2021年度 活動レポート 第107号:大阪大学

2021年度活動レポート(一般公募プログラム)第107号 (オンライン)

持続可能な産業社会の実現に貢献する日本の発酵技術

大阪大学生物工学国際交流センターからの報告

 大阪大学・生物工学国際交流センターでは、モンゴルの次世代を担う若い大学生に対し、我が国の発酵技術がいかにSDGsの達成に貢献しているかを、産学双方の立場から紹介し、先端バイオテクノロジーとしての発酵技術への理解と関心を養うオンラインワークショップを開催いたしました。ワークショップには、新モンゴル工科大学の大学生が20名参加いたしました。発酵現象をバイオサイエンスとして解説する特別講義、ならびにバイオマス資源化研究を体感する先端バイオ実験を実施し、SDGs達成に向けた本学の取り組みを体験する機会を提供することが出来ました。

【1日目】

 オリエンテーションとして、生物工学国際交流センター長と東アジア拠点長 小溝裕一名誉教授の挨拶と、新モンゴル学園の理事長のご挨拶を頂きました。その後大阪大学・東アジア拠点より大阪大学の概要と留学紹介に続き、生物工学国際交流センター長より授業の概要説明がありました。

 続く講義では生物工学国際交流センター長 応用微生物学研究室 藤山和仁教授より「Lipid production by engineered oleaginous yeasts」として持続的社会に貢献するバイオテクノロジーの講義が提供されました。

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1日目の講義風景(藤山和仁教授)

【2日目】

 生物工学国際交流センター・分子微生物学研究室の本田孝祐教授より「Fermentation Foods in Japan」の講義により、日本の発酵食品とその生産技術について紹介されました。

 続き、大阪大学・蛋白質研究所・蛋白質結晶学研究室・栗栖源嗣教授より「大阪大学蛋白質研究所」と、続いて生物工学国際交流センター分子微生物学研究室の博士研究員Wu Chih-Chan博士は、大阪大学で博士号取得後、現在の所属先に勤務された経歴の持ち主です。自身の留学生としての体験と、「大阪大学・産学協働研究講座」についての紹介がありました。

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2日目の講義風景(左上:本田教授、右上:栗栖教授、左下:Wu博士)

【3日目】

 大阪大学・麹菌ゲノム育種工学講座の楠本憲一教授により、「Science of koji mold and Japanese traditional fermented food」と題した講義が行われました。本講義では、我が国の「国菌」である麹菌(アスペルギルス属糸状菌)について、これらが発酵食品製造で果たす役割とその分子メカニズムについての解説が行われました。

 続く講義では、アサヒクオリティー アンドイノベーションズのYohanes Novi KURNIAWAN博士による「Unravel the food quality and safety challenges in the brewing industry」が提供されました。

 KURNIAWAN博士は、大阪大学で博士号取得後、現在の所属先に勤務されています。

 講義ではビール醸造における微生物の管理について解説が行われるとともに、留学生として日本で学び、日本の企業に就職したご自身の体験についても紹介頂きました。

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3日目の講義風景(左:楠本教授、右;KURNIAWAN博士)
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【4日目】

 大阪大学・生物工学国際交流センター・分子微生物学研究室の木谷茂准教授より、微生物による抗生物質生産についての講義が行われました(講義タイトル:What are antibiotics produced by microorganisms?)。さまざま抗生物質の分類や作業機序など、当該研究分野を幅広く俯瞰するお話が提供されました。

 続き、生物工学国際交流センター 応用微生物学研究室 梶浦裕之助教より「質量分析器を用いた解析」の先端バイオ実験について、基礎から実技まで紹介されました。

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4日目の講義風景(左:木谷准教授、右;梶浦助教)
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【5日目】

 まず、生物工学国際交流センター長が、4日間のプログラムと講義をまとめました。

 その後、オンライン学生交流会を実施しました。留学生4名(モンゴル2名、インドネシア1名、フィリピン1名)がホストとして参加し、自分の日常生活、留学体験と自分の研究内容について講演をしました。その後、ホスト留学生が2名づつ、参加者20名が2つのブレイクアウトルームに分かれ、海外留学や研究に関するQ&Aを通じて親睦を深めました。現在留学中の学生の生の話を聞くことで、日本や大阪大学に留学することにより興味と関心を持って頂けたようです。

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5日目の学生交流会の風景

 次に大阪大学 東アジア拠点 張希西助教とAriunaa Enkhtur助教より、オンラインツールMentimeterを活用しながら学生の皆様と交流する「インターアクティブ交流 Learning about each other: cultural exchange」として、「雑学知識クイズで交流Trivia quiz interactive session」が提供されました。日本の食べ物やモンゴルの食べ物等、身近なものが題材で、参加者はとても楽しんでられました。

 オンラインプログラム修了後、日本学術振興会のアンケートの回答と共に、新モンゴル工科大学の皆さんが、最終日にお送りした手作りの修了書と一緒に記念撮影なさった集合写真を送って頂けました。

 「モンゴルの学生の一生忘れられない思い出になる、いい経験になったと思っております。

 また、今後も日本とモンゴルの交流や科学研究などの交流を続けられればと思います。」との感想を頂きました。

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