2021年度活動レポート(一般公募プログラム)第052号 (オンライン)
インド・アンドラプラデシュ州の大学生とのオンライン交流
富山県からの報告
本県と「交流・協力に関する覚書」を締結しているインドのアンドラプラデシュ州(AP州)の4大学(アンドラ大学、アチャラナガージュナ大学、シュリパドマヴァティ女子大学、スリベンカテシュワール大学)から、大学生や大学院生、教員等計40名が参加し、富山県くすり政策課、富山県薬事総合研究開発センター、富山県衛生研究所、富山大学、富山県立大学、日東メディック株式会社と、5日間の日程でオンライン交流プログラムを実施した。
■第1日目:開会式、県くすり政策課、県薬事総合研究開発センター
くすり政策課が「富山県の医薬品産業の歴史と現状」についてプレゼンテーションした後、薬事総合研究開発センターの概要を紹介するバーチャルラボツアー、研究員による「ミニタブレット製剤の開発」「バイオ医薬品の特性解析」「炎症・免疫研究」についての発表を実施。薬用植物や生物工学など共通の研究分野における今後の連携可能性について意見を交わした。
■第2日目:県衛生研究所
研究所概要を説明後、「県内で水揚げされた魚介類中の重金属検査」「イタイイタイ病と流域住民健康検査」「人工疑似ウイルスを用いた新型コロナウイルス研究への応用」「レジオネラ菌の研究」について研究員による講義を実施した。アンドラ大学とアチャラナガージュナ大学の教授も大学紹介を実施し、その中で活発な意見交換が行われ、学生間の交流機会創出について提案がなされた。
■第3日目:富山県立大学
同学講師から「骨粗鬆症・がん治療薬への応用を目指したビタミンD誘導体の開発」、大学院生から「ビタミンD受容体発現型アデノウイルスベクターを用いたⅡ型くる病モデルラットへの遺伝子治療」についてプレゼンテーションを実施した。その後、大学生が3グループに分かれて情報交換を行い、AP州の大学生の多くが富山での留学について関心を示した。
■第4日目:企業訪問
日東メディック株式会社との交流で本県の「アセアン地域等からの外国人留学生受入・定着促進事業」により富山大学に留学し就職したベトナム出身の同社スタッフが留学生活や仕事内容等についてプレゼンテーションを実施。その後、本県インド国際交流員が富山の観光名所や日本語学習方法などについて写真や動画で紹介した。日本語学科を持たないAP州の大学が日本語教育導入について興味を示したほか、新型コロナ収束後に富山を訪れたいというコメントがあった。
■第5日目:富山大学
同学の教授から、薬学部や各研究室の概要を紹介した後、薬学部薬学科及び創薬科学科の学生が研究内容等についてプレゼンテーションを実施した。その後、2017年にさくらサイエンス事業により来県し、県費留学生として同学大学院前期課程に留学を経て現在は博士後期課程に在籍する学生が富山に留学を決めた経緯等について紹介した。シュリパドマヴァティ大学とスリベンカテシュワール大学の教授も各大学を紹介し、その中で学生同士の交流機会の創出や、薬用植物研究についてコラボレーションの提案がなされた。
〇プログラムの成果と今後の展望
- 参加したAP州の学生の多くが本県への留学の希望を示すなど、将来における優秀な留学生確保に寄与する成果が得られた。
- 2017年度のさくらサイエンスプランに参加したことがきっかけで、本県に留学した学生が、本プログラムに積極的に関与したことにより、学生等は日本での留学生活に関して具体的なイメージを持つことができた。
- AP州の大学教授と、富山県薬事総合研究開発センターや富山県衛生研究所の研究者、富山大学の教授との間で、今後の共同研究の可能性についても意見が交わされ、今後の学術交流の深化が期待される。