2022年度 活動レポート 第174号:帝京大学

2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第174号 (Cコース)

ベトナム医療従事者が「医療安全管理」、「危機管理」、「バイオセキュリティ」についての理論および技術を学ぶ

帝京大学アジア国際感染症制御研究所からの報告

 帝京大学アジア国際感染症制御研究所(ADC研)は、さくらサイエンス招へいプログラムの支援により、2023年2月27日~2023年3月8日までの10日間研修プログラムを実施しました。ベトナム国立小児病院から医師6名、ホーチミン第一小児病院から看護師2名、ベトナム国家大学ハノイ校から研究者1名の計9名の医療従事者を招へいし、今年度は「感染症医療におけるベトナムとの協力体制の強化と適切な感染制御技術の習得」のテーマのもと、「医療安全管理」、「危機管理」、「バイオセキュリティ」についての理論および技術の取得を目指し研修を行いました。

【1】

 本学医学部附属病院安全管理部での医療安全、Human Errorや報告書の意義などに関する講義、安全文化一般と感染症制御においてWHOガイドラインおよび日本とベトナムのガイドラインの検討を行いました。
 また、外部講師を招き「世界のバイオセキュリティ規範」について講義を受けました。

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WHOガイドラインの概要と討論

【2】

 帝京大学付属病院では小児科・感染制御部・ME部による病院ラウンド、薬剤部において研修を行いました。招へい者の中には自国病院において小児科所属者がおり、自身の専門分野の改善点や進歩について積極的に学んでいました。

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小児科ラウンド
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ME部

【3】

 ウイルスや細菌検査技術実習体験をADC研ラボで行いました。普段あまり目にすることのない研究機器や設備に興味関心を持った様子でした。

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ADC研ラボでの実験

【4】

 大学では、公衆衛生学の研修、医学部微生物学講座での微生物管理と検出技術の実習を行いました。
 シミュレーション教育センターにおいては、アメリカ心臓協会(AHA)による心肺蘇生シミュミレーション研修を受講しました。この研修ではBLS(一次心肺蘇生法)の認定講習(英語版)、PPE(個人防護具)着脱法などの必要性の高い基本手技を取得することができる招へい者にとって貴重な経験になり、結果、研修生全員がAHAの受講証を獲得することができました。

【5】

 結核研究所(東京都清瀬市)および国立国際医療研究センター/病院への訪問を行い、医学教育と感染症制御の実情、ベトナムの医学教育と実践について講義、意見の交換を行いました。
 これらの日本の感染症治療の中枢となる二つの医療機関・病院での講義や感染症施設見学等は非常に有意義な時間となりました。

【6】

 最終日は、意見交換会として附属病院や大学でご協力いただいた多くの教職員の方にご参加いただき、招へい者を含めた全員で「本プログラムで学び習得した事」や、「これらを今後どのように自国の医療において活用できるか」また、「どのような事が今後の課題となるか」について意見交換を行い、修了証を授与し終了しました。

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修了証授与式

 10日間という期間は短い期間でしたが、近隣国より招へいするには十分は期間であり、本プログラムでの研修以外でも日本の文化等実際に目にして経験出来たことは招へい者達にとっても貴重であり、想像していたことが実体験として肌で感じられることは大きな意味があると考えます。
 また、2022年度の招へいプログラムにおいてはコロナ禍での延期、代替オンラインプログラムを経て2019年度実施 以来の実招へいが叶い、招へい者および受け入れ機関双方にとって喜ばしく素晴らしい研修となりました。

 本プログラムを通して、帝京大学が実施している医療安全や感染症制御に関して理解を深めてもらう事ができたと思います。自国との違いを感じ、積極的に質疑してくださる姿に受け入れ機関として私達も学ぶ事が多い期間となりました。これを機に今後もこのような交流活動を活発に行い、連携を深めこれまで以上に現協力協定の進展に繋がることを期待しています。

 最後にこのような機会をいただけたことに、さくらサイエンスプログラムならびに関係者の皆様に深く感謝申し上げます。