2024年度 活動レポート 第1号:岡山理科大学

2024年度活動レポート(一般公募プログラム)第1号 (Aコース)

日本におけるアクティブラーニング型理数教育の視察・体験

岡山理科大学からの報告

 モンゴル国の若手教員9名(うち1名は自己資金招へい者)が2024年6月12日~18日の日程で来日し、日本におけるアクティブラーニング型理数教育の視察・体験を行った。招へい者は新モンゴル学園もしくはモンゴル国立教育大学に所属する小学校、中学校、高校、高専、大学の理数系教員であった。
 日本ではアクティブラーニング(主体的・対話的で深い学び)が推奨されており、本学および関連校(岡山理科大学附属高等学校および英数学館中・高等学校)でも多様な実践が行われている。また、本学はアクティブラーニング型教育を担う教員の養成にも力を入れている。今回の訪問の目的は、これらの取り組みを紹介することであった。招へい者が能動的に参加できるよう、招へい者による科学イベントへのブース出展なども行った。
 来日時の活動は以下のとおりである。一部の活動はグループに分かれて並行して行った。

【6月12日】来日、岡山へ移動

【6月13日】岡山理科大学附属高等学校、岡山理科大学(岡山市)

  • 岡山理科大学附属高等学校で高大連携による双方向的理科授業を見学し、三崎賢一教頭から高大連携について説明を受けた。
  • 「理科教育法Ⅲ」(教員養成科目)の担当教員である藤本義博教授および高橋信幸教授より日本の理科の学習指導要領と本学での理科教員養成についての説明を受け、授業見学を行った。
  • 「CLIL」(科学と英語を統合的に学ぶ授業科目、前川洋子教授担当)を見学した。
  • IB(国際バカロレア)教員養成プログラムを担当する木村光宏講師と履修学生からIBについて説明を受けた。
  • 平野博之学長との懇談を行った。(富岡直人副学長、高原周一教授が同席)
  • 本学教員・学生等との意見交換会を行った。
活動レポート写真1
学長との懇談後の記念撮影
活動レポート写真2
意見交換会で本学学生と実験(マグデブルグの半球実験)を通じて交流

【6月14日】英数学館中・高等学校(広島県福山市)

  • 理科および数学のIB授業等を見学した。
  • 三上弘純教頭との意見交換・施設見学を行った。
  • 生徒との交流(招へい者によるモンゴルの生活の紹介など)を行った。

【6月15日】倉敷市

  • 本学学生が行った倉敷駅前商業施設でのサイエンスショーを見学し、学生と交流した。
  • 倉敷美観地区を見学した。

【6月16日】岡山県生涯学習センター・人と科学の未来館サイピア(岡山市)

  • サイピア職員糸山嘉彦氏から施設の説明を受けた。
  • サイピアが実施している子ども向けの科学教室およびプラネタリウムを見学した。
  • サイピアで行われた科学イベント「理大の日」で招へい者が本学学生との協同でブースを出展した。
活動レポート写真3
サイピアでの招へい者によるブース出展(モンゴルの自然と文化の紹介)

【6月17日】岡山理科大学(岡山市)

  • 高等学校における課題研究活動について、高橋和成氏(元岡山理科大学附属高校教諭)から情報提供を受けた。また、大型科学イベントと科学教材について高見寿氏(元岡山県立高校教諭)から情報提供を受けた。
  • 本学の恐竜学博物館を見学した。
活動レポート写真4
恐竜学博物館の見学(タルボザウルス全身組上げ骨格前での集合写真)
  • 情報系研究室を訪問し、教員(上嶋明准教授、河野敏行教授)と意見交換を行った。
  • 「科学・工作ボランティア入門」(基盤教育科目)担当教員の春日二郎非常勤講師から説明を受け、授業を見学した。
活動レポート写真5
「科学・工作ボランティア入門」担当教員との意見交換(学生の作成した教材の紹介と体験)
  • 「数学科教育法Ⅲ」(教員養成科目)を見学し、担当教員の福田博人講師から日本の数学教育全般の説明を受けた。
  • 「基盤化学実験」の担当教員である堀越亮教授および高原周一教授から化学教材の説明を受け、実験を見学した。
  • 修了式を行い、修了証を授与した。

【6月18日】離日

 上記以外に下記のオンライン交流も行った。

  • 5月17日・来日時の交流内容の事前説明、科学イベントでのブース出展の打合せ
  • 6月6日・日本におけるアクティブラーニング型理数教育についての講義・討論
  • 6月24日・本交流の振り返り、今後の連携強化についての協議

 招へい者からは、「アクティブラーニングをどのように実施するかについて多くのアイデアを得ることができた」「岡山理科大学の高大連携や教員養成を参考にしたい」「モンゴルでも小学生向けのイベントが幅広い範囲で実施されたら理科教育の質がより高まるだろう」「このプログラムに刺激を受けた先生方と協力してサイエンスショーを開催したい」といった感想が出された。今回の訪問が、今後のさらなる交流の発展につながることを期待している。