2024年度 活動レポート 第2号:東京都立多摩科学技術高等学校

2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第2号 (Aコース)

トルコの高校生との科学技術交流
~世界の懸け橋となる人材育成を目指して~

東京都立多摩科学技術高等学校からの報告

 2024年8月26日~8月30日、トルコ共和国のネヴシェヒル・ジェミル・メリッチュ社会科学高等学校(Nevsehir Cemil Meric Social Sciences High School)から、生徒5名、教員3名、計8名を招へいし、A.科学技術体験コースのプログラムを実施した。ネヴシェヒル高校はアジアの経済・科学大国である日本との交流を切望しており、2023年3月に本校と姉妹校提携を行っている。プログラムには、本校の生徒6名(1年2名、2年1名、3年3名)がバディとして参加した。

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都立多摩科学技術高校にて

 プログラムでは、「地震」をトピックとして科学技術的なアプローチで研究交流を行った。産業技術総合研究所を訪問し、研究者よりアドバイスを受け、COMSOLを活用したシミュレーションについて学んだ。日本科学未来館では、日本の最先端の技術についての知見を広めることができた。生徒たちの探究心を刺激し、災害や環境問題といったグローバルかつローカルな課題に対する科学技術のあり方について両国の高校生の意識を高め、発想を柔軟に展開できるような学びと発見の場とすることを心がけた。

 さらに、本プログラムを通して、①国際的な視野の育成、さらなる国際性の育成・海外交流の深化を達成すること、②国際的な視野を持った研究者・技術者育成の牽引役となる人材を育成することを目標とした。

【8月26日】東京都立多摩科学技術高等学校

11:00 歓迎ミーティング:本校紹介
校内ツアー
13:30 文化交流セッション:
1)トルコの言語・文化・音楽紹介(ネヴシェヒル高校生)
2)生徒交流・ブラスバンド部演奏

【8月27日】東京都立多摩科学技術高等学校

10:00-12:00 共同研究:テーマ「地震と科学技術」
 Research1 Improving an early warning system for required buildings
 Research2 Developing and downloading mobile phone applications that reports your location and vitality after an earthquake
13:00-14:00 COMSOLの講習会
16:00 トルコ大使館訪問
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COMSOL講習の様子

【8月28日】産業技術総合研究所つくばセンター

13:30-13:50(20分) 近藤主任研究員説明
トルコでの活断層調査事例紹介
13:50-14:10(20分) 竿本英貴研究員説明
COMSOLを用いた地震関連シミュレーション紹介
14:20-14:50 高校生の発表
15:00-16:00 地質標本館見学
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地震関連シミュレーション講習の様子

【8月29日】日本科学未来館

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日本科学未来館にて

【8月30日】東京国立博物館、上野・浅草見学

【8月31日】東京ジャーミイ・トルコ文化センター

■成果

  1. 両国の社会システムの違いなどを考慮しながら、ユニバーサルな防災への考え方を共有する姿勢を育むことができた。オンライン・ミーティングを通して共通理解や研究の推進を図ることができた。
  2. 産業技術総合研究所地質調査総合センターへの訪問をし、トルコにおける活断層調査事例、COMSOLを用いた地震関連シミュレーションの事例の講義を受講することによって地震や安全についての考察を深めることができた。日本側の生徒は、東京大学地震研究所を訪問し、地震に対しての理解を深めた。
  3. 本校とネヴシェヒル高校との教員、生徒間のオンライン・ミーティングを通じて、科学技術、文化的価値についての相互理解を深め、科学技術的な視点を融合させるための対話を積み重ねてきた。今回の訪問を受け、ラインなどで連絡を取っている生徒もいる。

■課題

 国際社会を強く意識し、トルコとの交流を行った生徒の活躍は目覚ましい。一部の生徒の参加だけでなく、多くの生徒が積極的に参加する意識改革が必要である。そのためにも、最低でも隔年の相互訪問があれば、生徒たちの国際性・積極性などは育まれると考えられる。共同研究を続けることによって研究の深化や国際性を広げることができる。海外の交流校とコミュニケーションを取るには、最低でも英検2級レベルの実力を必要とする。英語の基礎・基本の学習を徹底し、英語力を向上させていくことが必要となる。
 また、国際性を意識するためにも、教員も生徒も積極的に行事に参加する意識改革が必要になってくる。一部の教員だけでなく、学校全体で取り組めるようにしていきたい。