さくらサイエンス・ハイスクールプログラム 第3グループ
日本科学未来館訪問 浅川智恵子館長の講演
6月30日(金)来日中のさくらサイエンス・ハイスクールプログラム(SSHP)第3グループ(ベトナム、ブルネイ、ミャンマー、カンボジア、マレーシア)の高校生と引率者、計110名は、日本科学未来館(Miraikan–The National Museum of Emerging Science and Innovation)を訪問しました。
Miraikanは、「科学技術を文化として捉え、社会に対する役割と未来の可能性について考え、語り合うための、すべての人々にひらかれた場」を設立の理念としています。SSHPでは、本事業が開始された2014年度当時から、1週間のプログラム構成の中に必ず1回はMirakianへの訪問を組み込み、海外から来日した高校生たちを案内してきました。プログラム終了後のアンケートでは、「最も印象に残った訪問先」としてMiraikanをあげる参加者たちが毎年数多くいます。将来、科学者や研究者を目指す彼らにとって、Miraikanがいかに魅力に満ちたスポットであるか、ということを物語っています。
今回来日したメンバーも、「世界をさぐる」「未来をつくる」「地球とつながる」などの展示コーナーを、目を輝かせながら夢中で見学し、見て、触って、大きな科学の世界感にひたりました。
午後からは、未来館ホールにて、浅川智恵子館長による講演「Inclusive Society Realized with Science and Technology」を聴く機会に恵まれました。浅川館長は小学生のときのけがが原因となり14歳で完全に光を失いました。その後、女性技術者の先駆として「アクセシビリティの研究開発」に積極的に取り組み、IBMホームページ・リーダーをはじめ、視覚障害者のための技術開発を牽引するなど、世界的に活躍されています。
講演の冒頭では、活動的でスポーツに没頭した少女時代のお話、料理などの日常生活やロッククライミングに挑戦する現在の様子などがビデオの映像とともに紹介され、そのポジティブなエネルギーに高校生たちはぐいぐい引き込まれていきました。
視力を完全に失うことによってもたらされた「情報へのアクセス」と「移動手段」という二つの困難。浅川館長は、ハンディキャップをもつ方々が困難を克服し、社会に参加することができる技術を開発することこそがイノベーションに繋がること、「発明と実装が一対の車輪」であることを強調されました。
現在開発を進めている、視覚障害者が自由に外出を楽しむことをサポートする「AIスーツケース」の説明では、実際にAIスーツケースを使用して、ショッピングモールを移動し、スウィーツのお店に向かうという実証実験の様子が紹介されました。
「あきらめなければ、道は開ける」と優しく語りかけてくださった浅川館長の言葉には重みがあり、未来を担う高校生たちの心に深く刻まれたことでしょう。