2024年度 活動レポート 第15号:市立札幌旭丘高等学校

2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第15号 (Aコース)

初めてのさくらサイエンスプログラム~タイ・インドの高校生との科学技術交流~

市立札幌旭丘高等学校からの報告

 2024年8月2日~8日、タイのPrincess Chulabhorn Science High School Phitsanulokから生徒7名・教員3名(うち生徒4名・教員2名は自己負担)とインドのDelhi Public School, Bangalore Eastから生徒3名・教員1名を招へいし、A.科学技術体験コースのプログラムを実施しました。本校で初めて採択されたさくらサイエンスプログラムです。

<第1日目>

 本校到着後、茨城県清真学園高等学校と市立札幌開成中等教育学校の生徒と合流し、全国大会常連の本校合唱部によるオープニングセレモニーに参加しました。その後行われた、大阪教育大学産学官イノベーション共創センター教授仲矢史雄氏によるワークショップでは、教材「Black Box」を使い「科学的モデルの構築と検証方法」について学びました。英語でのディスカッションでしたが活発な意見交換が展開され、仲矢先生からの「科学的なものの考え方」等の話に参加した生徒も教員も大変感銘を受けました。その後、ホストファミリーと対面し、ホストファミリー宅へと移動しました。

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ワークショップで発表するタイとインドの生徒

<第2日目>

 本校にてサイエンスアクティビティーを行いました。屋上から卵を割らずにいかに正確に的に落とすかを競う「Asahigaokaエッグドロップチャレンジ」では、事前に各校に競技ルールと使用する材料を郵送し、準備をしてもらいました。各校とも創意工夫にあふれた機体を作成し、大いに盛り上がりました。本校教員による「化学実験(白い粉の同定)」「生物実験(ちりめんモンスター)」では、各校の生徒が混合したグループで話し合い、手際よく実験を進めていました。
 昼食は、本校調理室で札幌発祥のラーメンサラダをみんなで作りました。

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エッグドロップチャレンジでの1コマ

<第3日目>

 ホストファミリーと終日過ごし、札幌市内や近郊へ出かけました。

<第4日目>

 北海道大学にて研修を行いました。大学院教育推進機構准教授繁富香織氏による「クリエイティブシンキング」のワークショップでは新たな発想を生む方法について楽しく学びました。遺伝子病制御研究所では、本校OBの同研究所所長村上正晃氏をはじめ、園下教授、茂木教授、野田教授、北條准教授から各研究室の概略説明を受けた後、各研究室へ移動して実験機器等を見学させていただきました。

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クリエイティブワークショップにて

<第5日目>

 前日に引き続き、北海道大学での研修です。大学院博士課程で学ぶ留学生3名(インド・パキスタンの学生)からの研究紹介の後、繁富先生から北海道大学において2017年度10月より始まったIntegrated Science Programの説明を受けました。また、大学院理学研究院教授沼田泰英氏による「卓球のラリーとデータ解析」についての講義では、統計学に情報工学などの手法を組み合わせて大規模なデータセットから問題解決に必要な知見を引き出す手法を学びました。研究紹介をしてくれた留学生とランチを共にする機会もあり、日本における大学生活をより具体的にイメージすることができたと思います。将来日本への留学、就職を考慮する一助になったことでしょう。

<第6日目>

 新千歳空港から神戸へ移動し、「SSH生徒研究発表会」を見学しました。各参加高校の生徒達が英語での説明や質疑に対応してくれて、招へいした生徒たちはみんな満足している様子でした。同年代の高校生の課題研究の発表に触れることで科学に対する興味関心を大いに高めることができました。

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SSH生徒研究発表会(神戸)の会場前での集合写真

<第7日目>

 世界一の性能を誇る理化学研究所播磨地区(大型放射光施設SPring-8とX線自由電子レーザー施設SACLA)を見学しました。インドとタイ出身の職員の方からお話を聞く機会にも恵まれ、日本の良さや科学技術の高さについてさらに理解を深めることができました。その後、関西国際空港へ移動し帰国となりました。

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SPring-8で働く母国の職員から説明を受けるインド(手前)とタイ(奥)の生徒

 本プログラムを通して、「将来日本社会に貢献するアジアの優秀な人材と世界で活躍する日本人科学者を育む」という目標をほぼ達成できたことを、肌で感じることができました。また、各国に「できるだけ女子生徒を多くしてほしい」と呼びかけたところ、招へい生徒全員が女子生徒となりました。そのため、今回のプログラムに関わった本校生徒もほとんどが女子生徒となり、日本人の女性研究者育成にも一役買えたのではないかと考えています。

 今回招へいしたタイのPrincess Chulabhorn Science High School Phitsanulok校には、2025年2月に本校で行うSSH研究発表会においてオンラインで課題研究の相互発表を行う方向で協議を進めています。

 参加した生徒だけでなくこのプログラムに携わった教員にとっても大変意義のある7日間でした。次年度以降も申請を続けていきたいと思います。