2023年度活動レポート(一般公募プログラム)第030号 (Aコース)
先端リハビリテーション技術および運動機能評価計測技術の体験
前橋工科大学
准教授 小田垣 雅人さんからの報告
2023年9月1日から7日まで、De La Salle University(フィリピン)のInstitute of Biomedical Engineering and Health Technologiesに所属する研究者4名を、前橋工科大学に招へいしました。今回の招へいでは、日本の先端リハビリテーション技術と運動機能評価計測技術の体験を通した人的交流を目的に設定しました。
招へい者4名は、9月1日夜に成田空港に到着し、翌日に高速バスを利用して宿泊先の前橋市へ移動しました。移動後は、前橋工科大学の学生2名の案内により、研究室、教室、実験棟などのキャンパス施設を見学しました。翌日9月3日は、前橋工科大学の神経電子計測システム研究室(主宰:小田垣准教授)を訪問し、研究室で実施している研究紹介や、実験システムの体験をしてもらいました。
9月4日は、前橋工科大学の学生3名も同伴し、群馬大学大学院保健学研究科の作業療法学専攻の研究室を訪問しました。群馬大学では、運動機能評価についての研究紹介と実機を用いたデモを、野口直人助教、秋山稜登助教、群馬パース大学の近藤健助教および留学生4名に以下のようにご対応いただきました。
- 近藤助教:3Dプリンタを用いた生活支援治具の製作について解説
- 秋山助教:電子ペグボードと視線計測カメラを用いた運動機能評価法の解説
- 野口助教:振動感覚評価デバイスの説明
9月5日は、午前中に前橋工科大学の学生、教員を交えた研究ミーティングを実施しました。前橋工科大学の学生による研究紹介と、招へい者からはDe La Salle Universityにおいて開発を進めているリハビリテーション装置について紹介していただきました。前橋工科大学の学生は英語でプレゼンテーションをする経験が少なく、心配していましたが、各発表者ともよく準備できており、問題なくプレゼンテーションできていたと思います。本プログラムにおいて、英語でのプレゼンテーションができたことは、前橋工科大学の学生にとっても良い経験であったと思います。
また、同日午後には、群馬県立産業技術センターのDigital Solution Labを見学させていただきました。同センターは、群馬県内企業のDX化 (Digital Transformation)をサポートしており、これまでの実績として、県内企業と共同で開発しているロボットや計測技術の紹介をしていただきました。今回、招へいした4名の専門分野がロボティクスであることから、同センターで紹介された種々のロボットに大変興味を持っていたようです。その後、群馬県伊勢崎市にある公益財団法人脳血管研究所美原記念病院のリハビリ施設を見学しました。日本のリハビリ施設の見学は初めてであり、フィリピンにおける臨床現場との違いを肌で感じることができ、先進的なリハビリテーション技術が実践されていることに感心していたようです。
9月6日は、前橋工科大学の今村一之学長を訪問。本プログラムの成果を報告し、今後の交流計画等についても話し合いを行いました。さらに、本プログラムの修了証の授与を今村学長から招へい者4名に対して行っていただきました。9月7日には、前橋市から成田空港へ向かいました。搭乗予定の便がキャンセルになり、振替の便での出国となるトラブルはありましたが、無事帰国の途に就きました。
本プログラムを通して、日本の先端的なリハビリ技術を体験すること、また日本で学ぶ学生との交流を深めることができたことから、当初の目的を達成できたと思います。帰国後も、オンラインでのミーティングやメールの交換が続いておりますので、今後も技術的、人的交流を深めて、より良い関係を構築していきたいと考えています。