2023年度 活動レポート 東京大学本郷キャンパスで先端研究の現場を体験

さくらサイエンス・大学生招へいプログラム

東京大学本郷キャンパスで先端研究の現場を体験

 9月28日(木)、インドの有力大学より選抜された優秀な大学生・院生49名は、東京大学本郷キャンパスを訪問しました。

 [東大への留学について]、[東京大学インド事務所について]の説明の後、インド留学生会から、日本での留学生活について紹介がありました。Q&Aセッションでは、「どのように留学したのか?」「指導教授を選ぶ方法は?」「奨学金は?」などたくさんの質問が飛び交い、東大で学ぶ現役インド留学生とのかなり具体的で内容の濃いディスカッションとなりました。キャンパスツアーの案内役を務めたのも、留学生たちです。青空の下、安田講堂や赤門、図書館など東大を象徴するスポットを順に廻りました。

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 午後からは、情報理工学系、農学生命科学、工学系、公共政策学、理学系など、異なる分野の6つのグループに分かれて、最先端の研究現場を体験する機会に恵まれました。各人の興味や関心とマッチする研究室を訪問できるよう、グループ分けは事前に実施したアンケートを基に行われました。

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■各グループを訪問した大学生・院生の代表者が研究室訪問後に提出したレポートの中から、一部をご紹介します。

G1 大学院情報理工学系研究科数理情報学 (定兼邦彦教授)

 プライバシー保護と、安全性の高いアルゴリズムという2つのトピックについて紹介されました。短い時間の間に、教授たちが現在取り組んでいる研究の基礎を学ぶことができました。トピックについて、たくさんの学生たちが質問をし、双方向のやりとりが行われ、とても実りある時間でした。忙しいスケジュールの中で、この機会を与えくれた教授に感謝します。また、3人のインド留学生と交流して、日本での生活について聞くことができました。

G2 大学院農学生命科学研究科応用生命科学専攻 (神谷岳洋准教授)

 食糧への不安を解消することに焦点をあてた研究です。バングラデシュ、ベトナム、中国、インドなどでは米を主食としていますが、ヒ素やカドミウムなどの毒性物質の汚染が問題になっています。私たちは、人工光に照らされた中、ペトリ皿で育てられた水稲の成長を段階的に観察しました。これらは、有毒元素や必須元素などの濃度がチェックされた後、農作地で大規模に栽培されます。また、分子遺伝学の研究も目にしました。大規模な農業研究は、社会に大きな影響を与えるもので、本当に目を見張るものでした。

G3 大学院工学系研究科電子系工学専攻(古関隆章教授)
大学院工学系研究科附属システムデザイン研究センター(飯塚哲也准教授)

 列車の遅延の伝播を軽減するための軌道を生成する方法や、降雨や降雪時の列車の制御性能の向上を可能にする、高速摩擦の変動を制御するためのシミュレーション実験、高電圧での故障、磁気浮上、振動を制御するためのアクチュエータ、空気圧システムなどについてディスカッションしました。クリーンルーム施設も見学しました。とても充実した体験でした。研究室での教授、博士課程の学生とのディスカッションは非常に興味深く、大学で行われている最先端の研究には驚かされました。

G4 大学院公共政策学連携研究部 (西澤利郎教授)

 日本の学生や留学生たちと一緒に、ハードサイエンスとソフトサイエンスの違い、そして経済学がどこに位置するかについて、活発な議論をしました。経済学は単純なストーリーを使って異なる経済状況について説明するソフトサイエンスとして始まり、今では、ソフトサイエンスとハードサイエンスの両方の要素を含んでいます。研究室で行われている研究は非常に広範で、社会の重要な問題に関わっています。東大の異なるバックグラウンドを持つ学生の多様性に感銘を受けました。多くの学生は公共セクターなどでの経験があります。経済学と公共政策の研究を続ける勇気を与えてくれました。

G5 大学院工学系研究科化学システム工学専攻(高鍋和宏教授)

 高鍋教授と彼のチームは、電気触媒や水素発生反応など、エネルギー変換のための触媒に関する研究を説明してくれました。そして、化学システム工学の様々な研究室を訪問しました。私たちは、最先端の研究に触れ、チームの学際的なコラボレーション、イノベーションの文化に深く感銘を受けました。東大は先駆的な研究に対する取り組みと、活気ある世界レベルの学術環境を提供しています。日本での高等教育を検討する際、東大が選択肢としてあることは本当に魅力的です。

G6 大学院理学系研究科物理学専攻基礎物性学(小形正男教授)
大学院理学系研究科物理学専攻物性物理学(長谷川修司教授)
大学院理学系研究科物理学専攻素粒子物理学(浅井祥仁教授)

 物性物理学ラボで超伝導(マイスナー効果)が浮揚にどのように利用されているかを目のあたりにしました。この技術は、将来の交通システムを別の次元に引き上げる可能性があり、さらに広範な応用ができると考えます。量子コンピューティングラボ、ファブリケーションラボでの体験も魅力的でした。概念としてあまり馴染みのないものであったにもかかわらず、丁寧な説明によってこの分野への興味がわきました。量子コンピューターを間近で見るのは、私たち全員にとって初めてのことでした。将来の研究開発をリードするのは、量子コンピューターだと思います。

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