2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第17号 (Aコース)
生物資源の利活用を指向したバイオ技術の体験・交流プログラム
東邦大学からの報告
2024年9月29日から10月5日にかけて、東邦大学薬学部が招へい機関としてモンゴル国立大学工学技術学部の大学院生1名、学部生5名、教員1名を招へいし、日本における生物資源の活用とその産業化プロセスに関する知識・技術の体験、修得を目的としたプログラムを実施しました。滞在期間中、微生物や植物などの生物資源の利活用に取り組む研究機関、企業を訪問し、日蒙両国の学生交流と第一線で活躍する専門家との活発な意見交換を通して、最先端の科学技術と社会実装スキームに関する理解を深めました。
〇9月30日
東邦大学習志野キャンパスにてオリエンテーションが行われ、各学生が自己紹介とプレゼンテーションを通して自国や自身の研究について発表しました。これにより、日蒙両国の学生間で文化的・学術的な相互理解が促進されました。その後、微生物学教室で細菌の同定方法を最新設備を実際に使用しながら実習形式で学びました。
〇10月1日
日本を代表するリーディングカンパニーである味の素株式会社の川崎工場で「ほんだし」の生産工程と品質管理の実際について見学しました。また、株式会社シクロケムの東京オフィスを訪問し、ファインケミカル製品の開発および販売に関する事業展開について学びました。これらの企業見学を通じて、モンゴルの学生たちから生物資源を利用した産業の発展についてより具体的なイメージを得ることができたとの意見が聞かれました。
〇10月2日
東邦大学薬学部微生物学教室で細菌のゲノム解析に関する実習が行われました。ゲノムデータの解析方法やその応用について学び、最新のバイオインフォマティクスの実践的な知識を習得しました。昼食会では、学生たちが鍋やたこ焼きを共に調理し、日本食文化を体験しながら親睦を深めました。午後には東邦大学大森キャンパスに移動し、医学部施設の見学と講義を受けて、医学における基礎研究の重要性を学ぶ機会を得ました。
〇10月3日
抗生物質をはじめ様々な有用物質を生産する放線菌の研究に関する講義を東邦大学薬学部微生物学教室で受講しました。講義では、放線菌研究の歴史から最新の知見まで幅広く学び、産業上の重要性と今後の可能性について理解を深めました。その後、株式会社常盤植物化学研究所を訪問し、植物由来成分を活用した製品開発について学び、研究施設、工場、ハーブ園を見学しました。産業応用に関する実例を見ることで、生物資源活用の多様なアプローチについて具体的に学ぶことができました。
〇10月4日
本プログラムを通して学んだことや得られた知識についてグループディスカッションを行い、その成果を発表しました。学生たちは生物資源の産業化プロセスや厳格な品質管理の重要性、また持続可能な資源の利用に対する意識を深めたことを共有し、将来取り組む研究課題を具体的に掲げていました。成果報告会の後は、修了書の授与式が行われ、大学関係者との懇親会が開催されました。懇親会では、将来に日本留学を視野に入れた学生たちが、日本での生活や研究環境に関する情報を積極的に求め、日蒙両国の学生たちの間で有意義な交流が行われました。モンゴルの学生たちの高い目的意識と積極的な姿勢は本学の学生にも刺激となり、国際的視野を広げる貴重な経験となりました。
本プログラムの実施にあたり、ご支援いただきましたJSTさくらサイエンスプログラム、味の素株式会社、株式会社シクロケム、株式会社常盤植物化学研究所の皆様、本学スタッフの方々に心より感謝申し上げます。