2021年度 活動レポート 第114号:東京海洋大学

2021年度活動レポート(一般公募プログラム)第114号 (オンライン)

分子生物学をミャンマーの水産分野で実践する:DNAを用いた魚種鑑定

東京海洋大学 学術研究院
准教授 小林 武志さんからの報告

 2022年1月27日から2月1日の間の4日間、東京海洋大学では、さくらサイエンスプログラムのご支援により、ミャンマーのモーラミャイン大学、農業・牧畜・灌漑省水産総局、ヤンゴン大学とオンライン形式による共同研究活動コースを実施しました。

 本コースは「分子生物学をミャンマーの水産分野で実践する:DNAを用いた魚種鑑定」と題して行われました。当初は、東京海洋大学にて対面による活動を行う計画でありましたが、新型コロナウィルスの影響により来日は不可能となりました。オンライン形式によって現地でDNA解析実験を行うことは、設備の点で難しく、座学のみの交流となるため、以前よりレクチャーの依頼があり、参加者が現地で実験可能な内容(魚類の耳石の観察)を追加することにしました。さらに、参加者にはヤンゴン大学とモーラミャイン大学の実験室に極力出席していただくこととし、リアルタイム形式により実施することとなりました。なお、参加者は38名で、4日間は全て現地時間の10時開始といたしました。

活動レポート写真1

【1日目(1月27日)】

 東京海洋大学の概要やミャンマーとの交流の歴史について、小林から紹介を行いました。続けて、横田賢史先生が魚の解剖、耳石摘出、包埋、研磨法などに関する手法の説明を行った後、現地で解剖から耳石観察までの一連の実験を開始しました。その様子はリアルタイムで送信していただき、適宜コメントを送る形で進行しました。

【2日目(1月28日)】

 寺原猛先生による授業を行いました。DNA解析による魚種判別(その1)として、マグロの種判別を取り上げ、DNA抽出、PCR、制限酵素反応などの手法を講義しました。次に、横田先生が実験の途中結果の確認を行いました。オンラインで試料の写真を送付していただき、コメントすると共に、耳石研磨面の解析(その1)として、画像処理ソフトのダウンロード・インストールを行いました。

【3日目(1月31日)】

 寺原先生による授業を行いました。DNA解析による魚種判別(その2)として、ミャンマーのナマズの事例を取り上げ、DNA抽出、PCRなどの手法を講義しました。その後、オンラインで研磨耳石の写真を送信していただき、横田先生によるその講評を行い、さらに、耳石研磨面の解析(その2)として、画像処理ソフトとExcelによる耳石核からそれぞれの輪紋までの相対距離算定法に関する講義などを行いました

活動レポート写真2

【4日目(2月1日)】

 寺原先生による授業を行いました。DNA解析による魚種判別(その3)として、ミャンマーのナマズを事例として、DNA塩基配列データの解析法などを説明しました。その後、前日に引き続き、横田先生が耳石輪紋による年齢査定法の紹介を行い、さらに、耳石微量元素組成による生息環境履歴の推定として、電子プローブマイクロアナライザーによる解析方法の紹介などを行いました。

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 今回の交流では、東京海洋大学と現地の実験室などをオンラインによりリアルタイムで結ぶことができました。また、参加者自身も実験操作を行うことができ、東京海洋大学の教員も参加者との直接対話を行うことができました。期間中には、現地で共に実験を行っているかのような錯覚を覚える場面が何度もありました。また、日本からの多くの帰国留学生のご協力なくして本プログラムを開催することはできなかったと感じております。ご協力いただいた多くの皆様に深く御礼申し上げます。