2020年度活動レポート(一般公募プログラム)第064号 (オンライン)
インドの工学研究者に対する高速ビジョンシステムに関する研修
広島大学先進理工系科学研究科からの報告
広島大学では、2021年2月15日〜3月5日の日程で、高速ビジョンシステム分野における上級トレーニング研修「組込み及びIoTアプリケーション向けの高速ビジョンを用いたビジュアルサーボ」を実施した。今回は、これまで複数回交流のあったインド中央電子工学研究所(CSIR-CEERI)から10名が参加した。参加者は、広範囲のスキャンによるセキュリティ及び監視、様々な産業に応用されている高速オブジェクトトラッキングなど、高速ビジョンのシステムとその応用について学んだ。
本研修は講義と実験で構成し、講義では物体の検出・追跡を行うための認知システムとその応用、マルチリンクベースのロボティクスとその応用、制御とコントロールなどの講義を提供し、高速ビジョンとその関連分野に関する幅広い知識の習得を目指した。さらに、3月日には、「スマートロボティクス研究室」 のバーチャルツアーも行い、広島大学の研究環境等を視察した。
実験では、リモートで高速視覚パンチルトカメラの制御行うための屋内トレーニングスペースに4台のパンチルトカメラを設置し、参加者は4つのグループに分かれ、パンチルトカメラに接続されたパソコンを通して、①パンチルトカメラの制御による広域走査と、②ビジュアルサーボによる高速物体追跡の2つの実験に取り組んだ。実験の始めには、参加者全員がパンチルトアクチュエータの制御システムや高速カメラの機能を体験し、次にパンチルトカメラ制御による高速ビジョンシステムを学ぶための画像処理プログラミング環境を構築した。2月22日からの広域走査実験ではまずパンチルトカメラ移動を制御することで、サンプル画像のパノラマビューを作成するアプリケーションの作成を行った。さらに作成したパノラマビューをベースに、マウス操作によってカメラ視点の移動を制御するライブ配信アプリケーションの作成に挑戦した。次に、2月25日からは、サーボによる高速物体追跡についての実験を開始し、高速に回転する白いボールをパンチルトカメラで捕捉するために必要な、500fpsの物体のモーメント特徴を識別する実験に取り組んだ。
3月5日には成果発表会を実施し、本研修を通じて学んだことや自身の研究について発表し成果の共有を行った。発表は非常に意欲的なものが多く、参加者は遠隔での講義と実験に非常に満足していた様子だった。また参加者の内3名から、さらに実験を行いより高度な事を学びたいとの希望があったため、広島大学とCSIR-CEERIとの共同研究に参加し、実験や共同研究を進めていくに至った。今後さらなる共同研究の発展に繋がり、本学の研究力強化に貢献していくことが期待される。