2021年度 活動レポート 第58号:福岡アジア都市研究所

2021年度活動レポート(一般公募プログラム)第058号 (代替オンライン)

アジアのリーダ都市をめざす福岡市における大学の研究力と留学生の活躍

公益財団法人福岡アジア都市研究所からの報告

 新型コロナウイルス蔓延の影響により、2019年度招へい予定だった中国上海交通大学の訪問団は来日できず、2回延期した末、去る2021年11月17日~12月8日の間に代替オンライン交流に変更してようやく実施することができました。

 当該プロジェクトはもともと日本の大学の先進的な研究や教育を学ぶと同時に、中国人留学生OBたちの活躍ぶりを直に見聞きすることを通して、日本への理解を深め、日本留学へのモチベーションの向上につなげることが目的でした。しかし、今回のオンライン交流では様々な制約により、プログラムの内容を大学の研究現場や自治体の環境対策の紹介に絞り込みました。 

 11月17日に、九州大学法学研究院小島教授が「先進電気推進飛行体の研究開発から見る日本の科学技術イノベーションと留学生の受け入れ」と題したオンライン講演を行い、空飛ぶクルマの研究開発をめぐる技術の問題だけでなく、それに付随する法律の問題や社会の問題にも注目する必要性を強調しました。また後半には九州大学における留学生の受け入れについての紹介もあり、参加者の皆さんと活発な質疑応答が行われました。

活動レポート写真1
上海交通大学で聴講する学生

 12月1日に、久留米大学医学部山田教授が「癌治療研究最前線~ワクチンの研究開発」と題したオンライン講演を行い、日本における癌治療現場の最新動向とワクチン研究開発の展望についてわかりやすく解説しました。現場見学ができない代わりに、山田教授が講演中に動画を挿入し、参加者に臨場感を味わってもらえるような工夫もなされました。

活動レポート写真2
がん治療において活躍する手術支援ロボットの動画

 そして最後の12月8日に、福岡市道路下水道局の担当職員が、「都市汚水処理の現状と資源の有効利用」と題したオンライン講演を行い、先端を行く福岡市の再生水(中水)利用の歴史と現状を紹介し、限られた水資源の有効利用を訴えました。

活動レポート写真3
福岡アジア都市研究所のオンライン講演会場

 今回のオンライン交流において特に印象に残った点が二つあります。

 一つは、参加学生の日本語能力の高さです。日本語専攻ではない理工系の学生のなかには、日本語を自由に操り、聴講のみならず、質問なども難なくこなせる学生がいました。中国のエリート青年たちの日本への関心の高さを伺い知ることができました。

 もう一つは、上海交通大学の担当者が中国のSNSであるwechat上に、オンライン講演の内容を毎回速やかにレポートしたことにより、影響が広まったことです。上海交通大学の公式ホームページ「全球交大GLOBAL_SJTU」にプログラム実施が告示され、オンライン講演の内容もwechat上で発信されたため、結果的に実際の聴講参加者よりも数倍も多い学生たちがこのプログラムの情報に接したと考えられます。このような取り組みは、さくらサイエンス交流プログラムの知名度向上と影響拡大に対し大きく寄与していると思われます。

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