2021年度 活動レポート 第110号:北陸先端科学技術大学院大学

2021年度活動レポート(一般公募プログラム)第110号 (代替オンライン)

中国・大連理工大学との知識科学に関する交流事業

北陸先端科学技術大学院大学からの報告

 さくらサイエンスプログラムの支援を受けて、2022年2月28日から3月4日までの5日間、北陸先端科学技術大学院大学と大連理工大学の間でオンライン交流プログラムを開催しました。本プログラムは、当初先方から学生1名を招へいする予定でしたが、コロナ禍における水際対策により来日が困難となり上記期間にオンライン交流を行うこととなりました。

 大連理工大は中国の重点大学のひとつであり非常に高い研究教育のレベルにあります。大連理工大と本学は学術交流協定を結び長年の交流の実績があり、教員の相互訪問や客員教員としての就任など、教員間の共同研究のみならず大学院生の育成でも協力しています。今回交流を行った大連理工大管理学院のグループは、本学の知識科学に触発されて発足した知識科学・システム科学を研究するグループであり、互いに刺激をしあいながら発展してきました。

 今回の交流は「機械学習アルゴリズムによる科学の進化の研究」と題して、知識が日々生み出され発展している科学の世界の進化を理解しようとする知識科学の研究について議論することを企図しました。招へい予定であった大学院生は最新の機械学習技術を用いて科学の地図を作る方法を探究しています。複雑で未知な世界の地図はその世界を知り探検するためにとても有用で、これは科学の世界についても同様です。複雑で動的で常に発展する科学の世界の地図があれば、研究者を導き、科学技術のダイナミクスと構造を探求し、理解し、そして伝達・普及することを助けることができるはずです。交流期間のうち3日間はこの研究についての密な議論を行いました。本学・知識科学系は知識の創造・共有・活用に関する学問的・実践的研究である知識科学について長年の研究実績があり、その観点からの考察を加えることで、上記研究を発展するいくつかの方向性が見出され、今後共同研究へと発展させる基盤を作ることができました。

 オンラインでの実施になった本交流の機会を利用して互いの研究グループの相互理解をより広め深めるため「DLUT-JAIST International Workshop 2022」という合同ワークショップの開催を企画しました。最初に受け入れ教員の橋本教授と大連理工大のXia教授による開催の挨拶があり、2日間で合計10件の発表と密な議論の時間を持ちました。発表内容は、協力、コミュニケーション、言語、教育、貿易、科学など主に人間の社会的な行動に関する基礎から応用の研究まで幅広い話題にわたっていました。どの研究発表についても刺激的な議論が行われ、また総合討論の時間にも互いの研究グループの考え方も含めた討議があり、特にそれぞれの研究グループを率いるXia教授、橋本教授が基盤とする複雑系科学の考え方が両グループの底流にあり共有されていることが互いに理解されました。

活動レポート写真1
WS参加者
活動レポート写真2
WSでの議論の様子
活動レポート写真3
参加者と受け入れ教員の議論の様子

 今回のオンライン交流により、本プログラムに参加した研究グループの幅広い研究について知ることができました。これまでの交流の実績を踏まえて両機関の連携をさらに展開し、国際的な研究交流を活発にする良い基盤ができたと評価できます。