2023年度 活動レポート 第218号:横浜市立大学

2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第218号 (Aコース)

最先端マルチスケール量子水素シミュレーションを駆使した国際研究交流

横浜市立大学からの報告

 2024年1月14日~1月21日、ウボンラーチャターニー大学(タイ)、モンクット王工科大学ラートクラバン校(タイ)、ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)から、大学生、大学院生、教員、計10名を招へいしました。

■研究室での「最先端マルチスケール量子水素シミュレーション」による議論

 1月16日、タイとカナダからの招へい者に、当研究室で用いている先端的なシミュレーション手法を体験してもらうため、「最先端マルチスケール量子水素シミュレーション」による議論を実施しました。招へい者自身に選定してもらった研究テーマは以下の通りです:①タンパク質(GFP類縁体)における水素/重水素による構造変化、②金属表面における水素分子吸着機構、③電子励起状態における水素移動反応機構、④アミノ酸生成における水素/重水素効果。それぞれのテーマにおいて、最先端の研究を行っている当研究室の学生たちが研究発表を行いました。

 招へい者は、特に当研究室での先端的なシミュレーション手法である、経路積分分子動力学(PIMD)法や多成分分子軌道(MC_MO)法に興味を持ち、その理論や実際のシミュレーションに熱心に取り組んでいました。その熱い議論は昼食休憩等の間も途切れず、一日を通して深い国際交流を行うことができました。このような国際的な研究交流の場は、異なる専門領域や文化を持つ研究者同士が交流することで、その研究領域のさらなる発展や、共同研究の発足につながるものです。したがって今回の議論は、国際的な研究交流において非常に有益なものでした。

活動レポート写真1

■鎌倉ツアー

 1月17日、横浜市大から近距離である鎌倉を訪問し、歴史的な史跡を巡りながら、日本の仏教文化と豊かな歴史に触れました。具体的には、大仏、長谷寺、鶴岡八幡宮の見学を行うことで、日本の精神文化と歴史的背景を学びました。また、日本特有の習慣であるおみくじを引くなど、参加者に日本文化の一面を体験していただきました。食文化の面では、小町通りで食べ歩きを楽しみ、抹茶スイーツや練り物、寿司など、日本の多様な食べ物を味わいました。これは、日本の食文化を知ることができる機会であり、参加者にとって記憶に残る体験となりました。さらに、着物レンタルと着付けを体験し、日本の伝統衣装を身にまとって古都鎌倉の街を散策することで、日本の伝統的な生活様式と美意識に触れることができました。

活動レポート写真2

■第八回量子化学国際ミニワークショップ

 1月20日、量子化学による国際的な交流をもつため、「第八回量子化学国際ミニワークショップ」(The International Workshop on Quantum Chemistry, 2024)を実施しました。本ワークショップには、タイ・カナダの学生、教授の方々に講演を行っていただきました。また、広島大学や、岐阜大学、茨城大学からの国内招待講演者の方々にも参加していただきました。講演者の口頭発表は、量子化学の世界で最先端研究を取り扱ったものであり、質疑応答時間のみならず、休憩中にも日本人とタイ人、カナダ人を交えた議論が活発に行われました。また、当研究室と繋がりの深い企業にも参画し、日本の産業界における計算科学の活躍を紹介しました。このようにタイ・カナダ、日本国内のいくつかの大学・産業界の方々と多くの参加者により、非常に多角的な視点から量子化学、計算科学についての議論が行われました。また、前日に行われた意見交換会では、とても和気あいあいとした雰囲気の中、さらなる交流を深めることが出来ました。本ワークショップは、日本とタイ・カナダとの間での量子化学による、国際的なコミュニティー作りを加速させることができ、国際研究交流の目的・趣旨に対して大変効果的でした。

活動レポート写真3