2021年度 活動レポート 第51号:東京理科大学

2021年度活動レポート(一般公募プログラム)第051号 (オンライン)

中国の学生が、アクティブラーニングを取り入れた日本型理科教員養成の方法論を学ぶ

東京理科大学 理学部第一部物理学科
教授 川村 康文さんからの報告

 2021年11月29日より12月3日まで、東京理科大学理学研究科科学教育専攻川村研究室では、中華人民共和国山東省に立地する曲阜師範大学所属の学部・修士学生15名を招へいし、オンラインでさくらサイエンスプログラムを実施しました。

 本年度の当研究室でのテーマは「アクティブラーニングを取り入れた日本型理科教員養成の方法論」です。当研究室においての理科実験教室や研究紹介および招へい者主体の模擬授業を中心にプログラムを実施しました。

【プログラム1日目】

 プログラムガイダンスの後、双方の参加者による英語での自己紹介と、双方の担当者による大学・研究室紹介が行われました。午後には、当研究室の修士・博士学生が開発した環境教育教材である「卓上サボニウス型風車風力発電機」のワークショップを実施し、実際に曲阜師範大学の招へい者に実験機制作に参加していただきました。その後、曲阜師範大学の招へい者15名の班分けを行い、彼らが主体として実施する模擬授業のテーマについて検討しました。その結果、模擬授業のテーマは「運動量保存則」、「電磁誘導」、「波の性質」の3つに決まりました。

曲阜師範大学ゼミ室

【プログラム2日目】

 「かわむらのコマ」をテーマとしたワークショップを実施しました。「かわむらのコマ」は、コマ遊びの実験を通して“渦電流”について楽しく学ぶエネルギー環境教育教材として開発されたものです。午後には、五十嵐美樹氏によるサイエンスショーが行われました。五十嵐氏は、サイエンスエンターテイナーとして活躍されており、科学の面白さを伝える科学実験教室やサイエンスショーを多く開催し、「科学のお姉さん」として知られています。サイエンスショーでは、身近なものを使って誰でもできる実験が行われました。

【プログラム3日目】

 招へい者に当研究室の輪講ゼミに参加していただきました。修士学生による修士論文発表の練習が行われ、日本における大学院教育について理解を深めました。その後、フォーラム式で双方の教師間交流が行われました。午後には、物理学科2年の授業である「応用講義実験」を見学していただきました。この授業はアクティブラーニングを活用して、学生たちが課題に合わせて実験を設計することができる授業です。この授業を見学することによって日本のアクティブラーニングへの理解を深めることができました。

東京理科大学応用講義実験の授業での学生の発表

【プログラム4日目】

 当研究室における現行の各研究課題および実験コーナーについて紹介をしました。研究テーマは、温水タワーすだれ・色素増感太陽電池・自転車発電機・3Dプリンターの4つの部分で構成されており、卒業研究学生や修士学生が紹介を行いました。これらの紹介によって、日本における研究室風景についての共有ができました。

【プログラム5日目 】

 招へい者主体の模擬授業の発表日となります。招へい者はチームで準備した模擬授業を発表し、発表後には、模擬授業に対する反省や意見等を共有する場として反省会を実施しました。

 当研究室では今後も中国での科学啓発活動の推進に微力を尽くします。

東京理科大学川村研究室ゼミ