2024年度 活動レポート 第5号:岡山大学

2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第5号 (Aコース)

植物の環境ストレス耐性の調節にかかわる輸送体タンパク質の研究

岡山大学からの報告

 岡山大学大学院環境生命自然科学研究科および農学部農芸化学コースは、2024年7月8日~7月15日に、チュニジアのカルタゴ大学ビゼルト科学部より大学院生5人、ポスドク2人、教員1人の計8人の研究者を招いて、「植物の環境ストレス耐性の調節にかかわる輸送体タンパク質の研究」をテーマにA.科学技術体験コースのプログラムを実施しました。

 本プログラムの目的は、国際的研究者の育成です。参加者は、岡山大学が世界をリードしている植物科学分野の最先端研究に関連した実験技術を体験しました。

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岡山大農学部建物前での集合写真

 まず、電気生理学的手法であるパッチクランプ法を用いた植物のイオン輸送体(イオンチャネル)の活性評価を行う実験を体験しました。用いた実験材料の一つは、ビーツ(ビート)の液胞です。単離したビーツの液胞に、小さなガラス電極を密着させて穴を開けた後、液胞膜に存在するイオンチャネルの活性を測定しました。一つの液胞を取り扱う非常に細かい実験を、参加者は興味深く観察していました。

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ビーツから液胞を単離する実験

 次に、気孔孔辺細胞のカルシウムイメージング実験を体験しました。孔辺細胞の細胞質カルシウムイオンは、気孔の開閉運動を調節する働きを持っています。参加者は、蛍光顕微鏡を用いて、孔辺細胞の細胞質カルシウムイオン濃度が刺激に応答して速やかに変動する様子を観察しました。普段、ほとんど動いていない(ように見える)植物が示す、非常に速い生理反応に参加者は驚いていました。

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カルシウムイメージング実験の様子

 プログラム中、参加者と岡山大学の学生・大学院生は、互いの研究内容を英語で紹介し、積極的に交流を行いました。両大学の若手研究者にとって貴重な国際交流の場となったと思います。

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本学大学院生による研究紹介
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チュニジア参加者による研究紹介

 また、科学技術体験に加えて、日本の文化を学ぶ目的で社会見学も行いました。岡山では、後楽園と岡山城を見学し、広島では、原爆ドームと広島平和資料館、宮島を見学しました。広島平和資料館が、特に参加者の印象に残ったようです。

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宮島での集合写真

 プログラムを予定通りに終えて、7月15日、参加者は無事に帰国することができました。本プログラムを円滑に進行できたのは、協力者の皆様のおかげです。また、私達の研究室に所属するチュニジアからの留学生に、参加者の生活面をサポートしてもらえたことも大きな助けとなりました。今後も継続して国際交流を進めていきたいと思います。