2021年度活動レポート(一般公募プログラム)第120号 (代替オンライン)
マレーシア工科大学(UTM)とのオンライン交流
芝浦工業大学からの報告
芝浦工業大学工学部情報通信工学科とマレーシア工科大学(UTM)は「オンライン環境でのコミュニケーションの質を高める技術」をテーマとして2022年3月10日に合同ワークショップを開催した。この2大学は昨年度にオンラインでのグローバルPBL(Project Based Learning)を開催し、社会生活の利便性を高めるIoT(Internet of Things)システムを提案することを目的としたアイデアソンを行った。今年度は両大学とも同じメンバーで2回目のPBLを対面で開催予定であったが、コロナ禍のためワークショップに切り替えての実施となった。
ワークショップは2件のチュートリアル講演で構成された。1件目は芝浦工大SIT総研研究員のTan先生により"A Tour of Immersive Imaging Technologies"のタイトルで主に多視点映像によるVR技術について解説がなされた。多視点画像生成の理論、撮影技術と撮影機器、生成された映像を用いたアプリケーションなど、基礎から最先端の話題まで丁寧にカバーする中身の濃い講演であった。2件目はUTMのEffiyana先生により "Future Trends and Research to Enhance Learning in Engineering"のタイトルで、数理系基礎科目のオンライン授業での学生間・学生と教員のコミュニケーションについて講演者自身の取り組みの紹介が行われた。
Discordをはじめとする音声会話の可能なSNSを用いて学生同士グループを組み、初回授業での学生間のice breakingなどを丁寧に行っていくことで、各週の授業中課題での学生間・学生と教員のディスカッションが促進されていくという具体例が紹介された。座学の基礎科目のオンライン授業では学生が周りとコミュニケーションをとる機会が非常に少なくなりがちで頭を悩ませることが多い中、大変参考になる講演であった。
コロナ感染拡大により対面での交流は図れなかったものの、今回は双方合計で約70名の参加者があり、オンラインで開催したからこそこれだけ多く集まったといえる。本学科は以前よりUTMから留学生を受け入れている他、ICT導入による教育効果の改善に関して双方の教員で共同研究を行っている。講演の1件目は本分野に興味を持つマレーシアの学生が留学を考えるきっかけに、2件目は教育でのオンラインコラボレーションツールの導入効果について、共同研究の促進につながると考えている。本ワークショップはこれらを含めて今後のさらなる交流の活性化につながる機会となった。
最後に、今回の開催を支援して下さったさくらサイエンスプログラムの関係者の方々にお礼申し上げます。