2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第080号 (Aコース)
「セルロースナノファイバーを基板にした環境低負荷型電極の作製と環境センサーへの応用」に関する科学技術体験コース活動
佐賀大学理工学部化学部門
冨永研究室からの報告
【概要】
2023年11月5日から11月11日の7日間、インドネシアのスリビジャヤ大学・工学部の教員Leily Nurul Komariah先生、学部生のSabina Adralviさん、Rizky Hidayat Aspanさん、カリマンタン工科大学・環境地球科学部の教員Fikan Mubarok Rohimsyah先生、学部生のIrsyad Al Habibさんの5名が、理工学部化学部門の電気化学研究室(冨永昌人教授)において、「セルロースナノファイバーを基板にした環境低負荷型電極の作製と環境センサーへの応用」の科学技術体験コース活動を行いました。また、日本文化の体験や佐賀市のバイオマス産業への取組についても学びました。
【科学技術体験コース活動】
我が国のセルロースナノファイバーに関する研究開発技術は世界の先導的役割を果たしています。そのセルロースナノファイバーを用いた低環境負荷型電極の開発とそれを用いた環境センサの作製と実際の測定を体験してもらいました。具体的には、アモキシシリンセンサを作製しました。アモキシシリンは最も使われる抗生物質で、東南アジア諸国においては薬局で自由に抗生物質を購入可能です。東南アジアでは、この抗生物質による河川や湖の汚染が問題になっています。本科学技術体験コースでは、センサーの作製からアモキシシリンの電気化学計測までを体験することができ、母国の環境問題を解決するための良い体験になったと思われます。
プログラム最終日には、招へい者全員が母国大学での研究や本プログラムでの成果について、各20~30分間の英語でのプレゼンテーションを行いました。冨永研究室の学生ならびに研究員の全員も、各自の研究内容を英語で5~10分間で紹介しました。
【体験プログラム】
11月9日に、佐賀市エコプラザを視察しました。リサイクルのためには「ゴミの分別」が極めて重要であることを再認識して頂きました。可燃ゴミからの熱の再利用ならびに発電に大変興味をもったようでした。また、可燃ゴミから発生した二酸化炭素を微細藻類の培養に活用されていることにも驚きをもって視察していました。佐賀城本丸歴史館も視察して、明治初期の日本の科学技術の最先端にあった鍋島藩の取組(蒸気汽船や高炉)について学び、建築物を含めて日本文化についての理解を深めました。
【研究室学生の感想】
共同研究活動や視察などを支援した研究室の学生にとっても、有意義な研修活動となりました。下記は、今回のプログラムを支えてくださった学生の感想です。
PIK(D1)さん:I am delighted to have the opportunity to participate in the Sakura Science Program. In this program, I met new friends from the Institut Teknologi Kalimantan and Sriwijaya University. We shared the knowledge about an electrochemial sensor. This program is very useful for mutual discussions about science and culture. Even though I am from Indonesia, in this program, I learned about Sumatran and Bugis culture by the invited students.
HS(M1)さん:インドネシアの学生や先生との研究活動や佐賀城本丸歴史館の視察などを通して、佐賀大学での取り組みや日本の雰囲気・歴史・文化を体感してもらえていることを実感できました。日本人にとっては当たり前でなんとも思っていなかったことでも、初めて日本を見た人にとっては驚きのあることのような、今まで気づくことが無かった視点を得ることができるのは、国際交流することでしか得られない刺激だと思いました。
【最後に】
帰国前日に修了証書の授与式を執り行いました。その後、数人の日本人学生にも参加してもらい、意見交換会を開催しました。
最後に、冨永研究室の学生全員が参加した送別会を執り行いました。リラックスした雰囲気の中でさらにお互いの交流を深めることができたと思います。
最後に、本プログラムを実施するにあたり、多大な貢献をしていただいた研究室の学生皆さんに心から感謝いたします。また、ご協力いただきました本学の事務職員の皆様ならびにご支援をいただきました科学技術振興機構のさくらサイエンスプログラムに深く感謝いたします。