2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第16号 (Aコース)
再生可能エネルギーの計画的導入による脱炭素社会構築に関する国際学習プログラム
金沢大学からの報告
2024年8月25日から8月31日まで、中国・清華大学、インド・石油エネルギー研究大学およびエジプト・アシュート大学から大学院生が1名ずつ、カンボジア・カンボジア工科大学、タイ・プリンスオブソンクラ大学、インドネシア・アンダラス大学、スリランカ・ルフナ大学、バングラデシュ・チッタゴン大学から大学生が1名ずつ来日しました。本プログラムには金沢大学の大学院生26名も参加し、東・東南・南アジアおよび北アフリカの計9カ国からの招へい学生および本学学生が活動しました。このような参加学生の多様な国籍を活かし、本プログラムでは、「アジア・アフリカ諸国における2050年に向けた主要な再生可能エネルギー電源の最適な導入計画を提案すること」をテーマとしました。具体的な活動内容は、講義・研究室見学、施設見学、グループワークです。
【講義・研究室見学】
招へい学生および本学学生は、工学系の学部もしくは大学院に所属していますが、専門分野は多岐にわたります。そのため、事前課題として出身国における主要な再生可能エネルギー電源の導入状況および導入計画について情報収集を求めるとともに、プログラムの冒頭で、風力発電、水力発電、太陽光発電、燃料電池に関する基礎について本学教員が講義を行いました。さらに、研究室見学では、金沢大学における風力発電、太陽光発電、燃料電池に関する研究内容や設備を紹介しました。
【施設見学】
三国太陽光発電所、三国風力発電所、手取川宮竹用水発電所を訪問しました。三国太陽光発電所は北陸地域に特有の降雪への対策が施されたメガソーラー、三国風力発電所は北陸地域に特有の冬季雷への対策が施された2MW級大型風車から成る風力発電所、手取川宮竹用水発電所は農業用水を活用する小水力発電所です。これらの施設見学を通して、再生可能エネルギー電源を導入する際に地域特性を考慮することの重要性を学びました。
【グループワーク】
招へい学生と本学学生を組み合わせた6~7人のグループを5つ作成し、グループごとに対象国を1つ選定して、(ⅰ) 対象国全体での2050年に向けた主要再生可能エネルギー電源の導入計画、(ⅱ) 対象国を3~5つの地域に分割し地域ごとの2050年に向けた導入計画、を立案することを課題としました。そして、事前課題、講義、施設見学およびオンライン検索で得た知識に基づいてディスカッションを行いました。中間発表会では、各グループの発表に対して教員が発表構成や専門知識の観点から意見を述べ、最終発表会では主に学生間で質疑応答を行いました。特に最終発表会で行われた発表はよく考察され洗練された内容となり、活発で質の高い質疑応答が繰り広げられました。本テーマを十分に理解したうえで自分の考えを述べる様子や、国や文化の異なる学生間で高いレベルのディスカッションが行われたことが伺えました。
終了後のアンケートでは、「施設見学やグループワークが特に良い学びになった」「もう少し長い期間プログラムが実施されることを望む」といった意見が多く寄せられました。また、招へい学生だけでなく、本学学生にとっても素晴らしい経験になったと感じています。
最後に、多大なるご支援を賜りました「さくらサイエンスプログラム」および、本プログラムにご協力頂きました三国太陽光・風力発電所、手取川宮竹用水発電所の皆様、金沢大学の教員、職員、学生の皆様に心より御礼申し上げます。