2023年度 活動レポート 第238号:大阪大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第238号 (Aコース)

最先端加速器施設および検出器体験プログラム

大阪大学核物理研究センターからの報告

 大阪大学では、2024年1月28日から2月3日までの7日間、中国科学院近代物理研究所(IMP)および蘭州大学から自己資金招へい者を含む合計21名を招へいし、最先端加速器施設および検出器体験プログラムを実施しました。

 大阪大学核物理研究センターはIMPと学術国交流覚書を締結しており、毎年共同研究、研究交流を行っております。また大学院生1名が特別研究学生として核物理研究センターに滞在し、研究活動を進めています。本プログラムはIMPおよび蘭州大学の学部生と大学院生を対象とし、大阪大学が持つ世界トップレベルの実験施設を見学すると同時に、最先端の原子核物理学実験を体験することを目的としました。

 原子核物理の研究は基礎科学の発展だけでなく、粒子線がん治療、放射性医薬品の開発や工業用半導体の耐放射線性研究など様々な応用分野において重要な役割を担っています。プログラムの前半では、大阪大学核物理研究センター、理学部物理学科、レーザー科学研究所・中性子ビーム施設を見学し、それぞれの部局にて原子核物理学ならびに関連分野の講義・研究紹介を受けるとともに原子核物理学研究がもつ可能性と重要性を学びました。学生たちにとって初めての内容が多かったであろうと思いますが、たくさんの質問を投げかけるなど積極的な姿勢に多くの教員が感心いたしました。

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RCNP加速器施設見学

 中日となる4日目には大阪歴史博物館と大阪城の見学を実施しました。多くの学生にとって今回が初めての海外旅行となり、大いに大阪の街を楽しんでもらいました。大阪の食事情に加えて、日本の路地が非常に"Clean"であることがとても印象的であったようです。

 プログラムの後半では、核物理研究センターにてガンマ線検出器であるNaIシンチレータを用いて放射線計測の基礎とデータ処理の仕方を学ぶとともに、トリウムタングステン棒からの放射線を用いて物質の放射線遮蔽効果を体験してもらいました。実験およびデータ処理はスタッフおよび院生の指導のもとで行いました。初めての体験ながら手際よく進め、データ処理も分担するなど工夫が見られました。

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放射線計測実習の様子

 最後に、核物理研究センターのスタッフと院生が出席する中、招へい者全員にデータ解析の結果および本プログラムへの感想について発表してもらった後、ささやかな懇親会を開きました。

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招へい者による発表の様子

 本プログラムを通じて、招へい者達は核物理研究センターのスタッフおよび院生と深く交流することができました。また、様々な分野の研究現場、最先端研究設備を見学・体験することにより、日本の大学における世界トップレベルの研究を少なからず実感できたと考えています。招へい者の日本への留学を促すきっかけになること、あるいは日本と中国の架け橋となることを期待しつつ、これからもこのような交流プログラムを続けて行きたいと考えています。

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RCNP大学院生・ポスドクとの交流会
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修了式にて

中国科学院近代物理研究所における活動報告の掲載
https://imp.cas.cn/sndt2017/202402/t20240226_6963466.html