2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第048号 (Aコース)
リモートセンシングとAIによる先端情報処理技術に関する学習と体験
山口大学大学院創成科学研究科
教授 山口真悟さんからの報告
2023年10月8日から14日にかけて、マレーシアのトゥンフセインオン大学(Universiti Tun Hussein Onn Malaysia;UTHM)から4名の学生と1名の教員を山口大学にお招きし、さくらサイエンスプログラムを実施したことをご報告いたします。
山口大学とUTHMの間の研究交流は2016年に始まり、2020年4月には部局間協定が締結されました。当初は2020年度にさくらサイエンスプログラムを開催する予定でしたが、新型コロナウイルスの影響により延期を余儀なくされ、2021年度には代わりにオンライン交流会 を実施しました。その結果、複数の学生が山口大学への留学に関心を持ち、このプログラムが持つ可能性を確信するに至りました。これを踏まえて、学部や大学全体にわたる交流の拡大を目指し、今回のプログラムを実施いたしました。
山口大学には、応用衛星リモートセンシング研究センターや工学部知能情報工学科などがあり、また山口県にはKDDI山口衛星通信所やJAXA西日本衛星防災利用研究センターがあります。これらの資源を生かし、リモートセンシングとAIを融合させた情報処理技術や宇宙利用技術の最先端について学ぶことで、我が国の技術への理解を深め、関心を喚起するようなプログラムを展開しました。プログラムには、電気電子分野で最も権威のあるIEEEが主催する国際会議での論文発表や聴講も含め、参加者が科学技術の将来や自己のキャリアについて考える機会を設けました。
初日は福岡空港に到着し、オリエンテーションを受けた後、山口大学常盤キャンパスがある宇部市の宿泊先へと移動しました。
2日目は、山口市にある吉田キャンパスを訪れ、山口大学情報・データ科学教育センターを訪問し、AIやデータサイエンスに関する教育・研究について意見交換しました。それからKDDI山口衛星通信所を訪れ、アンテナの機能や役割について詳しく学びました。その後、美しい錦帯橋を視察しました。
3日目は、JAXA西日本衛星防災利用研究センターの見学を行い、リモートセンシング技術に関する講義を受けた後、AIを活用したデータ解析の講義と実習を行いました。衛星画像を畳み込みニューラルネットワークを使って森林や草原など6種類に分類する実習を行いました。自ら考え試行錯誤しながら、熱心に実習に取り組んでいました。
4日目には、研究交流会が開催され、UTHMの学生4名と山口大学の学生2名が研究成果を発表しました。20名を超える参加者たちは、活発なディスカッションと質問応答を通じて、学術的な交流を深めるとともに、相互の友情も育んでいきました。
5日目と6日目は、IEEE GCCE 2023国際会議に参加し、学生たちが論文を発表しました。第一級の研究者や技術者と意見交換することにより、参加者自身が将来のキャリアについて自己啓発するような体験になったと思われます。
最終日には福岡空港から帰国しました。
アンケートによれば、参加学生は日本の文化や技術に触れ、再訪の意欲を高めたとのことです。引率教員も山口大学やJAXAの研究教育環境を高く評価し、今後も交流の促進を希望しています。また、山口大学の学生がUTHMの訪問を希望していることからも、このプログラムが与えた影響は大きいと言えます。