2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第6号 (Bコース)
インドIISERティルパティ校との有機半導体レーザーに関する共同研究
東北大学からの報告
東北大学では、さくらサイエンスプログラムの支援を受けて2024年5月21日から6月10日までの日程で、インド科学教育研究大学ティルパティ校(Indian Institutes of Science Education and Research(IISER, Tirupati))の大学院生2名とその指導教員1名を大学院理学研究科物理学専攻に招へいし、「有機半導体レーザーに関する共同研究」をテーマに研究交流を行いました。
【到着~研究開始】
招へい者たちは5月21日に成田空港に到着し、東北新幹線で仙台に移動、宿泊施設にチェックインしました。翌日からさっそく、東北大学青葉山キャンパスで受け入れ研究室の実験設備の紹介と、実験時の安全教育を行いました。その後、双方の最新の研究について情報交換を行い、滞在期間中の研究活動についてディスカッションを行いました。
【滞在期間中の研究交流】
本共同研究では電界効果トランジスター構造を用いた電流励起有機半導体レーザーをテーマにしています。今回招へいした2人の学生は素子の電気特性と発光特性をそれぞれ研究しました。実験は、2人の学生が共通して使用する有機半導体の結晶成長から始まりました。その後、学生の一人は両極性有機電界効果トランジスターの作製と特性測定、もう1人は有機半導体単結晶とグレーティングを組み合わせた光励起DFBレーザーの作製と光学測定をテーマに研究を行いました。インドで関連した研究を行っていることもあり、2人ともスムーズに研究にとりかかることができました。さらに、インドの研究室では装置の都合でできなかった研究を日本で行うことができたようです。学生たちは、滞在中にまとまった実験結果を得ようと熱心に研究に取り組んだことで、期待していた研究成果を上げることができました。
研究の合間には、日本文化体験として松島を訪れ、伊達政宗が復興させた国宝「瑞巌寺」や県立自然公園「福浦島」などを見学しました。
【研究のまとめ~帰国】
滞在期間の終盤では、滞在期間中の研究結果を取りまとめ、今後も共同研究を継続することを確認しました。6月9日には受け入れ教員とともに、成田空港に向かい、翌10日に全員無事に帰国の途につきました。
【プログラムを終えて】
本プログラムの支援を受けてインドの学生たちが実際に実施主担当者の研究設備を使って研究を行うことで相互理解が進み、今後の共同研究をスムーズに進めるための下地を作ることができました。招へいした学生たちは大変熱心で、滞在期間ぎりぎりまで実験を続けており、あと一週間期間が欲しいと思うほどでした。唯一心残りは、学生の一人がベジタリアンで、かなりの部分を自炊で対応してもらったことです。次の機会に備えてベジタリアン向けの食事の情報なども収集していこうと思いました。最後に、このプログラムを実施するにあたりご尽力いただいたJSTさくらサイエンスプログラム関係各位と、本学の事務職員の皆様に感謝申し上げます。