2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第21号 (Bコース)
国際的な異分野融合生物学研究のための南洋理工大学との研究交流
名古屋大学大学院理学研究科理学専攻
異分野融合生物学研究室(iBLab)
講師・岩波 翔也さんからの報告
名古屋大学異分野融合生物学研究室(iBLab)では、2024年9月21日から9月30日までの10日間にわたり、さくらサイエンスプログラムの交流事業の一環として、シンガポールの南洋理工大学(Nanyang Technological University)から6名の大学院生および研究者を受け入れました。
【9月22日~23日】
ガイダンスでは、招へい者らにプログラム全体の予定と内容、さらに日本滞在中の注意事項について説明が行われました。研究室の概要や進行中の研究テーマの紹介に加え、滞在期間中に取り組む研究テーマや作業内容についても具体的な割り当てがなされました。南洋理工大学からの招へい者らは、受け入れ研究室の研究環境や文化に興味津々で、積極的に質問を交えながらプログラムの理解を深める様子が見られました。さらに、研究における期待や意気込みが共有され、プログラム開始時から和やかな雰囲気の中で交流がスタートしました。
【9月24日】
研究交流会が開催され、受け入れ側の研究室と招へい者の両者が、それぞれの研究内容についてプレゼンテーションを行いました。生命科学分野に特化した研究から、大規模なデータセットを活用した調査研究まで、多岐にわたる研究紹介が行われ、分野を越えた知見が共有されました。特に、データ解析の手法やその応用方法においては、共通する課題や技術が多く見られ、相互の研究を補完し合う点についても多くの示唆が得られました。参加者は、世代の近い学生や研究者同士での活発な質疑応答を通じて、専門的な視点や経験を深め、学び合う姿が見受けられました。交流会後の意見交換会では、食事を囲みながらリラックスした雰囲気の中でお互いの研究環境や生活文化について話し合い、一層深い交流が図られました。
【9月25日~27日】
同時期に研究室に滞在した複数の国の学生らも交えながら、研究の議論を行いました。特に、それぞれの興味や特有の課題と、データやその解析手法の活用について、個別に議論を行いました。
【9月28日~29日】
参加者たちはトヨタ産業技術記念館と日本科学未来館を訪問し、日本の産業技術の発展の歴史と、科学技術の進展が生活や産業に与える影響について学びました。トヨタ産業技術記念館では、製造工程の変遷や、効率化技術の進化が日本の産業と社会にどのように影響を与えてきたかについて知識を深める機会となりました。さらに日本科学未来館では、最新の科学技術が日常生活や医療、環境保護、危機管理にどのように貢献しているかについて理解を深める展示が充実しており、参加者たちはこれからのデータ科学やAIが社会に与える可能性についても考察する機会を得ました。見学中には、招へい者たちが自身の研究分野と関連づけて展示内容に興味を示し、将来の研究にどう活かせるかについても積極的に意見交換が行われました。
■終わりに
プログラムでの日本滞在の直後に、受け入れを担当した教員がシンガポールでの国際ワークショップに参加し、招へい者らに南洋理工大学や研究室を案内してもらうなど、このプログラムをきっかけとした交流が広がっています。受け入れ研究室の学生らも、研究の交流のみならず、シンガポールという特色のある国で学ぶ学生や研究者との人的な交流を通じて良い刺激を受けたのではないかと思います。本招へいプログラムの実施にあたっては、JSTをはじめ、学内外の多くの方にご尽力いただきました。この場を借りて感謝申し上げます。