2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第214号 (Aコース)
光合成生物の機能調節に関する研究
岡山大学・異分野基礎科学研究所
特任教授 高橋 裕一郎さんからの報告
インド・ハイデラバード大学生命科学部植物科学科の若手研究者・大学院生9名および引率のSubramanyam教授の総勢10名を2024年3月3日から10日までの日程で招へいし、「光合成生物の機能調節に関する研究」という交流テーマで「A.科学技術体験コース」を実施した。日本とインドの若手研究者・大学院生と交流を深め、日本の文化・伝統・歴史をインドの若手研究者により深く理解する機会を提供した。
【初日】
ハイデラバード大学の一行は関西空港に午後遅く到着し、その晩は関西空港近辺のホテルで一泊した。
【2日目】
関西空港から鉄路で岡山へ移動した。岡山へ到着後、荷物をホテルに預けて、そのまま岡山大学津島キャンパスの異分野基礎科学研究所を訪問した。研究所の光合成研究グループの研究室見学し、光合成研究の研究設備などの説明を受けた。特に、本年度に新たに導入されたクライオ電子顕微鏡の見学では、光合成装置のサンプルを電子顕微鏡へ装着する過程を実演して紹介することすることができた。
【3日目】
異分野基礎科学研究所を訪問し、光合成生物の機能調節に関する研究に関するセミナーを黒田博士と菅教授が提供した。その後、ハイデラバード大学の2名の大学院生がそれぞれの研究成果のプレゼンテーションを行い、研究所のスタッフによる質疑応答を行った。本研究所の強みであるタンパク質複合体の構造解析に関する最先端の研究成果の紹介に、多くの参加者が興味を示したと思われる。
【4日目】
岡山大学倉敷キャンパスの資源植物科学研究所を訪問した。駅から研究所への経路は倉敷の美観地区を通過するので、午前中は江戸時代の伝統的な町並みを見学した。午後は、研究所の坂本教授、小澤博士、桶川博士が葉緑体および光合成の機能調節に関する分子レベルでの研究成果のセミナーを行った。また、引率者のSubramanyam教授が研究グループの研究成果を報告し、情報交換を行った。
【5日目】
新幹線を利用して広島市の広島平和記念資料館を訪問した。午後は、宮島へ移動し、日本の伝統的な寺院建築である厳島神社とその周辺を見学した。
【6日目】
京都大学を訪問した。運悪く、当日の朝に岩国駅で人身事故があり列車運行が大きく遅れて京都駅に予定通りに到着できなかった。しかし、京都大学の伊福教授のグループの皆さんの支援により、午後に予定されていたセミナーは予定通り行うことができた。農学研究科を訪問し、それぞれで光合成の機能調節に関する最新の研究成果の紹介を行った。
【7日目】
午前中は京都大学理学研究科を訪問し、光合成の環境応答に関する分子レベルでの研究成果のセミナーを行った。また、ハイデラバード大学の学生による研究課題に関する研究進展の報告も行った。活発な質疑応答が行われ、情報交換は十分であった。午後の空いた時間に京都市内の見物を行い、清水寺と三十三間堂を散策した。特に三十三間堂の仏像の彫刻の中にヒンドゥー教の神々の像を見つけ、日本とインドの間の共通した文化を実感することができた。申請者は翌日の関西空港での見送りのために岡山から京都へ出かけ、午後には一行と合流した。
【8日目】
関西空港11時発のフライトに搭乗するため、午前7時前にホテルをチェックアウトして、京都駅から特急はるかで関西空港へ移動した。
今回の招へいは、短い期間に岡山大学と京都大学を訪問し、光合成の機能調節に関する研究をかなり深く紹介することができたと自負している。また、日本の科学だけでなく、日本の文化や平和への姿勢を岡山、京都、広島で体験する機会を提供できたのは有意義であった。今回の招へいは岡山大学と京都大学の多くの皆さんの協力があったため内容を充実させることが可能となった。岡山大と京都大の皆さんには感謝いたします。