2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第22号 (Aコース)
高速画像センシング技術のスマート農業への応用に関する技術体験
福井大学 学術研究院工学系部門 知能システム工学講座
教授 藤垣 元治さんからの報告
2024年9月8日から14日までの7日間、カンボジア工科大学電気工学部の学生4名と若手教員1名の計5名を招へいし、研究室で開発した高速画像センシング技術を水耕栽培で育てた植物に適用する実験を招へい者が自分で行うということを目標として研修を実施した。
【1日目】
朝に羽田空港に到着し、日本の最新技術を知ってもらうために日本科学未来館と東京スカイツリーを見学してから北陸新幹線で福井に向かった。
【2日目】
研修のガイダンスと学部長への表敬訪問を行った後、研究室における研究内容の紹介を実際の実験装置を見せながら行った。その後、画像撮影と画像解析の基本について日本の学生による講習を行った。
【3日目】
大学近くにある(株)松浦機械製作所を訪問し、精密な工作機器の製造現場と最新の金属3Dプリンターの見学を行った。また、昨年度に発足したばかりの産総研の北陸デジタルものづくりセンターを訪問し、歩行時の人の動きを時系列で計測する最新の装置や、スマートテキスタイル、金属3Dプリンター、超精密な3D計測装置など各種最新計測装置などの見学を行った。
【4日目】
高速画像計測装置の実習として、構造物の振動時の変位計速と高速三次元計測装置の操作方法を習得し、その装置を使って自分たちで実験ができるようになった。植物への適用実験では、高速三次元計測装置を用いて、レタスの葉の動きを時系列に計測する実験を行った。セッティングの仕方からデータ取得まで招へい者自身でできるようになったため、装置の位置を調整して固定し、ソフトウェアを使って10分おきに2日間連続で計測できるようにセットした。
【5日目】
研究室において、昨日設置した計測装置の動作状況を確認した。また、時系列データの扱い方やデータ整理の仕方について研修を行った。午後にはグラスITフィールズ(株)を訪問し、スマート農業で用いられるセンシング装置の開発と実際の畑での使用例の見学を行った。
【6日目】
前日に行った実験結果の解析データを3次元動画に編集し、それをもとに成果報告用のプレゼン資料を完成させ、成果報告会を実施した。その後、帰国のために東京に移動した。
【7日目】
森ビルデジタルアートミュージアムを見学し、光技術をふんだんに取り入れたアートを堪能した後、成田空港から帰国の途に着いた。
光応用計測の基礎に加えて有用さと面白さについて研修を行い、さらにこの技術をスマート農業に応用するためディスカッションと実際の植物に適用する実験をカンボジア側の学生と日本側の学生が協力して行った。今回、日本側の学生との交流を行う場をできるだけ多く設けるようにした。学生と一緒に遅くまで残って研修や実験を進めた日もあり、また交流会や食事会も毎日のように実施するなどして、ハードスケジュールではあったものの当初の目標を達成し、双方ともに充実した1週間であった。この研修が今後の若手研究者間の連携と国際共同研究へ発展することを期待している。
最後に、本プログラム実施にあたり、見学に対応していただいた企業・機関、およびサポートしていただいた関係の皆様に感謝する。