と技術革新の基盤をつくろう)、14(海の豊かさを守ろう)、16(平和と公正をすべての人に)、17(パートナーシップで目標を達成しよう)について考えてもらいました。

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外部の講演者によるグループワークの様子
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修了式後の集合写真

 今回の国際交流プログラムにより、学生は何を達成し、どこまで成長したのかを、アンケートを用いて分析しました。国内の学生は、自分自身の英語レベルに対する評価が低く、これからもっと頑張ろうという意欲が感じられました。また、積極性と実行力の成長についても自己評価がやや低い結果となりました。一方、コミュニケーション力やチームワーク力に関してはやや向上がみられました。自分自身が最も成長したと評価したところは、チャレンジ精神や異文化適応力と考えていることが分かりました。総合的に見ると、国内の学生の方が海外の学生よりも達成度において高い自己評価をしており、プログラムに対する満足度が非常に高いことを伺い知ることができました。今後、もう少し長い時間をかけて、参加した学生の変化と成長の課程を見守っていく必要があると思われます。

 今回の国際交流プログラムでは、練習船を活用して商船高専ならではの特色を十分にアピールすると共に、参加学生に対して国際交流プログラムの狙いを明確に示すことができたと考えています。今回の経験を活かし、国際交流事業のさらなる発展に活かしたいと考えています。

 ありがとうございました。