2023年度 活動レポート 第243号:東北大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第243号 (Bコース)

カナダ ウォータールー大学との共同研究プログラム
~下部尿路運動解析のためのハイフレームレート超音波信号処理法の初期検討~

東北大学からの報告

 2024年2月25日~3月9日の日程でカナダのウォータールー大学、Department of Electrical and Computer Engineeringから2名の博士課程学生を東北大学学際フロンティア研究所および医工学研究科医用イメージング分野に招へいしました。ウォータールー大学、東北大学の双方の研究室では、1秒間に5000枚以上のハイスピード撮像が可能な高速超音波撮像法を活用し、生体内流路や生体流動の精密な計測評価技術の開発に取り組んでいます。さくらサイエンスプログラムのご支援により人材交流を推進し、双方の研究成果を融合した共同研究の初期検討を実施しました。

【生体内流路の運動解析法の開発】

 高速超音波撮像法を用いた生体内流路の生理的な変形と内部流の様態を高い時間・空間分解能で取得する技術開発について東北大学における装置やソフトウェアの説明を行いました。次に、東北大学で取り組んでいる泌尿器科領域の流動態イメージングで得られた下部尿路の液体流動と臓器運動について、これまでの研究成果を説明するとともに、ウォータールー大学の研究グループが有する血管運動評価法との融合研究について、ディスカッションを行いました。この議論に基づいて、実験用の下部尿路模型を構築し、初期検討に用いる高速超音波のデータセットを構築しました。このデータセットを使用し、下部尿路の運動特性を精密にトラッキングする超音波信号処理アルゴリズムを共同で構築しました。このアルゴリズムによって、曲率を有する柔らかい生体内流路における拡張展開や収縮の伝搬速度の推定が出来ることを確認しました。さらに臨床で得られた超音波データに対してもこのアルゴリズムを適用し、実際の臨床データの解析における本手法の有効性と課題を明らかにすることができました。

活動レポート写真1
管腔臓器運動のトラッキングアルゴリズムの共同開発
活動レポート写真2
招へい者による血管の運動性状評価に関する説明

【招へい者による研究紹介やセミナーの開催】

 招へい者らの研究機関と、より広範囲な学術交流を展開していくため、招へい者らのグループが現在取り組んでいる研究課題に関するセミナーを開催し、情報交換とディスカッションを行いました。このセミナーには、東北大学における生体内流体計測や超音波工学分野の関連研究者や大学院生も多く参加し、多くの討論を通じて相互理解を深める事ができました。

活動レポート写真3
招へい者との研究交流セミナーの様子

【招へいを終えて】

 本事業の支援のもと、国際的に当該分野を先導する研究グループがあるウォータールー大学より博士課程の学生を招へいすることができ、今後双方の研究課題の発展に資する共同研究の初期検討を実施する事ができました。また本事業を通じて、東北大学の大学院生には貴重な国際交流の場をつくる事ができ、招へい者には、塩竃市のひな祭りイベントへの訪問や東京上野公園での桜観賞などを通じて日本の春の風景や文化を体験してもらう事もできました。東北大学とウォータールー大学は大学間交流協定を締結しており、今後も活発な共同研究や人材交流を展開していきたいと考えています。

活動レポート写真4
招へい者と東北大学医工学研究科医用イメージング分野との集合写真