2023年度 活動レポート 第230号:桜美林大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第230号 (Aコース)

日本遺産八王子から学ぶ・サステナブルツーリズムに関する取り組み

桜美林大学からの報告

 2024年2月18日~2月24日、サンウェイ大学(マレーシア)、マヒドン大学(タイ)から大学生8名、教員2名、計10名を招へいし、科学技術体験コースのプログラムを実施した。本プログラムは、サービスマネジメント・ツーリズム・サービス・コミュニケーションなどを専門とする桜美林大学ビジネスマネジメント学群所属の尾川佳子准教授が指導にあたり、プログラム全体のデザインやコーディネーションを担当した。

 「日本遺産八王子から学ぶ サステナブルツーリズムに関する取り組み」をテーマとし、地域の文化や、環境に配慮したサステナブルツーリズムなどに注目した。海外参加学生が、日本における自然、歴史・文化、学術や産業など多様な地域資源を育成・活用している高尾山の優れた取り組みを現地視察で知識的に、かつ体験的に学び、ゴミ対策において評価された環境や景観保護を展開している事業の思いと手法について理解するとともに、八王子の通訳ガイドボランティア団体「TENGU」に高尾山の魅力を環境保護の観点からレクチャーを受けた。また、養蜂を通した高尾山の環境保護と、ツーリズムの促進に取り組んでいるうかいグループの第一店舗である「うかい鳥山」に訪問し、その取り組みを実際に見学するとともに、移築され維持されている本物の合掌造りの建物でレクチャーを受け、八王子中町の黒塀通りの一角の日本で最小と言える酒造を見学し、学んだ理論を体感した。グループワークを通して、日本の観光業・文化・おもてなしの精神をキーワードとして、世界各地のサステナブルツーリズムによる雇用創出と経済活性化、所得向上の好循環モデルを議論し、他国でも展開できるかを考えるきっかけとした。

 アイスブレイクや科学未来館の訪問の後、京王観光旅行事業部戦略プロモーション担当者に講師としてご登壇いただき、観光における持続可能性の実践とともに、さらに持続可能な観光の世界標準であるGSTC基準を説明し、京王の今後の新たなマーケット創造計画を口頭で紹介いただいた。その発想や着想、戦略、仕組み、実践事例などを学び、各国の現状や課題、今後の展望に関する意見や質問、提案について活発に意見交換をした。

 八王子市は、東京では珍しい河川や緑豊かな自然を有し、伝統や文化など人々を魅了する地域資源に恵まれている。海外参加者たちは、八王子市にある高尾山を登山し、高尾山という固有の歴史文化と貴重な自然資源を活かしながら新しい、親しみのある知的レクリエーションを創造することで地域の資源を最大限に活用し、持続可能な発展に貢献する手法など、多くの示唆を得ることができた。

活動レポート写真1
雨ながら高尾山を登山している参加者たち

 うかいグループは、持続可能性の観点からサスティナビリティ推進体制を強化しており、高尾の豊かな自然を壊すことなく自然と共生できるように設計された純和風の店舗作りで、サスティナブルに貢献している八王子発祥の飲食企業である。歴史的な建物である合掌造りにて、うかいグループの歴史を教えていただき、また日本の伝統行事には欠かせない餅つきなど、電力などのエネルギーを使用しない古くからの方法での食糧の作り方などから、日本の昔ながらのサスティナビリティを体験してもらうワークショップを行った。

活動レポート写真2
うかいにて餅つきを体験する

 その後、参加者たちは、個性あふれる日本酒を生産する東京八王子酒造を訪問し、コンパクトでありながら充実の設備を取り揃えた都市型の醸造所を見学した。消費エネルギーの削減など環境にも配慮し、地域の人たちと共創した酒米づくりに魅力を感じた。

 最終発表に向けての準備や最終意見交換を実施。グループごとに立案したテーマについて各自作成した資料を用いて発表し、参加した日本学生もフィードバックを行った。サステナブルツーリズムに関する議論が多面的・多角的に行われ、イノベーティブなアイデアが生まれ、研修の集大成に相応しい発表となった。

活動レポート写真3
ディスカッションが盛り上がっている参加者たち

 参加をした招へい学生・教員の事後アンケートでの満足度は非常に高く、また留学や就職で日本に戻りたいといった声も多く寄せられた。今後の再来日や相互の学生交流、研究交流に繋がることを強く期待している。