2021年度 活動レポート 第54号:高知大学

2021年度活動レポート(一般公募プログラム)第054号 (オンライン)

農・森林・海洋科学分野におけるデータサイエンスの取り組みを学ぶ

高知大学農林海洋科学部からの報告

 高知大学農林海洋科学部はJSTさくらサイエンスプログラムの支援を受けて、2021年12月4日~2022年2月26日のうち延べ5日間、オンライン交流プログラムを開催しました。プログラムには、カセサート大学・コンケン大学・ラジャマンガラ工科大学スリビジャヤ校(タイ)、プトラ大学・サラワク大学(マレーシア)の5大学から16名の学生が参加し、実習を支援するサポート教員とともに農・森林・海洋科学分野におけるデータサイエンスの取り組みを学びました。

 初日には海洋科学分野について、日本の水産業の課題を踏まえて、「スマート漁業」の実現に向け、ICT技術が漁獲、資源管理、養殖から水産加工まで様々な場面で活用できる可能性についての講義が行われました。

 2日目には農学分野について、高知県が内閣府(平成30年度地方大学・地域産業創生交付金)の採択を受けて取り組んでいる産学官プロジェクト『“IoP(Internet of Plants)”が導く「Next次世代型施設園芸農業」への進化』の国際シンポジウムをオンライン見学し、データを活用した新たな施設園芸農業やIoPクラウド等についての取組みや研究内容を学びました。

 3日目からはIT技術やデータサイエンスの基礎を体験しながら学ぶため、高知大学と各大学の教室をオンラインで結びながら、超小型コンピュータ「ラズベリーパイ」を用いた演習を行いました。参加者は各大学の教室でサポート教員とともに機器を組み立て、それぞれの場所で植物を育てながら、生育の様子(画像)と環境(温度など)データを記録し、最終日には測定結果をグループごとに発表し、データ農業の基礎となる知識や技術を体験的に学びました。今回、オンラインで結びながら、参加者がそれぞれの場所で実際に機器の組み立てと測定を行うという試みは初めてで、はじめ機器が速やかに作動しないなどの苦労はありましたが、参加大学の教員のサポートもあり、オンラインでも体験型の演習が実現できたことは、今後のオンライン交流の発展に向けて大きな成果となりました。

オンラインで高知大学からのガイダンスを受けながら、機器の組み立てを行う様子(左:コンケン大学提供、右:ラジャマンガラ工科大学提供)

 森林の分野では、林業の課題とGISやICTによる「スマート林業」への取り組み、それを支える基礎技術についての講義とともに、オンラインで結びながら学生が各自のPCでGISによる木材生産に適した森林・林地の抽出分析の演習を行い、学びを深めました。

GISによる解析の演習の様子(写真:コンケン大学提供)

 最終日には、高知大学で学ぶ留学生が研究や生活の様子を紹介し、参加者は留学までの経緯や生活について質問するなど、高い関心が示されました。プログラム後のアンケート調査でも、高い満足度と好意的なコメントが得られ、留学への関心を喚起することができたと考えています。海外渡航が制限されるなかでも、本プログラムにより上記の5大学との連携を深めることができ、今後もこの連携をいかした研究・教育交流プログラムに積極的に取り組んでいきたいと考えています。

オンライン交流セッションの様子