2022年度活動レポート(一般公募プログラム)第087号 (Bコース)
「環境汚染物質の電気化学的検出ならびに微生物燃料電池の開発」に関する共同研究プログラム
佐賀大学 理工学部 化学部門
電気化学研究室(冨永研究室)からの報告
【概要】
2023年1月18日から1月27日の10日間 、インドネシアのスラバヤ工科大学・化学科の大学院生のAhmad Syafiqさん、Indra Bayuさん、ならびに同大学・産業工学・システム工学部の学部生のMochammad Fahmi Zachriさん、Vania Naufalinさんの4名が理工学部化学部門 電気化学研究室(冨永昌人教授)において、「 環境汚染物質の電気化学的検出ならびに微生物燃料電池の開発 」の共同研究活動を行いました。また、日本文化の体験や佐賀市のバイオマス産業への取組についても学びました。
【科学技術研修活動】
日本の高い技術力に支えられたカーボンナノチューブとセルロースナノファイバーを用いた低環境負荷型電極の開発とそれを用いたアモキシシリンの電気化学検出センサの共同作製を行いました。東南アジア諸国では抗生物質は薬局で自由に購入可能で、アモキシシリンは最も使われる抗生物質です。下水処理施設が不十分な東南アジアでは、この抗生物質が河川や湖に流れ込んで問題になっています。本研究課題は重要な検出技術になると思われます。
インドネシアのパーム油生産量は世界供給量の70%である一方、その廃水が環境に大きな負荷をかけています。微生物燃料電池は水の浄化とエネルギー生産を同時に行えるシステムである。実施責任者がこれまで開発してきた微生物燃料電池をさらに高性能化すべく新規カソードの開発の共同活動を行いました。
プログラム最終日には、4名の招へい者が、母国大学での研究や本プログラムでの活動成果について、それぞれが約15〜20分の英語でのプレゼンテーションを行いました。冨永研究室の日本人学部生・大学院生も、各自の研究内容を英語で 5〜10分間で紹介しました。
【体験プログラム】
1月21日に、熊本市街を訪ねて、2016年4月の熊本地震で被害の修復を完了した熊本城天守閣や水前寺成趣園を視察しました。移動には、路面電車、市バス、JR特急、新幹線を体験してもらい各種の交通システムを体験しました。また1月24日は、佐賀市エコプラザを視察しました。リサイクルのためには「ゴミの分別」が極めて重要であることを再認識できたようでした。佐賀城本丸歴史館を視察して、明治初期の日本の科学技術の最先端にあった鍋島藩の取組(蒸気汽船や高炉)について学び、建築物を含めて日本文化についての理解を深めました。この日は、雪が吹雪いた天気で、インドネシア学生にとっては初めての雪の体験になりました。
【研究室学生の感想】
共同研究活動や視察などを支援した研究室の学生にとっても,有意義な研修活動となりました。下記は、今回のプログラムを支えてくださった学生の感想です。
CH(M2)さん:I am delighted to have the opportunity to meet juniors and new friends from my previous school, ITS Indonesia. It reminds me of the university and city where I used to live. I also could share the knowledge I have gained here with them, such as modified cathode electrodes. I hope they can apply the knowledge and good habits they learn here, when they go back to Indonesia. Although they come here in the winter when the temperature is around 1 ℃, I hope they enjoyed the 10 days in Japan.
HS(B4)さん:第2回目のさくらサイエンスということもあって、実験を英語で教えることや視察案内にもだいぶ慣れてきたように感じました。日本語とインドネシア語を教えあったり、インドネシアの文化のことだったり、化学のこと以外の話もたくさんできてとても楽しかったです。今までは国際交流にあまり興味はありませんでしたが、さくらサイエンスを通してそういうことにも興味を持てるようになったので、とてもいい経験になりました。
【最後に】
帰国前日に修了証書の授与式を執り行いました。その後、日本人学生にも参加してもらい、簡素な意見交換会を開催しました。日本アニメ、食べ物、文化等など、リラックスした雰囲気の中、幅広い分野における有意義な意見交換ができました。
最後に、本プログラムを実施するにあたり、ご協力いただきました本学の事務職員の皆様ならびに多大な貢献をしていただいた研究室の学生皆さんに心から感謝いたします。ご支援をいただきました科学技術振興機構のさくらサイエンスプログラムに深く感謝いたします。